鳩山首相の『ご説明』

 12月24日、鳩山首相は自らの政治資金管理団体をめぐる虚偽記載で元公設秘書が在宅起訴されたことについて記者会見を行った。概要はメディアが伝えているとおりだろう。
 その場にいたわけでも、鳩山首相と懇意でもないので詳細は分からない。だが、やったことの是非は別として、自らの弁明や謝罪をもっと公開するべきではかと思った。記者会見だけでいいとは思えない。

 以下は、党所属国会議員や都道府県連代表者へ送られてきた鳩山首相による『東京地方検察庁に提出した説明文「ご説明」の概要』だ。民主党のサイトにも鳩山首相のサイトにも掲載されていないので、転載しておこう。

 また、街頭にたって、国民にむけて説明することも必要ではないだろうか。

 



2009年12月24日

国民の皆さまへ
衆議院議員
鳩山由紀夫

東京地方検察庁は、私の資金管理団体である友愛政経懇話会の収支報告書の虚偽記載問題について、捜査で解明した事実に基づき本日、処分を下しました。
また、この検察による解明を受けて、弁護士による調査チームから事実関係に関する2回目の報告を受けました。

この問題につきましては、6月30日の記者会見で、弁護士の調査報告に基づく説明をさせていただきましたが、その段階でもまたその後の調査でも全容が解明されるには至っておりませんでした。
そして、検察による捜査が開始されて以降、捜査に全面的に協力をしてまいり、その一環として今月18日には弁護士からの助言もあり、検察に対して説明文も任意で提出させていただきました。
 この間、調査を依頼した弁護士から、口裏合わせとの誤解を招きかねないため、本件の関係者と直接連絡をとらないこと、また捜査協力の一環として捜査中の事柄については発言を控えるよう助言を受けておりました。私自身が何も知らず、説明できないことを大変もどかしく思いました。また身近な人間に話を聞くことも誤解を受けると言われたことで辛い思いもいたしました。しかし、自らが告発を受けている立場であり、そして野党第1党の代表、その後は総理として、言動を慎み検察の捜査に委ねるべきことが最善と自らを納得させてきました。説明責任を果たしていないとのご批判をいただきながら、国会でも捜査による解明を待ちたい、捜査によって全容が解明された後にご説明させていただくとしてきました。

 検察の捜査によって、資金管理団体である友愛政経懇話会等の収支報告において、この5年間で多額の虚偽記載があったことが解明されました。検察の判断を重く受け止め、資金管理団体の会計責任者、会計実務担当者の起訴に対して、責任を痛感しております。お名前を勝手に拝借し、ご迷惑をおかけした支持者、知人の皆さま、そしてご遺族の皆さま、ご迷惑をおかけした全ての皆さま、国民の皆さまに改めて深くお詫びを申し上げます。

 私の初当選以来、政治資金集めから収支報告書の提出に至る全ての政治団体の活動にかかるものに加え、政治家個人としての政治活動、そしてプライベートに係る経費についても、勝場がその処理を一手に引き受けてくれていました。政治団体の政治活動資金以外でも、日々の会食や会合、国内外に出かける旅費、議員の任意活動である議連や議員政策研究活動、パーティー会費や仲間の皆さんとの冠婚葬祭のおつきあい、個人として借りている事務所の家賃など、数えたことはありませんが、年間で相当な費用がかかっていたと思い起こしています。勝場が万事滞りなく事を運んでくれていると思っており、私は資金のやりくりや手続きの心配をすることなく、安心して全てを任せきっていたというのが実態です。

 私自身の資産につきましては、勝場の求めに応じて、私の資産を管理していただいている六幸商会への指示書に私が署名捺印し、お金の取り扱いは勝場に委ねておりました。それが政治資金として使われるのか、プライベートに使われるのか、それをどう処理するのかについても、長年にわたる勝場への信頼から全て安心して任せておりました。この6年間で約3億2千万円という金額になることも最近になって弁護士から指摘された次第です。

 勝場は、虚偽記載を行った理由について、政治家としての私に資金調達能力がないように見られたくなかったことと、自分が調達努力を怠っているように見られたくなかったことから、私には何も言わずにこういうことをやったと供述していると報告を受けました。
 なぜ、もっと勝場、そして芳賀を含め事務所スタッフとコミュニケーションを行い、勝場の悩みを含めて事情を把握する努力を払わなかったのか、猛省して止みません。しかし、真実いま振り返ってみても、不自然さや疑問は感じていませんでした。あまりにも杜撰というご批判をいただいておりますが、父親の代から手伝ってくれていた勝場、私が議員になる前から手伝ってくれた芳賀、二人とも真面目で几帳面で、誠実に仕事をしてくれているという信頼感が前提にありました。誠に私の不徳のいたすところと思っております。

 さらに、地検の捜査によって母からの資金提供が事実であり、私の個人資産とともに虚偽記載の原資にも充てられていたことが確認されました。
 親から大金を用立てて貰い、知らぬはずはないと思われるかもしれませんが、弁護士による調査の過程で勝場に問い質しても一貫してそういうことはないと答えていたとのことです。私は本当に全く承知しておらず、勝場の否定を踏まえてそういうことはないと信じていると申し上げてきました。まさに調査の限界を痛感する思いです。
 年間1億8千万円もの資金提供を受けていながら、なぜそのことを知らなかったのか、気がつかなかったのか、国民の皆さまが疑問に思うのは当然だと思います。親も私も常に周りの人々が私たちのことを何くれなく面倒を見ていただく環境にありました。正直に申し上げて親や周りの者とお金の話を直接することはほとんどありませんでした。私に心配を掛けまい、体面を傷付けまいとして、日々苦労をしてもらってきたことが、結果として今日このような事態につながったのだと思います。結果として年老いた母に親不孝をしてしまいました。また、私のために勝場や芳賀の家族にもつらい思いをさせています。

 母からの資金提供については、法に照らして的確に対応すると国会で申し上げました。これが貸付けなのか、贈与なのかという議論が一時あったようですが、私自身が全く関与していないところでお金を借りていたというのもおかしな話です。また、このお金のことは何も知りませんでしたから、贈与税を免れようなどという発想自体もありえません。承知していなかったとはいえ、私のために提供され、私の政治活動や個人活動のために使われたということですから、捜査で解明された事実に基づき、母からの贈与として2002年に遡って申告し、速やかに納税を行います。
 贈与税の対象となる資産は総額で12億6千万円となるとのことですので、納税額は概算でも6億円を超えることになると聞いております。

 収支報告書の虚偽記載については、検察の捜査や五百蔵弁護士の調査報告書で示されている内容を事実として受け止めています。今後、できうる限り速やかに、残された疑問点を含めて実態を確認して、収支報告書、閣僚の資産公開、国会議員の資産報告について、修正をして参ります。
 また、私の政治活動、政治団体の活動における資金管理のあり方を見直し、改めるべき点を抜本的に改善して参りたいと考えます。政治資金管理は法定監査だけではなく、日常的に公認会計士等にチェックを委託して過ちを繰り返さぬようにいたします。今後は母から資金の提供は受けません。

 私のとるべき道について申し上げます。いま私がこのことをもって進退を語るとするなら、それは政権交代という勇気ある選択をしていただき、民主党・鳩山内閣による政策遂行に期待し応援していただいている国民の皆さまに対する責任を放棄することになります。また、難題が山積する中で政治が立ち止まることは許されないと考えます。
 過去の発言についても弁解はいたしません。しかし私は、私腹を肥やし不正な利得を受けたことは一切ありません。私は、ご批判は真摯に受け止め、改めるべきは抜本的に改め、政治家としての私の使命を果たしていくことが私の責任であると改めて決意しております。
 国民のみなさまに率直にお詫びし、改めて国民生活が第一の政治の原点に立ち、身を粉にして私が果たすべき使命の達成に邁進いたします。

 以上、検察によって真相が解明され、事実が確認されて処分が下された今日、国民の皆さまに対するご説明とさせていただきます。なお、私が東京地方検察庁に提出した説明文「ご説明」の概要を公表させていただきます。

                             以上

      【東京地方検察庁に提出した「ご説明」の概要】

○私は、自らは政治活動に専念し、政治資金や個人的資金の入出金や管理のすべてを勝場及び芳賀に全面的に任せておりましたので、収支報告書に虚偽の記載をしたかどうかについては私自身全く知りませんでした。
○私は、本問題について6月30日に記者会見を開き、私の知りえるところについて申し上げ、説明してきましたが、東京地検特捜部におかれて捜査が開始されて以来、調査を依頼してきました五百蔵洋一弁護士を通じて捜査に全面的に協力する旨を検察にお伝えし、また公にも表明し、以降協力してまいりました。
○私は、本問題が報道されて以降、同弁護士に調査を依頼すると共に、同弁護士から、当事者、関係者と本問題に関して話すこと等を一切行わぬよう指示され、また東京地検が捜査着手以降、資料等の全てを任意提出すること、さらには捜査中のことに関してできうる限り発言を控え、全てを検察による捜査と解明に委ね、その結論を待つことを指示され、説明責任を問われつつもその指示が検察捜査に協力するものであるとの認識に基づき従ってまいりました。
○またそうした観点から、捜査の進展の中で、新たな事実として報道された事項につきましても、私自身は事実関係を全く承知しておらないことに加え、直接的に関係者に接触、照会することなく、11月30日に国会でお答えしたとおり、検察捜査による解明を待つとしてきました。
○政治資金については、1986年に初当選して以来、後援会そして資金管理団体制度が創設されて以降、「友愛政経懇話会」を中心として活動しておりましたが、政治団体の政治活動のみならず、一議員・政治家個人としての政治活動、そして私人としてのプライベートな活動にかかる経費もそれなりにかかっており、これらの資金のやりくりと政治資金規正法上の処理については、勝場と芳賀にすべて任せておりました。
 なお、結果として今回こういう問題が起きてしまったものの、芳賀は人物的にも能力的にもきちんとした人物であると思っており、日頃の仕事ぶりについても何ら問題は感じていませんでしたから、私が同人を会計責任者に選任したことや、その後の監督について、特に落ち度があったとは思っておりません。
○私は、政治資金についてもプライベートなお金についても区別することなくすべて勝場らに任せておりましたから、それぞれどれくらいの収支となり、合計いくらいくらになるということも全く把握しておりませんでした。
 私としては、この二人は長く秘書として働いてくれておりましたし、真面目な性格であ
り、心底信用しておりました。二人に任せておけば、万事、適法・適切に処理してくれ、何も心配はないと思っておりました。
○私が自分のお金を勝場に渡す場合の手順は、時々、勝場から、特段使途については言及がないまま、「資金が足りない」「資金が必要なんですが」等と言われたとき、私が六幸商会への指示書に署名捺印し、六幸商会から現金を受け取るというやり方でした。私個人の資産として勝場に委ねた金額については自分で集計等をしておりませんので全く分かりませんでしたが、先般、調査をしていた弁護士を通じて聞いたところ、その年によって違いはあるものの、この六年間で言えば年平均にして5000万円くらいだとのことでしたから国会でもそのようにご説明しました。
 また、所得税等の確定申告や納税については、資産の管理をしてくれていた六幸商会の方ですべてやってもらっていましたので、勝場らと連絡を取ったりしながらきちんとした処理をしてくれているものと信じておりました。
○この度、報道で私が母の鳩山安子から、ここ何年もの間、毎年1億8000万円ものお金を出してもらっていたとの指摘を受けましたが、初めて聞く話であり、これまで全く知りませんでした。
 また、これが貸付けなのか、贈与なのかということについては、私自身全く関与しておりませんのでわかりません。しかし、借用書等もないようですし,承知していなかったとはいえ、私のために提供され、私の政治活動や個人活動の支出のために、区分されずに使われたとするなら、贈与を受けたものとして贈与税の申告・納税をするべきだと考えましたので、そうした趣旨で国会でもお答えしました。なお、言うまでもないことですが、私自身このお金のことは何も知りませんでしたから、贈与税を免れようなどという気持ちは全くありませんでした。
○収支報告書の提出にあたっては、勝場や芳賀からは何も説明を受けておりませんし、相談や報告もありませんでした。二人を信頼し、すべて任せていたためでした。
 繰り返しになりますが、資金についてはすべて勝場や芳賀に任せており、何も報告を受けておりませんでしたから、全く知る由もありませんでした。
 いずれにせよ、このような事態になっていることについて責任を感じております。本件につきましては、多くの方にご迷惑をおかけし、国民の皆様にもご迷惑とご心配をいただいております。また、親族にも心労を煩わせ、母親に対しても大きな不孝を重ねていることを申し訳なく思います。
 しかし、検察の捜査に協力し、捜査による解明を待つと国会でも申し上げた以上、それ以上のことを申し上げるすべもなく、また確たる情報も真相も知りうる立場にはないこと、そして検察による解明を待ち、解明された事実を踏まえ、国民のみなさまに改めてご説明するとしていることを申し上げ、私のご説明といたします。

                                以上