【外環道路】費用便益(B/C)は結局、良く分からない

 道路を新たに作るさいの費用対効果、費用便益(B/C)についての勉強会に参加してきた。主催は、外環道路協議会。市民まちづくり会議・むさしのの森浩さんを講師に迎えてB/Cの考え方を伺った。
 結論から言えば、建設するための理由はいくらでも作れるということだろうか。整備することで生まれる効果を“こじつけ”れば、数値は変わる。費用便益はひとつに指標であり、これだけでは決められない。最後は「政治主導」で決まるしかないのだろうと思った。

 森さんのお話は、1990年代から諫早湾干拓や長良川河口堰など公共事業への批判や環境意識が高まり公共事業が社会問題化したこと。同時にバブル崩壊で国の歳入不足の深刻化から、1997年に総理大臣の支持により公共事業の実施にあたっては費用対効果の分析を活用するにようになった。それまではあるにはあったが、統一の基準がなかったために、費用対効果分析の指針、事業ごと(道路、公園、河川、ダムなど)マニュアル類の公表を行い99年から本格実施し、以降、指針やマニュアルの改定が行われてきていることなどのこれまでの経緯。

 また、言葉の定義について、費用とは、社会経済にとっての損失であり、誰が負担するかではない。便益(効果)は、社会経済にとっての利得であり、費用も便益も貨幣単位で表すことで、費用と便益を比較する。しかし、利得とは満足感が増えた 町がきれいになった、ゆとりが増えたなどは貨幣換算できないため、定量化が難しいため、定量化できるもので計算している。

 計算するにあたって、基本的には、
・整備した場合としない場合に(withとwithout)で比較する。
・地域限定の便益計算はせず、社会全体での計上する(ひとつの地域でメリットが増えれば他の地域は減ることになるので、ひとつの地域だけのメリットは計算しない。車が減れば、他で走るということだろう)。
・便益は二重形状しない。たとえば、住宅地の魅力向上で地価が上がるなどを二次的な便益は入れない。走行計算の短縮なら、このことだけで計算する。
・プロジェクトライフ、耐用年数機関全体で評価する。特定の年だけではなく、道路であれば耐用年数の50年で計算する
・物価上昇は考慮せず、基準年価格となる現在価値で評価する。将来の価値は割り引いて考える(社会的割引率=毎年4%価値が下がるとする)

 などの基本的な考え方をうかがった。

 しかし、すべては換算できないので、定量化できるものを今は換算している。交通の影響は、社会全体としているがどこまで(地域)を想定しているか分からない。50年の根拠はない。将来の交通量は、分からないので計算できない。環境へのコストは、技術的に完成していないこともあり計算されていないなどの課題も示され、また、費用対効果の指数が高いほうを建設するとなると事業費が巨額なほうが経済効果は高いとなるが、事業は一過性もので完成すればなくなることも考えるべきとも話されていた。

★話の後、会場との質疑になったが、どのように外環道路の費用便益が出されたかという最大の関心ごとについては、算定したデータが全て公開されていないことあり、結局はあっているのかどうかも分からない、と思えた。
 
 国土交通省は、平成15年に道路・街路事業における「客観的評価指標」及び「費用便益分析マニュアル」を策定するさい、パブリックコメントを募集し、寄せられた意見へ見解を示している。ここには、この日に出された疑問と同様のことも記されている。結局、市民的に思い浮かべる疑問は今もなお解消されていないということだろう。

 森さんも強調されていたが、費用便益はひとつの指標に過ぎない。参考にはなるが、これだけで決めるべきではということだろう。明確な数値で比較できない以上、判断するのは誰か。官僚ではなく政治主導、民意を考えて判断するしかないのだろう。経済効果だけではなく、何がどのようの良くなるのかの将来像を示し、多くの人が納得できるデータを公表することが何よりも必要だ。オリンピックのために道路を作るのではないのだから。
 さて、来年度予算で外環道路はどうなるのか。道路自体よりも、国には金がない、という理由で先延ばしにするか、経済効果で決めるの。もうすぐで結論が出そうだ。

 パブコメへの意見の抜粋は下記。全文は、国土交通省道路企画課のページで。費用便益評価指標や分析マニュアルなども掲載されている。

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Q:道路網については、どの道路計画まで考慮しているのか明らかにするべき。

A:関連する道路網の有無について交通流の推計を行い、妥当性を考慮する旨マニュアルに記載することとするが、将来道路ネットの中には意志決定されていない情報が含まれており、明らかにすることにより、このような未成熟な路線計画が確定的情報と誤解され混乱を生じさせる可能性を考慮する必要がある

Q:なぜ沿道環境の改善になるのか?自動車排ガス汚染、騒音、振動など道路公害が増すばかりではないか。

A:道路整備による段差解消・騒音低減効果のある高機能舗装の敷設等により自動車騒音が軽減される。また、道路整備による走行速度の向上により自動車から排出される有害物質も減少する。

Q:道路網については、どの道路計画まで考慮しているのか明らかにするべき。

A: 関連する道路網の有無について交通流の推計を行い、妥当性を考慮する旨マニュアルに記載することとするが、将来道路ネットの中には意志決定されていない情報が含まれており、明らかにすることにより、このような未成熟な路線計画が確定的情報と誤解され混乱を生じさせる可能性を考慮する必要がある