これからの公立美術館のあり方

 財団法人地域創造が、公立美術館の現状と今後のあり方に関する調査研究を行い、報告書をまとめ公表している。

 内容は、国内外の現地調査とマネジメント/ガバナンスという視点から、公立美術館の経営改革や他機関との連携、支援策などの提言だ。首長への提言のなかに、「美術館改革が行政改革の突破口になることをご存じですか?」とあるのは興味深い。



 報告書は、これからの公立美術館のあり方を論じたもの。全国各地の公立美術館の整備は一段落したが、次のレベルの課題として、館の運営や活動のあり方が問われていること。指定管理者制度や評価制度の導入があり、現場スタッフだけでは課題の克服が難しくなっていること。公立美術館を地域再生の拠点にしようとしても、具体的なノウハウや情報が不足していることなどがあり、公立美術館は自らを変革していくべき時期にあることから調査や研究が実施されたとしている。

 首長へは10個の問題提起がある。

1.所轄する公立美術館に年に何回足を運んでいますか?
2.館長とはどれぐらいお話しをされますか?
3.住民にとって美術館がどういう存在か、説明することができますか?
4.美術館の10 年後の姿が描けますか?
5.他の自治体と十分に連携できていますか?
6.美術館を、文化行政の枠を越えて、フルに使いこなしていますか?
7.アートや美術館を使った福祉や教育が静かなブームになりつつあることをご存じですか?
8.「現代美術」は好きですか?
9.「創造経済」による地域再生をお考えになったことがありますか?
10.美術館改革が行政改革の突破口になることをご存じですか?

 この10は特に興味深い。内容を引用すると『しばしば「改革は、小さなところから、周辺から」と言われます。行政改革でも、住民にとってわかりやすい分野、例えば、市役所の窓口や図書館、スポーツ施設などの改革から取り組むケースが増えています。なかでも公立美術館はお勧めです。美術館は、学校や病院のように国の制度や法規制にしばられません。ユニークな工夫をすれば、全国からも注目されます。公立美術館改革を行政改革の
突破口のひとつとしてください』とある。市役所改革と大上段に構えることも必要だが、まず、美術館という小さな組織を改革してはどうかとの提言なのだろう。
 武蔵野市の公立美術館は、吉祥寺伊勢丹のあるビルのワンフロアにある『吉祥寺美術館』のみ。他市との美術館とは比較にならないほど、小規模なものだが、だからこそ、変革ができるのかもしれない。伊勢丹が22年に撤退した後、秋には新たなテナントなどが入りリニューアルすることになる。良いチャンスだ。残念なのは、首長だけではなく、議員へも提言としてもらいたかったことだろう。
 

館長・学芸員へは下記の提言がある。

1.来館者と“対話”していますか?
2.あなたの美術館の収集方針(コレクションポリシー)を説明することができますか?
3.展示を超えてアートの持つ力を引き出せていますか?
4.地域の魅力、認識していますか?
5.作業工程表を作っていますか?
6.他業種のプロを何人知っていますか?
7.美術館で解決できない問題を、きちんと設置者に投げかけていますか?
8.評価制度や指定管理者制度の導入に対して意見を述べていますか?
9.市町村長や知事は頻繁に美術館に足を運んでくれていますか?
10.もし、あなたの美術館が廃止されることになったら、何人の市民が立ち上がってくれますか?

図書館や保育園なども同じだが、こちらも10が特に重要だと思う。

詳細は、財団法人地域創造のサイトで。
報告者やリーフレットがダウンロードできる。