学童クラブ 来年4月から国都私立の児童も入所可能に

 12月14日の市議会文教委員会で学童クラブ条例の改正案が審査され、全会一致で可決となった。12月21日の本会議で可決・成立すれば、22年4月1日から、武蔵野市の学童クラブに国立や都立、私立小学校の1~3年生の児童が入所可能となる。
 これで、学童クラブの大きな課題のひとつが解決されたことになる。さらに、障がい児の放課後の居場所を拡充するとの答弁もあった。学童クラブだけではなく、障がい児にとっても朗報だ。

 武蔵野市学童クラブ条例は、『第1条 この条例は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第6条の2第2項及び第21条の28の規定に基づき、武蔵野市立小学校(以下「市立小学校」という。)に就学している児童~』と記載しているため、市立小学校に在学している児童だけが対象となり、これまで、国立や都立、私立小学校へ通学している児童が市の学童クラブに入所することができなかった。
 そのため改正案は、条例から「市立」を削除することで入所を可能とすることが主な内容となっていた。

 ■障がい児の学童も開設

 さらに、今回の答弁のなかでより障がい児の放課後を拡充されることも分かった。

 今回の改正で都立特別支援学校など障がいを持った児童の入所も可能とはなるが、現状の体制ではすべての障がい児を育成することには無理がある。また、障がいの内容は一人ひとり異なるので市立学童クラブの生活が適切なのかの問題も出てくる。そのため、障がい児が入所を申し込むと審査会を開いて市立の学童クラブでの生活が可能か、適切かが審査され入所が決まることになるのだが、市立学童への入所が可能となれば良いものの難しいとなった場合は、放課後の過ごす場所がないことになってしまう。

 そのため、市が支援することで市内の社会福祉法人が障がい児を対象とした学童クラブを開設する予定との答弁があったからだ。また、武蔵野東小学校(武蔵野東学園)で健常児と自閉症児を対象とする学童クラブ(eパル)が9月1日から開設されているとの答弁もあった。

 このことにより、障がい児の放課後の選択肢が大幅に増えることになる。国立や私立小学校の児童も同様だろう。

 新年度の学童の案内は現在の市報に掲載されているが、今回の条例が改正された場合、国立、都立、私立児童が入所可能となったお知らせと募集案内は1月1日の市報で再度、告知される予定だ。

 ■入所対象拡大で待機児は?

 対象者が増えることで待機児(保留児)の心配があるが、市の試算では、新規に入所可能となる国立、都立、私立児童の小学1年~3年生は市内で86名で、現状の入所数にプラスをしたとしても644名となり総定員の660名まで余裕があること。さらに定員の一割増しまでは入所を可能としているので待機児はないと考えている。あった場合でもなるべく出ないようにしたいとの答弁だった。

 仮に待機児が出るとなった場合、入会審査基準表に基づき入所の順位が決まるが、私立、市立での点数に差はなく、必要度の高い児童から入所となること。私立へ通学する児童は、帰宅の安全を考え学校の所在地ではなく自宅近くの学童へ入所することになるとの答弁もあった。

 市議会には「障害を持つ子どもたちの学童クラブ入所資格の緩和に関する陳情」が提出され、「私立小学校等の児童の放課後対策については、地域子ども館の利用を視野に入れながら充実を図られたい。また、障害児の学童クラブ入所延長は、低学年児童との体力差や心理面にも十分に配慮するなど、学童クラブにおける集団生活に配慮した上で、慎重に取り扱われたい」との意見付きで採択(賛成)されている。
 
 この陳情の審査のさい、市は障がい児は地域子ども館・あそべぇを利用して欲しいとしていたが、保護者が付き添うことなどの条件があり学童クラブの機能とはならないものだった。この市の方針も条例改正で大きく変更されることにもなる。

 ■“謎”の解明よりも子どものための施作を
 
 審査のなかで、なぜ、市立と条例に書き込まれたのを質問したところ、議会の議事録や過去の職員などへの聞き取り調査をしたが明らかな理由は分からないとの答弁だった。
 
 武蔵野市の学童クラブは、学童が法制化される前までは、昭和45年4月に施行された武蔵野市学童保育事業実施要領で運営されていたが、この要領にも『第1条 市立小学校低学年児童で~』と記載されていた。

 この要領の前、昭和40年8月に東京都学童クラブ事業(放課後児童健全育成事業)実施要綱が都内の区市町村へ通知されているが、ここには『本事業の対象児童は、法第6条の2の規定に基づき、保護者が労働等により昼間家庭にいない都内小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童であり、その他健全育成上指導を要する以下の児童も加えることができる(以下「放課後児童」という。)。

10歳を超える都内小学校就学児童。
都内盲・聾・養護学校小学部に就学している児童』

 と記載されていたように、都は4年生以上や擁護学校の児童も対象にできるとしていたのにもかかわらず「市立」と限定していたのが武蔵野市の学童クラブで、いわば、悪しき“特徴”だったのだ。

 なぜ同じ武蔵野市に住んでいるのに国立や私立、都立、なかでも都立特別支援学校(擁護学校)へ通う児童が入所できないのかという“謎”は解明されなかったが、理由は今になっては分からなくてもいい。
 どう考えても同じ市内の児童を区別してしまうこの条例はおかしいのであって、おかしなことは直していくという今回の市の姿勢は評価できるものだ。この一文を直すべきと主張してきた私としても、もろ手をあげての賛成だ。

 さらに、入所を可能とするだけではなく、障がい児の学童の新設までを考えていたことは高く評価したい。市の都合ではなく、子どもにとっては何が最も良いのか、この観点から他の施策の拡充も願うばかりだ。

【参考】
川名ゆうじのNEWS&コラム 障がい児の学童保育