図書館基本計画中間報告 課題は図書館員をどうするか

 図書館基本計画中間報告が公表され、パブリックコメントが募集されている。
 中間報告を読むと新たな図書館に生まれ変わろとしていることが良く分る。これまでの私が主張してきたことも反映されており評価できるが、そもそもの大きな課題に対して具体的に触れられていないのは気になる。



 中間報告は、第1章で計画の位置づけ、第2章で武蔵野市立図書館を取り巻く現状と課題があり第3章に基本方針が記載されている。

 注目したいのは、基本方針にある図書館の将来像のところだ。

『これまでの図書館は、いわゆる貸出サービスを中心とした取組みが主となってきました。その結果として、図書館本来の機能を十分果たせなくなっていました。貸出サービスがこれからも必要であることは変わりませんが、図書館がより市民や利用者にとって役に立つ機関であるためには、図書館の持つ多様な情報を活用して、市民の課題解決を支援するとともに、生涯学習に役立つ多様な情報提供を行っていくことが求められています。
 本計画では、市民活動が活発であるといった本市の特色や、本市が有する様々な地域資源の存在を踏まえて、図書館の「力」や図書館資料の持つ「力」を引き出す方策について検討を進め、武蔵野市立図書館の将来像を設定しました。』

 とあり、そのうえで将来像として下記の項目が記載されている。

(1) 図書や読書の大切さと喜びを実感出来、本のあるライフスタイルを提案・創造す
る図書館
(2) すべての人の学びを支援する図書館
(3) 地域住民の課題解決を支援する図書館
(4) 人々が交流し文化を創造する地域拠点としての図書館

 
“無料の貸し本屋”からの脱却を図り、レファレンスサービスなどの課題解決型、情報機関を目指していることが分る。好感が持てるものだ。

 しかし気になるのは、このような将来像を“誰”が築き上げるかだ。
  
 中間報告には、『質の高いサービスを提供する基盤として、図書館運営を担う人材育成を図るとともに、市民協働による図書館運営の体制を構築します』『長期的な視点に立った人材育成計画を策定し、高度化、多様化する利用者ニーズにも対応しうる体制を構築します。』『将来にわたって持続的に質の高いサービスを提供出来る、経営能力や将来ビジョンを持った職員の育成を図ります』とあり、図書館員という人材が重要としていることはいいのだが、そもそもの課題に言及していない。

 その課題とは、現在の図書館の職員は専門職採用ではないということ。吉祥寺図書館が開館するときにだけ専門職採用があったが、今では一般事務職として市役所に採用され、定期異動で図書館に配属されている職員が多いからだ。これは今の職員のレベルが低いというのではない。配属され努力してスキルを身につけても、すぐに異動してしまってはもったいないと思うからだ(ただ、図書館の異動は比較的長いサイクルのように思える)。

 いつ異動していしまうか分らない。しかも、人事異動は図書館の意思で行われないのだから、長期的な視野で人材育成することは無理としか思えない。

 このことは、基本計画の策定委員会でも、委員から指摘されていた。専門職採用もなく、定期異動があるのにどうやって人材計画を作るのか、との疑問が出され、異動があればすぐにレファレンスなどの研修を行っている、と図書館側が返答していたのだが、そのような研修や数年で図書館員になれるのなら、そもそも司書という資格は必要ない、と批判されていたほどだったからだ。

 人事異動は図書館側で決められることではなく、市役所全体として職員をどうするかの大きな課題だ。現在の市職員は、技術系や保育士など一部を除いて一般事務職(総合職)しか採用していない。図書館をより高度にするのであれば、専門職としての図書館員をどうするのか。じつは最も大きな課題なのに、この中間計画では触れられていないのだ。

 また、指定管理者についても疑問が残る記載がある。

 施設の管理・運営形態の項目に、『武蔵野プレイスについては、施設が有するすべての機能を一体化した管理運営が不可欠であることから、指定管理者による運営が予定されています』と記載されている一方で、『「社会教育法等の一部を改正する法律」案に対する委員会審議において「(略)(指定管理者)制度の導入による弊害についても十分配慮して、適切な管理運営体制の構築を目指すこと。」との附帯決議もされていることから、他の図書館の管理運営形態については、こうした状況を踏まえた上で検討が必要です。』とある。
 検討が必要なら、プレイスの指定管理者制度について、図書館としてどのような弊害があり、どのようにすれ解決できるかを基本計画に書くべきではないかと思う。基本計画は22年度からの計画だが、プレイスはこの計画期間中、23年7月にオープンするのに具体的には何も書かれていないからだ。

 他にも検討という文字が多い。数えてみると中間報告には56文字もあったほどだ。これでは、基本計画というよりも検討計画と思ってしまいそうだ。

 このような傾向は図書館基本計画だけではなく、武蔵野市のほかの計画でも同じ。検討計画を検討する計画が緊急課題とも思えてしまう。
 このことはさておき、住民ニーズは何か、何が必要なのかなど具体的な分析も弱いように思った。

 とはいえ、昭和60年の第二期長期計画・第一次調整計画で市内3駅勢圏に図書館を1館ずつ設置するという3館構想以来の図書館についての計画がこの基本計画だ。いわば、武蔵野市全体の図書館をどうすべきか、理念を描いたはじめての計画といえるものだ。

 内容的にも図書館の先端を意向との意欲が見られ熱意も感じられる。図書館員をどうするかを解決すれば、期待が持てる。

 パブコメは、12月15日(火)までに郵送、ファックスまたはEメールで受け付けている。ぜひ、ご意見をお寄せください。詳細は図書館のサイトで。

【参考】
武蔵野市図書館基本計画中間報告