学童とあそべぇの一体化

 第三次子どもプラン武蔵野が武蔵野市の公式サイトで公開され、パブリックコメントの募集も始まった。プランには保育園の運営主体だけではなく注目すべき記載は他にもある。そのひとつは、あそべぇと学童クラブの一体化についてだ。


 第三次子どもプラン武蔵野は、11月4日の市議会文教委員会で行政報告があり、あそべぇと学童クラブについて、いくつか質問をしてみた。
 プランには、『重点的取組8 地域子ども館あそべえと学童クラブの連携の推進と運営の一体化についての研究』とあるのだが、一体化とは何を示すのか明確ではないと思えたからだ(下記に中間報告p30を転載)。

 あそべぇのような全児童対策事業と学童クラブ(保育)をコストカットを主な目的として川崎市や品川区のように一体化している事例は多くあり、結果として、ひとり一人のこどもに目が届かなくなったとの報告を多く聞いている。
 例えば、子どもが遊んでいる最中に頭蓋骨骨折をしていたのに指導員が気が付かなかったとの例や子どもと話す時間はなく、施設の壁に張り付いて子どもが事故を起こさないように監視するのが仕事。まるでプールの監視員だ、とのある一体化した施設の指導員の話などだ。

 少子化が進むということは、子どもの環境が良くないことが大きな原因であり、それを何とかするために国も自治体も企業も対策を行うように法律まで作って進めているのが次世代育成支援対策推進法だろう。このプランは、調整計画のアクションプランであると同時に推進法で策定が義務づけられている市町村行動計画でもあることを考えれば、子どもにとってより悪くなる環境を生み出す計画にはすべきではない思い、特に注目して確認をしてみたのだ。

 答弁では、運営の一体化と記載されているが、事業の統合を意味するのではない。あそべぇと学童クラブの運営者、もしくは運営組織の一体化を研究を進めたいというものだった。
 杉並区などの自治体では、本来の全児童対策事業とも言える児童館で学童クラブ事業を行っていることを思い浮かべれば、同じような仕組みのほうが現状よりも環境は良くなると私も思う。同じ小学校や地域に住む子どもなのだから、縦割り的に事業を行うのではなく、連携して保育や遊びを行うほうがはるかに良いと思うからだ。

 このことについては注目したい答弁もあった。それは、このプランに児童館を0123(0歳~3歳までの乳幼児施設)に転用することを検討すると書かれてあることから、児童館をなくすのであれば、あそべぇにその機能を持たせるべきではないか、と質問をしたところ、児童厚生員の資格を持つスタッフで運営するなど児童館的な機能を持たせることも考えているとの答弁があったことだ(正式には議事録参照を)。

 児童館は、児童福祉法40条によれば「児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、または情操を豊かにすることを目的とする施設」であり、児童福祉施設最低基準により児童厚生員の資格を持つ者を置かなくてはならないと規定されている。いわば専門職が必要とされている。

 あそべぇは、そもそもは遊び場として考えられたもの。館長との名称はあるが、本来は管理業務が仕事になる。今回の答弁のように専門資格を持つスタッフを配置し、子どもにより関わることを本来の仕事にしていくこと。当然ながら、現在のような非正規ではなく、身分の保障もすることで、子どもの環境はより良くなると思う。学童クラブの指導員も非正規(嘱託)なのだから、同様に考える必要がある。
 具体的な姿が見えてないのだが、専門職を配置していくこと。ハコを新たに作るのではなく、現在ある事業をより高めることになること。そして、縦割りではなく子どもの環境をより良くしたいというこの方向性は間違っていない。少子化、そして、地域が難しくなっている今の時代だからこそ児童館機能(子どもと大人に関わる専門家がいる事業)が必要だと思うからだ。

 厚生労働省雇用均等・児童家庭局は、市町村が行動計画を策定するさいの手引きを平成21年3月に示している。国の指図をすべて受け入れろとは思わないが、『我が国は、児童の権利に関する条約の締約国としても子どもにかかわる種々の権利が擁護されるように施策を推進することが要請されている。このような中で子育て支援サービス等により影響を受けるのは多くは子ども自身であることから、次世代育成支援対策の推進においては子どもの幸せを第一に考え、子どもの利益が最大限に尊重されるよう配慮することが必要』と市町村行動計画及び都道府県行動計画の策定に当たっての基本的な視点として記載されていることを考えれば、今回のプランも子どもの幸せを第一に考えるべきだろう。子どもの権利を懐疑的に考えたり、コストが第一で考えてはならないと思う。
 この点も質問をしたが、当然ながらこの基本的な視点で策定しているとの答弁だった。

□■パブコメと市民ヒアリング

パブリックコメントは、2009年11月30日まで募集されている。市民ヒアリングは下記の日程だ。武蔵野の未来を描く子どもの環境をどのようにすればいいがご意見を!

・平成21年11月15日(日) 午後2時~3時30分
 会場:武蔵野市役所4階 412会議室

・平成21年11月18日(水) 午前10時~11時30分
 会場:武蔵野スイングホール11階 レインボーサロン

・平成21年11月20日(金) 午後7時~8時30分
 会場:武蔵野商工会館4階 市民会議室

 ※参加希望の方は当日直接会場へ

 それにしても気になるのは、少子化が進む武蔵野市として重要度の高い計画であるはずなのに、パブコメの実施も計画ができていることも市のサイトのトップページに掲載されていないことだ。トップページから左上の市民参加のページをわざわざ開いてみないと見つからない。市のサイトも考え直すべきではないかとも思う。
(その後、「お知らせ」でトップページに表示されたが、すぐに次のお知らせが並び、クリックしないと表示されない「お知らせの一覧」に埋もれてしまっている)

【参考】
「第三次子どもプラン武蔵野」中間報告及び同概要版
「第三次子どもプラン武蔵野」中間報告への意見募集について
「第三次子どもプラン武蔵野」策定に向けての市民ヒアリング

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■現状と課題
・地域子ども館あそべえは、保護者を含む地域住民、学校、行政が協力しあい、地域社会が一体となって、子どもを見守り育てるという小学生の放課後対策の一つとして、全小学校で「教室開放」、「校庭開放」、「図書室開放」を実施しています。
・学童クラブ事業は保護者の就労などにより放課後に家庭で保育を受けられない小学校低学年の児童に適切な遊びと生活の場を提供するため、全小学校区ごとに学童クラブを設けて実施しています。
・児童の安全確保と校庭利用などによる育成環境の充実のため、市は学童クラブの校内移転を推進しています。
・学童クラブの在籍児童は、同じ小学校内の地域子ども館あそべえを利用していますが、その際のルール作りなどの範囲について、施設間で明確に取り決めておく必要があります。また、市では、両施設のスタッフが一緒に研修を受講する機会を設けています。これらのことからも、更に連携を図っていく必要があると考えます。
・近年、両施設とも発達障害児や特別な配慮を要する児童の利用が多くなっており、あそべえのスタッフ及び学童クラブの指導員ともに障害児の育成に関する専門性を求められています。
・全児童施策の観点から、親の就労の有無、子どもの障害の有無やその状態などに関わらず、全ての児童には同じ育ちの環境が必要です。
・第四期長期計画・調整計画において、「地域子ども館あそべえや学童クラブ事業について、設置の目的や趣旨を踏まえ、連携を深める。統合については今後も研究を進めていく」ことが課題とされています。

■具体的な事業
◆連絡協議会の設置
・小学生の放課後対策全般の事項について協議するために、地域住民、行政、学校関係者、PTAや学童クラブの保護者などで構成される連絡協議会を設置し、地域子ども館あそべえ事業、学童クラブ事業、桜堤児童館事業に関わる小学生の放課後の時間の過ごし方について検討します。

◆あそべえと学童クラブの一体的な運営の研究
・地域子ども館あそべえと学童クラブとの、日常活動やイベント、スタッフの研修など、連携を一層進め、両施設の運営の一体化について研究を進めていきます。