【外環道路】本線の早期着工意見書へ議会は反発

 11月10日に市議会外環道路特別委員会が開催され、10月23日に練馬区、杉並区、武蔵野市、三鷹市、調布市、世田谷区の外環道路沿線首長の連名で出された「東京外かく環状道路(関越道~東名高速間)に関する要望」について執行部から説明があったが、この要望書に外環本線の早期着工を求める項目があったことから、特別委員会では発言した委員全員が、市のこれまでの方針を変更したととらえてしまい納得はできない。公式に変更していないことを意見書として提出しなすことや撤回を求めるなど批判的な意見が相次いだ。
 また、市長答弁から、現在行われている地上部街路に関する話し合いの会で意見がまとまらなかった場合は、地上部を作る理由がないことになり、廃止を検討する次のステップに入る。その時期は来年の8月、とのかなり踏み込んだ答弁があった。
 


 要望書には5項目があり、そのうちの3までが下記となっている。

1 適切な情報提供について
 外環本線の事業実施にあたっては、事前に地元住民や沿線区市に対し、適切かつ十分な情報提供を行うこと。

2 「対応の方針」について
 国及び都が、外環本線整備に伴う環境対策や蓋かけ部の環境整備などの地域の課題を、とりまとめ公表した「対応の方針」について、確実に履行するとともに、早期に事業説明会を開催するなど、地元住民や沿線区市の意見を聞きながら進めること。

3 外環本線の確実な実施について
 今年度必用な予算を確保するとともに、平成22年度以降も事業費の安定的な確保に取り組み、早期完成に向けて事業実施に努めること。

 
 このうち、3に『早期完成に向けて事業実施に努めること』とあることから、これまでの方針を変更したのかとの質問があいついだ。

 これまで市の見解は、本線については必要性は認めるが、地下水への影響など必要なデータを示すことや何よりも外環ノ2をどうするのか。廃止を含めて地元住民と協議することが着工への前提であり、市長はさらに現段階で外環ノ2の必要性を認めていないことも表明していた。

 議会はまた、平成18年12月20日に都市高速道路外郭環状線に関する意見書を全会一致で採択しており、ここには『外環ノ2の検討については全面廃止案を加え、地元住民・自治体との協議・対話を重視し、その解決に努めること。なお、早急に今後の検討の方向性及びスケジュール等を明確に示さない限り、外環本線の事業着手は容認できるものではない。』としていた。

 つまり、外環ノ2をの廃止する方向性を決めてからでないと本線の着工は認められない、着工するさいにはさらに必要なデータを示すことが大前提というのが議会側の認識であり、市も同じだったはずなのに、早期着工を求める要望書に署名したことはこれまでの考えを変更したとなるとの質問が、市民の党、共産党、民主党、自民党の委員から党派を問わずあいついだのだ。

 質問にたいして、市長や担当部長が答弁し、考えを変えてはいない。沿線区市長の要望書の当初案には文書のタイトルに早期の着工があったり、要望項目の上位にあったが、交渉したことでタイトルからなくし、十分協議をすることの項目を1番目に記載するようにした。このことにより、着工の前提に協議をすることになる。今回の要望書に共同署名をしないとこの協議ができなくなると判断して署名した。誤解があるようなら市民へ説明をする、としていた。

 それならば、早期着工は求めていないと再度、文書を出すことや撤回すべきではないか。議会の意見書をどのように考えているのかとの質問があったが、行うつもりはない。議会の意見書にも反していないとの答弁が続いていた。そのため委員会では、今回の答弁では納得することができない。委員の質問に対しても的確に返答していないため、あらためて委員会として明確な答弁を求めるとしてこの日は終わることになった。

■早期着工を明確に否定すべき

 委員会では、これまでの答弁や調整計画とも市の対応が変わっていると指摘があり、議事録を確認するために委員会が止まったほどだった。また、外環ノ2の方向性を示してからでないと本線の着工を認めないと議会は考えているとの指摘には、都市計画変更をしたのだから、本線と外環ノ2は別の道路。話し合いの会が始まったのだから、着工することへの矛盾はない、ととらえることができる答弁もあった。
 
 これらの答弁を聞いていると、作ると決めたのだから作る。どこが悪いのだ、という“お上”気質が充満しているように思えてならなかった。これまでの市は、国や都がなんと言おうと、住民の意見を十分反映し議会の意見も尊重する。住民と議会と市が一緒になり動こうとしていると私は考えていたのだが、市長は否定をしてはいたものの、この日の答弁では考え方を変更したととらえられても仕方がないものだった。明確に否定する必要があるはずだ。説明にも説得力を感じなかった。
 次回の委員会では、質問とは食い違う答弁をもう一度整理する必要がある。

■話し合いの会は、来年8月がリミット 

 私が話し合いの会について、現状で議論に入っていないことや都と委員との意識のずれなどから、およそ一年と考えられている期限では結論がでないのではないか。議論を打ち切らず、期間延長を市として求めてはどうか、との質問を行ったところ、市長は、いたずらに延ばすつもりはない。来年の8月で意見がまとまらなければ、地上部が必要との認識にならなかったことであり、どのように廃止するのかの次のステップに入るべきとの認識を示した。
 打ち切るというのは都や国を積極的にテーブルに付かせる駆け引き材料かと思っていたが、駆け引きはせず、正々堂々と決めて行うという意志表明なのだろうか。現実的にできるのかとの不安は残るが、期限を決める積極性は評価したい。

 外環道路は、根拠はないのだが今後の一年で大きな流れがでるのかもしれない。吉と出るか凶とでるか……。吉と出て欲しい。

■議会の役目
 それにしても、このような要望書が出されることは、くれるといったら絶対にくれ。自分の財布じゃないからお金をよこせ、というおねだり体質が国が政権交代しても自治体には残っているということではないかとも思った。自分の財布じゃなくても税金だ。このような体質だから国や自治体の借金が増えていくのではないか。今のこの時期に国民の税金を優先的に使うべき事業なのか。国だけではなく自治体も考えるべきだ。
 市を代表しているのは市長や市役所だけではない。多数の意志の集合体である議会にその重責はあるはずだ。この意味を考えれば、市の見解に理論的に異議をとなえ、議会として同じ意志を示していた今回の委員会は二元代表制の一方を担う議会として役目を果たしていたと思う。

【参考】 
平成19年1月10日 東京都市計画道路の変更に関する武蔵野市長としての意見
【外環道路】 議会の意見書 全会一致で採択