武蔵野市長選挙 むらかみ市長が再選

 武蔵野市長選挙は、10月4日に投票され即日開票の結果、現職のむらかみ守正氏(51歳、無所属。民主、共産、社民、生活者ネット支持)が3万3668票を得て再選した。対立候補の田中節男氏(64歳、無所属。自民、公明推薦)は1万4567票でむらかみ氏の圧勝だった。
 今回の選挙を通じて思ったのは、政策の競い合いにはならなかったこと。田中陣営の旧態依然とした選挙手法の“政権交代”が必要じゃないかということだ。



 ■選挙は未来を選択するもの

 選挙、特に一人を選ぶ首長選挙は、今後の任期の4年間の未来を有権者が選択するものだと思う。理想とする未来に向かって4年間をどのように市政を運営・経営するかのメニュー(政策)を示して、有権者が判断するために投票するものだと思う。だから、何をするのか約束するためにマニフェストが重要になる。実績も重要な判断材料だが、新人にはできないのだから、未来をどのように分かりやすく描くのか。このような未来を創るために必要な人材としての首長が必要だ、とのストーリーが必要だとも思っている。

 このことを考えれば、むらかみ氏は、私がむらかみ陣営の一員であることを差し引いても、派手さはないものの着実な実績は残しているし、今後4年間のメニューは示していると思う。これは現職の強みでもあるが、そうであるのなら、新人候補は、現職よりもさらに派手な、といえば語弊があるが、より魅力的な未来を示すべきではなかったかと思う。準備期間が短かったことは理解できるが、メニュー不足を何よりも感じた。

 ■批判は逆効果
 
 むらかみ市長の対立候補であった田中氏は、議員として6年間一緒させていただいたが、理論的に物事を考えられ、主張も筋が通っていた。議員として尊敬できる人だ。しかし、今回の市長選挙の戦術には疑問が残る。特に自治労や共産党の候補とのイメージを植え付けるような法定ビラには辟易した。
 自治労の応援があったかどうかは分からないが(連合はある)、政党で言えば、共産党だけではなく民主党も組織として支持を決めているのだから名前を出すべきだろう。それよりも、相手候補の批判だけで有権者が未来を託せるのかと思ったからだ。

 先の総選挙で自民党が民主党へのネガティブキャンペーンを行っていたが、批判だけでは有権者はかえってひいていしまい悪印象を持ってしまうことが分かっていたのかと思う。財団法人情報通信学会の間メディア社会研究会が自民党の民主党批判CMについて調査を行っているが、『63.5%が批判する政党に対して悪印象を受けた。自民党に投票した人の33%もネガティブCMについて悪い印象を持った』としているのにだ。
 また、むらかみ氏を応援している市民の多くは、土屋前市長時代への反発心を持っているのに、その本人が前面に出てくることで余計に火がつくことを考えていなかったのかとも思った。実はむらかみ対田中ではなく、むらかみ対土屋の選挙になってしまったようにも思えている。さらにいえば、民主対自民の構図にも乗ってしまったとも思えている。
 
 選挙は結果がすべて。何が良かったのは分からないが、田中氏という優れた人を候補としながらも旧態依然とした戦術に疑問を持ったのであえて書いてみた。時代は大きく変わっている。時計の針は戻らないのだ。

 ■投票率の低さ

 注目していた投票率は、43.03%。前回の44.67%を下回る過去最低だった。
 究極の市民参加はこの投票ではないだろうか。白黒をはっきりさせるには投票でしかできないし、自治基本条例の制定をマニフェストにむらかみ市長は記載していることを考えれば、住民投票をどのように位置づけるかが、最も大きな課題になるはずだ。このことを考えれば、この低さをどのように捉えるのか。市民参加を勧めるにしても、市民が参加しようとしないのであれば、意味をなさないから。投票だけではなく、参加したくなく仕組みも必要だ。これは市政にとって、最も大きな課題だろう。

 今回の市長選挙で再選を果たしたが、二期目となるむらかみ市長にも課題は残る。人間は万能ではないのだから、課題はあるのは当然。全有権者が白紙委任をしたのではないのだから、今回の選挙での批判を真摯に受け止めて、より良い市政運営・経営を行うべきだ。再選を果たしたことは祝福するが、再選が目的ではない。これからの4年間で結果を出すことに全力を尽くすべきだ。

【参考】
武蔵野市長選挙 開票結果
東京新聞 邑上氏、再選果たす 武蔵野市長選 『市民参加、評価された』
日刊スポーツ 衆院選で他党批判CMは“逆効果”だった