指定管理者制度と図書館への市の考え方

 図書館基本計画策定委員会では、武蔵野市の図書館が抱える大きな課題が指摘されていた。それは、多くの自治体で問題となっている指定管理者制度と図書館について、特に図書館員への市の考え方だ。
 


 武蔵野プレイスは、これまでに管理運営方針が出され、指定管理者制度で運営される予定となっている。指定管理者制度で運営するメリットとしては、人件費の削減が示されている。
 例えば、公務員で運営する場合は一人の年収が800万円となるが、現在想定されている市の外郭団体である財団法人が運営するのであれば、年収600万円となり一人あたり200万円を削減できるとしている。

 しかし、副委員長からは、年収800万と600万円の人で仕事内容は同じか? との質問があった。人件費が下がれば、パフォーマンスが下がるのが定説だ、という指摘だった。
 また、市の外郭団体であれば競争原理が働くのか。プレイスを指定にする理由がハッキリしない。人件費だけなら理由にならない。そもそも、他の館が直営でいいのか(中央と吉祥寺は現在のところは直営の予定)。スポーツ振興事業団の延命策になっていないか、との指摘もあった。

 市からの説明では、ワーキングプアにならない年収は想定している。他の機能もあるプレイスを一体的に管理するには指定管理者制度が良いとしていたものの、説得力には欠けていたように思えた。図書館以外の機能も含めて一体的に管理できないことは、逆説的に言えば、現在の市役所体制では縦割り行政であり、他の部署と連携することができないということにもなってしまうからだ。自らの組織を否定してまで指定管理者制度にこだわる必要があるとは現時点では思えない。

 何よりも、年収が違う職員が同じ職場にいて、同じ仕事をするのかというそもそもの疑問には、もっと考える必要があるはずだ。公務員である理由。給料が安い、あるいは高い理由は何か。誰にでも分かりやすく説明できるようにもすべきだろう。

 2008年6月の記事『情報が民主主義社会の通貨であれば、図書館はその銀行である』で書いたことだが、6月の第169回国会で「社会教育法等の一部を改正する法律案」が成立したさい、下記のような決議が付けられている。

『国民の生涯にわたる学習活動を支援し、学習需要の増加に応えていくため、公民館、図書館及び博物館等の社会教育施設における人材確保及びその在り方について検討するとともに、社会教育施設の利便性向上を図るため、指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮して、適切な管理運営体制の構築を目指すこと』

 弊害について、どのように検討されているのか、現時点でははっきりしていないのだ。

 さらに、注目すべきは、5月23日の衆議院の委員会で参考人は次のような発言をしている。

『図書館の運営の実績を決める要因は大きく分けると三つある。一つは、施設、建物。二番目は、その図書館に収蔵されている図書館資料、データベース、雑誌や新聞などの資料。三番目が、図書館で働く職員。
 この三つの中でのウエートは、施設が一割、資料が大体二割。残りの七割は、そこで働いている職員の資質』

 図書館職員の資質を武蔵野市としてどのように考えているか。上記のように年収の差による仕事内容も真剣に考える必要がある。今からでも明確な考え方を示すべきだと思う。年収ありきではなく、仕事の内容、資質はどのレベルを考えているのかも示すべきだろう。

 この時の国会参考人は、糸賀雅児慶應義塾大学文学部教授。図書館基本計画策定委員会の副委員長だ。先の「メニューのない焼鳥屋」発言も糸賀教授だった。

 委員会を傍聴していると、他の委員からも図書館について根本的な議論がおこなれている。プレイスを建設する前にこのメンバーでやっておけば良かったと思うが、時計の針は戻せない。この委員会がまだ続くことを考えれば、今後の基本計画に期待が持てると思った。プレイスに魂を入れるためにも注目すべき委員会だ。

【参考】
図書館基本計画策定委員会名簿(PDF)
ひと・まち・情報 創造館 武蔵野プレイス管理運営指針(H21.4)