公立保育園は民営化? それとも

5月14日の市議会文教委員会に「武蔵野市公立保育園の役割り及び認可保育園の運営形態を考える委員会」の設置についての行政報告があった。
長ったらしい委員会の名前だが、今の武蔵野市の公立保育園を考えると大きな変化が起きるかも、との気がする。



この委員会は、武蔵野市における公立保育園の役割を明確化するとともに、市における認可保育園の在り方について検討することが目的。第四期長期計画調整計画や公立保育園改革評価委員会報告書を受けての設置としている。

委員は、事務事業見直し推進担当部長、人事課長、企画調整課長、財務課長と子ども家庭部長や保育課長、園長などの保育園の職員。
設置期間は、21年5月20日~22年3月31日。検討結果は21年度に策定する「第三次子どもプラン武蔵野」に盛り込む予定だ。

委員会では、行財政アクションプランには民営化を視野にと書かれているが、委員は関係者ばかりであり、民営化を議論ができない。公立の自画自賛になるのではないか、との内容の質問があった。

答弁は、認可には公立と民間があり、認可が公立でなくてはいけないのかを検討する。公で果たすべき役割は何か、残すものがあるかを明確化したい、としていた。

★議会への報告は設置したことと設置要綱、委員の構成が記された文書だけで内容については良く分らないものだった。ただ、認可保育園としてのさまざまな運営形態を検討する、と記されていた。

武蔵野市では、公立保育園を民営化するのではなく、公立園のままで財政的な改革をするという「武蔵野方式」を行っている。これは、単純に言えば、正規を少なくし非正規職員である嘱託職員を増やして人件費を少なくすることだと思う。

この改革により、現在の各公立保育園では、正規3に対して嘱託1との割合の保育士となっている(アルバイトは別)。今後、正規職員の定年による退職(20年度~24年で21人・21年度予算審議要求資料より)を考えれば、正規の割合はさらに低くなっていくことになる。

しかし、公立保育園改革評価委員会報告書には、
『非正規職員の労働条件・給与体系は、保育現場の実態に適合しておらず、嘱託職員の勤務日数、アルバイト職員の雇用止め、同時間勤務での正規職員とかけ離れた報酬等、多くの問題があり、抜本的な待遇改善が必要である』
『保育というサービスの特性を考えると、公立園であれ民間園であれ、職員が安定的に長期間働ける環境であることが重要であり、そのためには、これらの格差をできるだけ解消し、職務に応じた評価がなされることが必要である』

とあり、嘱託職員の給与や雇用に課題が残されているとしている。
さらに、
『「武蔵野市公立保育園のあり方を考える委員会」で議論された「国内有数の質の高い保育」の実現を目指さなければならない。その過程で、保育のガバナンスの形態としての「武蔵野方式」では限界があると感じられる事態は、十分に生じ得ることであり、その場合には、ガバナンスの形態を抜本的に再検討しなければならない。「武蔵野方式」に代わるガバナンスの選択肢としては、例えば、
 ⅰ 公立園のままとするが、職員を大幅に非正規化する
 ⅱ 地方独立行政法人を設立し、そこに公立園を移管する
 ⅲ 社会福祉法人などの公益法人を設立して、公立園の運営を委託する
などの形態が考えられる。しかし、現状以上の非正規化を推進した場合には組織マネジメントに多くの困難を生ずることが予想され、保育の質の低下に対する深刻な懸念を招くであろうから、ⅰが適切な選択肢であるとは考えがたい。また、ⅱ、ⅲの中間的な選択肢も、その実効性がどの程度のものとなるかについては疑念を払拭し得ないところであり、結局は、民営化が検討されなければならないであろう』と記されている。

つまり、正規を減らしてく現状の「武蔵野方式」は限界に来ていること。非正規に頼る保育では高い質が保てないこと。地方独立法人か公益法人などを設立し公立園を委託する中間的な選択肢ができないのであれば民営化との考え方がすでに示されていることになる。

このことから、今回の運営形態を考える委員会は、公立保育園を民営化するのか、中間的な選択肢で運営にしていくのかの二者択一の答えを出すことが求められているのだと思う。

公立保育園を民営化するのか、それとも中間的な選択肢で運営するのか。保育にかかわる大きな問題になりそうだ。