境幼稚園の認定子ども園化と第三の道、準市場

5月14日の市議会文教委員会で「市立境幼稚園の発展的解消後の子育て支援施設検討委員会報告書」について行政報告があった。
内容的にはこれまで報告のあったように、認定子ども園にしていくこと。運営は、市が設立する財団法人、子ども協会にするというものだ。

しかし、たんに認定子ども園にするだけではなく、武蔵野市として国へ発信できる先行モデルとしても考えるべきだと思う。

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報告では、境幼稚園の保護者、地域住民へ説明会を行ってきたこと。保育所への待機児対策。境幼稚園で培われてきた幼児教育の成果継承。地域子育て支援をが必要であり、そのためは認定こども園にしたいとしていた。

運営にあたるのは、今度設立される財団法人である子ども協会。市が出資する財団で運営するため、市の考え方が反映できるためとしている。

住民の説明会では多くの意見があったが、定員と新たな施設へ改修するさいに園児を募集しない空白期間をなくして欲しい との意見が多かった。定員については、私立幼稚園に受け皿はあると考えているが、弾力的にできないか考えたい。空白期間は、他の公共施設で対応できないか検討しているとしていた。

委員会では、認定子ども園は反対、もっと幼稚園型にすべきだとの意見が議員からあったが、行政報告であり賛否を決めるものではないため、報告をうけるとの形で終わった。

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★報告書の概要は画像の資料のとおりだが、報告書には、公設公営、公設民営、民説民営でのランニングコストの試算が資料として示されていた。

○公設公営=3億800万円(人件費;2億6300万円)
 園児一人当たりの経費(保育料、補助金を除き足りない運営費に一般財源から支出する額)
 →250万円

○公設民営=2億3200万円(人件費;1億8700万円)
 園児一人当たりの経費(〃)→179万円

○民設民営=2億8700万円(人件費;1億8700万円)
 園児一人当たりの経費(〃)→145万円

※算定条件は、幼稚園タイプの定員46名、保育園児61名の計107名。
※公設民営と民設民営で人件費が同額なのに一人当たりの経費が異なるのは、民設民営には保育所運営費国・都負担金補助金があるため一般財源(市税)からの補填分が少なくなるため

この資料を見ると新たな施設はコスト優先で考えたとも考えてしまうが、委員会の答弁では、コストが安いからではない。質を確保しこども協会のノウハウと市が責任を持って運営をするためとしていた。

保育園は、公営=公務員保育士でなければならないとは思わないので、民間にすべてを任せてしまうのではなく、質を保つには市が責任を持つために関与するとの考え方は賛同できる。しかし、公設民営(こども協会)と民設民営での人件費を同額と考えていたことには疑問が残る。

それは、ある私立幼稚園の経営者に、先生への給料を上げたくても経営が限界で上げられない。そのため継続して勤めてもらえないとの話を伺ったことがあるからだ。

保育園を民営化して問題となるのは、コスト優先になり結果的に人件費を削らざるをえない。そのため給料を安くする、あるいは非正規にすることになり保育士を継続的に雇用ができず、質を保つことが難しくなるとの構図だ。話を伺った思ったのは現実の私立幼稚園で先んじて同じ構図になっているのだな、と思ったからだ。

保育の質を保つのは人、保育士であり幼稚園の教師であるはずだ。民間だから安ければいいのではなく、仕事として当然必要な給料は、公だから民だからではなく保障すべきだ(仕事は当然するとして)。このことは労働問題であり、本来は国がやるべきことだ。
だが、国として実行できないのであれば、武蔵野市が率先して国のモデルとなるよう必要な給料は保証するとの施策をすべきと思う。単純な比較はできないが、トニーブレア首相時代にイギリスで考えられた「第三の道」、あるいはすべてを民間、市場に任せるのはなく公も関わる「準市場」とういう考え方もあるからだ。

生活できる給料を保障できなければ質は保てない。市が責任を持って運営に携わるのであれば、直営、公務員というこれまでの考え方ではなく、こども協会などを活用して民間運営であっても必要な給料は補償する、市の責任や考え方も反映するという新たな考え方で構築すべきだと思う。民間への直接支援も必要になると思うが、これは市だけでは難しい。まずは市と資本の関係のある組織から、新たな考え方の組織にすべきであり、このことで公共、言い換えれば新たな公共を担うことにもなると思う。これは武蔵野から国を変えていくことになる発想になるはずだ。設立するだけではなく、より大きな理念を持つことも必要だろう。そのためのこども協会とすべきだ。民間と同じだからいいのではなく、必要な給料はいくらなのかをまず考えることも必要だ。

【参考】
Wikipedia 第三の道
      準市場