市と外郭団体

神奈川県藤沢市の観光協会を視察してきた。ここでは、江ノ島や海辺の風景をメインとしたフィルムコミッションが活躍しているなど積極的な市のPRを行っている。話を伺ってみると武蔵野市でも参考になることが多いと思えた。


観光協会は、藤沢市の外郭団体ととの位置づけて市が財政支援をおこない、市の職員を派遣している。これは、文化事業団やスポーツ振興事業団など武蔵野市の外郭団体と同様の形態だ。
しかし、藤沢市には、江ノ島や湘南という観光資源がすでにあり、多くの人が訪れている。そのような状況で、何ゆえに積極的に観光を進めているのか。

話を伺うと、多くの観光客が来ていることは確かだが、限定的に留まっている。例えば、海水浴客は海辺だけで江ノ島まで足を運ぶことは少なく、季節は夏だけ。
また、江ノ島に来る観光客は地域的には市の南部が多く、他の藤沢市内にまで足を運ばない。グリーンツーリズム事業を北部などで藤沢市としても進めていることから、せっかく来た観光客やすでに知られていることから江ノ島や湘南に興味を持っている人を藤沢市のほかの地域へと誘導すること。特に夏以外にも来てもらうようにとの戦略を持ち、各種の事業を行っているとしていた。

観光協会がないため同じ次元では考えられないが、これを武蔵野市で考えてみると、吉祥寺に多くの人が訪れているが、より魅力を宣伝するだけではなく、来た人をさらに他の地域へと誘導する事業を行っていることになる。言い換えれば、そのような組織があれば、武蔵野市の観光事業・商業振興をより進めることもできるではないかと思う。

さらに、フィルムコミッションを含めての事業は、市の宣伝をするだけではなく、その事業効果も明確にしていることは参考になった。マスコミなどで紹介された場合、その結果をまとめているだけではなく、宣伝費用に換算し、いくらの宣伝効果があったと明確にしていたからだ。たんに宣伝をしている、知らせているだけで終わってしまう事業があるが、事業費のアウトプットを費用として明確にしていたことは、いくらをかけていくらの成果があったとの説明もしやすく、事業の「見える化」にもつながるからだ。

もうひとつ興味深かったのは、外郭団体のメリットを生かしていることだった。
この観光事業を担当する市の職員がいるが、公務員の常として定期的な移動があり継続的に同じ人間が続けることが難しく、観光事業者やマスコミなどの人脈を保つことが困難になることが課題となってしまう。かといって、市の事業との密接な関係もあるため民間事業者にすべてを任せるわけにはいかない。

そこで、外郭団体であれば市の職員を派遣できること。外環団体で観光事業担当の職員を雇用することで人間関係も含めて事業を継続的に続ける人材を確保できるとしていたことだ。

公務員として外郭団体に派遣される市職員は、市の戦略や他の事業との連携を容易にするためのつなぎの役目。外郭団体の職員は、いわば専門職として雇用し、事業の継続や質を確保する役目、と整理する考え方でもあると思う。

武蔵野市にも外郭団体については同様の考え方があると思うが、外郭団体の目的や事業戦略、さらには、職員は専門職なのか事務職なのかも明確ではないのではないだろうか。藤沢市のこの考え方のように武蔵野市と外郭団体の関係を今一度精査する必要があるとも思った。そうすることで、より事業目的を達成しやすくなるはずだ。
武蔵野市と観光事業はあまり縁がないように思うこともあるが、事業戦略の考え方は参考になった。観光協会とまでは必要ないかもしれないが、市税を確保することを考えれば、同じ目的の組織や事業も必要ではないだろうか。

今回の視察は、ローカルマニフェスト推進議員連盟の研修として訪れたもの。藤沢市は、同じ議連の仲間であった海老根靖典さんが市長になったことが縁でもあった。

【参考】
湘南藤沢フィルムコミッション