育児・介護休業法改正案

厚生労働省が育児・介護休業法改正案の要綱を労働政策審議会に示したと報道されている。内容は、3歳未満の子どもがいる人が短時間勤務を選択できることを企業に義務付けるものだ。保育の問題を考えていくと、結局は働き方の問題、労働問題になることが多い。このことを考えると、発想としてはいいことだと思うが、実効性はあるのかとの疑問は残る。



保育園にはさまざまな課題があるが、よく言われるのことに、保育時間の延長がある。
現行では基本となる保育時間は、8時30分~16時30分だ。当然ながら、会社に勤め、通勤時間を考えればこの時間で対応できるわけがない。そのために、7時30分からの早朝保育、18時30分まで延ばす夕方保育があり、さらに武蔵野市の認可保育所の場合は19時15分(民間の認可保育所は20時)までの延長保育制度がある。私の過去もそうだったが、それでも時間に間に合わないこともあり、さらに延長をして欲しいとのニーズは多い。

この法案のように大手を振って短時間での勤務ができるとなれば、早くお迎えに行くことができるのだから延長保育が必要にならないだけでなく、子育ての負担感の軽減につながるだろう。子育て支援ともなるし、何よりも子どもにとって保護者との時間が増えることは基本的には良いことだと思うので歓迎したい改正だ。

しかしだ。仕事全体を考えれば、一人の勤務時間が短時間になれば効率が悪くなることが考えられる。残業をなくすといってもそう簡単にできるのだろうかとの疑問が残る。
使用者側からすれば、そんな面倒なことになりそうな社員を雇いたくない。あるいは、取るなとの“闇”約束をさせることが考えられる。さらに、零細企業など社員が少ない場合は、使用者側が短時間にさせてもいいと考えたとしても、時間数が少なくなった分を他の社員では補えないという現実的な問題があるはずだ。特に、代わりの人が簡単に対応できる内容の仕事ではない場合もあるだろう。

また、短時間となった場合、その分の給料が減ってしまい生活が続かなくなることも考えられる。制度があって取りたくても生活のためにできないこともあるはずだ。

こう考えていくと、減らした時間を誰がどのように補うのかを考えなくてはならない。
人を雇うのであれば、この人件費。他の人に負担が増えるのであれば、その分の賃金を補償するなどの財源が必要になると思うが、そこまで考えているのだろうか、との疑問が残る。罰金が考えられているようだが、少額では強制力なるかは疑わしい。社名公表でもどうなのだろうか。掛け声だけ、制度だけでは意味がないはずだ。

育休については公務員の場合、地方公務員の育児休業等に関する法律によって育休(無給になる)と元の職に戻れることが保証されており、育休を取る職員の代わりに臨時職員を取るように決められている。このようなことを民間会社にも義務付けること、というよりも当たり前と考える社会にすることも必要だろう。そこまで考えているのだろうか。それともできない相談なのだろうか。

【参考】
厚生労働省
「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案要綱」の答申について