まちには文化が必要だ

森ビルの社長、森稔さんのお話を伺った。都市プランナーとして進めているまちづくりについてがテーマ。興味深い内容だったが、実際にお会いして初めて“謎”が解けたことがあった。それは、六本木ヒルズに、なぜ美術館や図書館があるかだ。


森社長とお会いしたのは、マニフェスト大賞へ支援していただいていることへの挨拶だけではなく、地方議員への森社長の期待もあり実現したものだ。他の実行委員と一緒に六本木ヒルズにお邪魔して森社長と懇談させていただいた。

森ビルは、上海の開発などの巨大プロジェクトを行っているが、その理念となっているのは、「Vertical Garden City(立体緑園都市)」というものだ。超高層の建築物をつくることで、地上や地下に新たな空間を生み出し、緑や公共スペースを創り出そうというのが基本的な考え方だ。

この理念は、森ビルのサイトにあるのでご覧いただきたいが、この日の懇談では、以前から気になっていたことが聞けて非常に参考になった。
それは、都市にとっての文化とはなにか。東京での最新の都市開発である六本木ヒルズに、なぜ、図書館や美術館があるかということだ。都市開発といえば経済優先で利益を出せない美術館や図書館を作る必要がない。つくるなら公共がやるべきだろうと考えてしまいがちだと思うからだ。

森社長はこの疑問に対して、我々は苦労して美術館や図書館などの文化施設を作っている。それは、クリエイティブなまちでないと魅力がないからだ。クリエイティブな人が集まることで、クリエイティブなまちになる。そのための装置として必要と考えている。箱があればいいのではなく、利用されるソフトも重要、と話されていた。10億円以上も損をしているが、との生々しい話もあったが、たんに経済性だけを考えていてはまちの魅力がないということだと思う。
これは、行政がまちづくりを考えるときにも参考になるのではないだろうか。

ただし、それが分るかどうは、芸術的な感性が必要で、そのためには、教育、とりわけ芸術教育がなければならない、とも話されていた。たんに道路や構造物をつくるだけでは、魅力あるまちづくりはできないということだろう。

まちづくりについて行政とは何が違うのかも伺った。

森社長は、行政がやることは禁止ばかり。新しいことへ挑戦することも臆病だ。新しいことは、叩かれることもあるが、それでは、時代が変わってきていることに追いついていかない。
それと、我々は住んでいない人も考えている。行政は、今の人だけのまちになりがちで、住み続けられるまちにするためにここを考えているかどうかが違う、と話されていた。

そして、地方の再開発などは注意しないとゴーストタウン化する危険性がある。それは、吸引力を持てるかどうか、どのようなクリエイティブな産業を持てるかどうかで変わる。
小さな地域を見るのではなく、世界から見るべきだ。多くのまちを、当たり前の開発で食いつぶすのはもったいない。世界的な不景気のなかで、ユニークなことをしたほうが世界的な注目が集まる、とも話されていた。

武蔵野市では、駅前の新たなまちづくりがこれからの課題だろう。武蔵境の駅前には、図書館機能を中心とした武蔵野プレイスがこれからできる。三鷹には、駅前に武蔵野小劇場があり少し離れて文化会館。吉祥寺には、吉祥寺シアターと吉祥寺美術館が市の施設としてあり、多くのライブハウスやストリートミュージシャンも多い。作るだけ、あるだけではなく、これらをどのように活かすか。まちとしての魅力につなげるか。どのようのクリエイトしていくかが、武蔵野市としてのまちの魅力につながるのだと思う。

森社長の話を伺っていた考えたのは、まちづくりやまちの魅力は何かを分っていないことには、まちづくりが成功しないということだ。まちづくりには、行政の意識を変えることも重要だ。
まちの魅力は、将来の住民、新たにやってくる住民のためになり、武蔵野市が持続可能になる。その考えを、今こそ持つべきだ。まちには、文化が必要。だから、美術館も図書館が重要になる。作るだけでなく、どのようい活かすかが、今、問われている。