官製ワーキングプア

昨今では派遣切りなどにより非正規による雇用の問題が明確となっています。この問題は,民間だけの問題ではなく,自治体が自ら雇用する職員にも同様のことが行われています。非正規の自治体職員は,短期雇用が原則。自治労の調査によれば,全国の自治体職員の27・8%が非正規職員で,そのうち少なくとも67%は年収200万円以下なのだそうです。市民からみれば,同じ市の職員でも異なる雇用形態であり“格差”があることになります。
今年1月、総務省がこの問題に対して設置していた研究会の報告書がまとまりましたが,正規にする考えはなく,制度の原則から原則1年以内の雇用にすべきと指導するように思える内容となっています。

市の職員には,任期がないフルタイム勤務職員を正規職員と定義をすると地方公務員法3条を根拠とする特別職非常勤職員,同法17条を根拠とする一般職非常勤職員,同法22条2項・5項を根拠とする臨時的任用職員。さらに,複数年の期限が決められている任期付き職員との制度での採用を含め,嘱託職員,臨時職員と呼ばれる多くの非正規職員が自治体の業務を支えています。これは,武蔵野市も例外ではありません。

法律の定義を当てはめるとすれば,『臨時的・補助的な業務又は特定の学識・経験を要する職務に任期を限って任用するもの』となり,原則半年,延長して1年に限るとされています。

さらに,非正規職員の場合,「任用」として採用されます。「任用」とは,『人をある役目につかせて、使うこと』(大辞林)であり,任命権者が決めることで成立するもの。民間であれば雇用契約を結ぶことで,ある程度の雇用が守られますが,自治体の非正規職員にはないとされています。

また,複数年経過することで「任用」しない,いわゆる雇用止めを行っている自治体が多いことも問題です。正規と同じように長期間勤務するのであれば,正規にすべきとの考え方が背景にあるようですが,本人の能力や仕事内容とは関係なく,継続的に仕事を続けさせないことが良いはずがありません。

しかし,一般的な事務職や窓口業務なども含め,多くの職種に非正規職員が携わっているのが現実であり,市役所にとってはなくてはならない職員となっています。複数年以上勤務している人も多く,正規職員が3年程度で職場を異動していることから,実際の業務内容は,非正規職員のほうが良く知っており,正規が非正規職員に仕事の内容を教わっているとの話もよく聞かれるほどです。

民間での非正規雇用が問題となっているなか,自治体が自ら,民間よりも悪条件で市の業務,つまりは,市民サービスを担わせていいわけがありません。

これらの問題は,市の職員が正規公務員が非正規、あるいは任期付しかないという現行の法制度にそもそもの課題があり,国が考えるべきことは思いますが,手をこまねいているのではなく,現状を改善する必要があるはずです。

平成21年1月23日に出された「地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書」では、この問題の改善の方向性は出されず,「適正な運用」を求めているなど実体とは異なった方向性ではないかと危惧をする内容であったこともよく考える必要があります。

とは言っても,すべての職員を正規の公務員にすべきとは思いません。公務員でなければならない仕事を明確したうえで,仕事ができる人材であれば、報いることを当然ながら考えるべきで公務員ではない正規雇用を考えるべきだと思います。

そこで,今回の一般質問では,すべてが公務員ではなくても良い業務があることや専門職としての雇用がしやすいことを考えれば,例えば,扶養の範囲内など本人が望むのであれば別ですが、外郭団体などで正規雇用することを考えてどうか。正規にすることで,よりインセンティブが働き雇用の安定化だけではなく,結果的には仕事の質を上げ市民利益につながることが考えられるはず,と提案をしました。

指定管理者制度も同様ですが,安易な経費削減や非正規を増やすようなアウトソーシングは,結局は市民にツケが回ることも考えられるからです。

答弁としては,ハイそうですね,とはなるはずがありませんので,今すぐに何かが変わる状況にはなっていません。正規か非正規ではない第三の選択や外環団体の整理含めての“市役所改革”が必要です。

非正規を正規として雇用している事例は,愛知県高浜市で行われている高浜市総合サービス株式会社があります。同社については別の機会にしますが,参考になるはずです。

【参考】
総務省 地方公務員の短時間勤務の在り方に関する研究会報告書について

自治労 談話 総務省「地方公務員の短時間勤務のあり方に関する研究会報告」について

地方公務員法