市民活動、NPO支援センターの課題

43641e58.JPG三鷹市民協働センターを訪れて、三鷹の市民活動支援の手法や行政とNPO、NPOセンターの課題を伺ってきました。
三鷹のセンターはNPOが指定管理者として受託していますが、市の職員が派遣されており、いわば公設公営です。市職員があえて携わる意味はどこにあるのでしょうか。


三鷹市民活動センターは、昨年11月に5周年を迎えています。武蔵野市には同様の機能を持つ市民活動サロンが市役所西棟7階にありますが、時期を考えれば武蔵野市の先輩格ともいえます。

■市民協働センターの開設

このセンターが設立した経緯は、平成11年にあった「みたか市民プラン21会議」からの流れをくむ「三鷹市まちづくり研究所」(平成14年設置)が、初めから固定的な運営を行うのではなく、試行的な設置・運営からスタートすることを提案したことがきっかけ。
平成15年12月に開設され、当初はニーズ把握などを行いながら試行的に運営を行い、概ね3年間は市が運営し、その後は段階的に事業を拡充しNPO(以下、市民、市民団体なども含む)による協働運営への移行を目指してきました。
ちょうどそのころ、東京都が持っていた労政会館を手放すことになったことから三鷹市が格安で入手できたこともきっかけになったのだそうです。

お話を伺ったのはセンター長。

まず、役割としては下記があるとされていました。

・協働のまちづくりの推進
・NPO、市民活動の支援
・まちづくりに関するこ市民参加の窓口
・市民活動の場の提供と交流
・情報交流機関

内容的にはNPO支援の中間組織であり、ごく一般的なものですが、このセンターだけではなく、多くの自治体にある協働センターやNPOセンターなどの課題も含めて話を伺うと、多くの自治体で課題となっていることが浮き彫りになってきました。

 ■NPO支援センターの課題

たとえば、三鷹のセンターは、市民参加を促すこと。パブコメなど参加しやすいように応援している。情報も出す組織と認識しており、そのために、行政とNPOとはパートナーシップ協定を結んでいる。多くの自体では、行政の下請けと思われていたり、NPOの気持ちを行政が分かってくれないとの役所への不平が多い。それは、一業者とNPOが同じにとらえられているから。

自己実現のために活動することもあるのがNPO。行政の理屈の当てはめようとするから、理解がきていない。行政は業者のほうがやりやすいだろう。文句も言われないから、と話されていました。

いわゆる、上から目線に行政はなってしまうことが多いが、NPOは経済的にきついので行政に応じている場合が多いのが実情。

このことを防ぐために、三鷹市ではNPOと協定を作っている。これは、自治基本条例にも位置づけられているもの、とされていました。

その一方でNPOにも課題があるのだそうです。

 ■NPOの課題

NPO法ができて10年たつが、事業費を自ら獲得して活動しているのは10分の1ぐらい。設立はされても半数はすでになくなっていると言われている。それは、経済的に脆弱なNPOが多いことが理由。NPOに対する寄付控除制度が不整備なことも背景にはあるが、現状では、心地良い慈善活動にとどまっており、成果をあげている団体は少ないのが実情。

NPOには、住んでいるからその場所でやるのではなく、必要とされている場所を捜すなどのニーズ調査を行うことなどが必要。武蔵野には武蔵野、三鷹には三鷹の特性をリサーチして活動すべき。これを行っているのが成功しているNPOだ。

また、非営利の解釈に誤解がある。それは、非営利団体だからとって営業や経営努力をしていない例が多い。これは、寄付が少ないことに現れているし、NPOで働くスタッフの賃金にも出ることがある。NPOであっても、スタッフ賃金は最低賃金法を守らなくれはならない。労働対価は利益の分配にならなず必要経費となるなど経営感覚も必要だ。これを怠り、逮捕されたことがあるほどだ。

今は、CSR(企業の社会的責任)が重視されており、NPOにはチャンスはある。しかし、企業は、どのようなNPOでもいいのではなく、経営感覚を持っているまともなNPOと連携したい。NPO側には、その姿勢も求められえているのではないか。

草の根活動をやりたいのなら、NPOという法人にはならないほうがいい、とも話されていました。

 ■NPOセンターの課題

多くの自治体で、NPO支援センターは上手くいっていないが、それは、思いだけが先行していまうことが原因ではないか。市民は肌で感じるもので、反応はすぐに出てくる。センターのスタッフには“おもてなし”が必要と話されていました。

このセンターは、現状では多くの人が訪れていますが、開設当時は閑古鳥だったのだそうです。しかし、その後、“おもてなし”を心がけるようになり利用者は増えた、と話されていました。

“おもてなし”とは、「いらっしゃいまえ」「ありがとう」の言葉と常に笑顔で接すること。着てくれれる人と目を合わせられないのではだめという基本的なことで、そのためにスタッフにセンターで接遇研修もしているのだそうです。

さらに、人が来てもらうようにイベントなどの仕掛けも重要だとも話されていました。

つまりは、スタッフが受付カウンターに座っているだけではダメということでしょう。人を呼ぶ込むためのイベントなどの仕掛け。そして、来てもらったら居心地がいいように接することが大切ということ。接客としては当たり前のことですが、これが出てきていないセンターが多いということかもしれません。

また、センターの運営をNPOに任せるとその特定NPOのサロン化していまうこと。NPO同士の連絡会で行うとその会の会員だけのものになり、排他的になることもあるのだそうです。

このことから、ある市では委託を切ったところ、その連絡会の加盟NPOと新たなNPOとは口も利きたくないという険悪な関係になった例もあると話されていました。

すべてのセンターこのようになるとはいえないでしょうが、そこに市の正規職員がいるメリットがあるとされていました。

 ■行政の正規職員がいるメリット

行政は、公平・中立であり利用者全員にサービスしなくてはならない原則があります。そのために、このようなセンター、中間支援組織には適しているとされていました。

また、このセンターは、スタート時にはどのような形にするという方針がなかったのだそうです。そのため、例えば、臨時職員のように行政に雇用されていたとしても決定権がないと方針を作ることができないため、正規であるメリットがあったとも話されていました。

しかし、運営方法にマニュアルがあるわけでもないので、今でもセンター長であってもトイレ掃除をする。このような組織では、何でもできる人でないとできない。それに、行政職員誰にでも言えることだが、仕事情熱で向上心がある、人への思いやりがあること必要で、やらされ感での仕事ではダメになると話されていました。

結局は人の資質の問題とも思いましたが、公平・中立に支援するには市の正規職員のほうがメリットがあるとの話には注目すべきだと思います。

 ■想定外のメリット

また、正規職員であることで、他の役割ができているとの話もありました。それは、市役所との市民との間を取り持つ役割です。

このセンターカウンターにいると、いろいろな問題や困ったことを市役所のどこに言えばいいのか分からないとの相談を受けるのだそうです。
そのため、どのような話かを聞いたうえで、担当部署に連絡したり、一緒に市役所にまでいくと話されていました。

市民にとっては、市役所のハードルは高く、どこへ行けばいいのはすぐには分からないしどのように話せばいいのか分からないので、頼りになるのだそうです。
行政にとっては、市民が何を言いたいのか分からない。文句だけを言われてしまう、突き上げられてしまうのではないかとの不安がある。しかし、間に市の職員がいることで、ワンクッションになり市民にも行政にも役立っている、とされていました。

市民への中間支援と考えれば、想像できなかったメリットもあることになります。

 ■理念

おおよその運営方法などを聞いたあとで、他の参加者と意見交換を行いました。
そのなかで、市民活動にもいろいろあるが、どこまで支援をしているのか、政治・宗教は支援できないにしろ、市民活動にもいろいろあるからとの話がありました。

このセンターの実例ですが、ある事業について、行政を批判する団体がチラシを印刷しに来ていたが、センターとしては、阻害はしなかった。ある事業について、市民の間で賛否が分かれ、双方がチラシの印刷にきていたこともあったと話されていました。

市民活動を支援するということは、賛成反対双方を支援しなければならない。行政批判でも自由で自主的な活動を支援するという理念をセンターは理解しなくてはならない。市民参加を前提とするのがこのようなセンターであり、賛否の議論は合意形成のプロセスのために必要だ、という強い信念があったとされていました。

賛否の分かれた市民団体でも、今では、センターの運営を担う人たちとなっているのだそうです。

別の職員の話として、このセンター設立に携わった別の職員から、自分がかかわった施設で批判ビラを印刷されいるのだからたまらない。でも、しょうがないとしか言えない。批判でも市民の活動だから、印刷できるのは当然だと考えているとの話も聞いたことがあります。

三鷹市近隣のある市では、行政を批判(当事者は事実を伝えただけと考えている)する団体だから印刷機を使わせない、との例がありましたが、考えかたに大きな差があることには驚きました。

これが、正規職員ではなくNPOなどがセンターの運営を受託していた場合は、契約が破棄される怖さがあり、そこまでできないだろうとの意見が出されましたが、気になる点です。

また、市民を支援するのであれば、コミセンでも同じではないか。コミセンとなにが違うのか、との疑問も出されました。

答えは、ひとことで言うとすればコミセンはその土地に住む人の関係を結ぶものでセンターは、住む場所は関係なく必要としている市民を結ぶもの。コミセンが縦の関係であれば、センターは横の関係作りのようなものだそうです。

ある施設を作ると、その施設コミュニティができてしまい排他的になる。このことを突破するイメージをもって作ってきたとの話にも興味深いものがありました。

自治体によりNPOセンターや協働センターなどの運営手法は違いますし、その地域の実情に合わせて運営をすべきです。
しかし、あえて公設公営という手法を行っている三鷹市の例は非常に参考になるのではないでしょうか。とうぜんながら、正規だからすべていいのではなく、その職員がいい仕事しているにということが大前提です。人には向き不向きもありますから、その仕事に適した職員を配置するマネジメント能力も行政には必要でしょう。

百聞は一見にしかず。このほかにも参考になる話を数多くうかがいました。センターのみなさまへ感謝申し上げます。
(今回の訪問は現代都市政策研究会の例会としてでてした)