みどりのこども館 期待と不安

市議会の12月議会(20年第四回定例会)で、「みどりのこども館」の条例が成立しました。
みどりのこども館は、新たにできるこども施設であり、今までにない取り組みを武蔵野市として実施することになるので期待をしたいのですが、現行の法制度のままで理念を生かせるのか、懸念があります。

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みどりのこども館は、これまでに実施してきている「療育相談室ハビット」と「こども発達支援室ウィズ」(通園による支援事業)に加え、地域開放型施設「おもちゃのぐるりん」が併設される複合施設です。
場所は、現在、建替え工事が行われている緑町の都営住宅の一階部分にあり、児童公園に隣接しています。

これまで、とかく縦割り的に実施されることが多いこども施策ですが、この事業は、いわばこどもを共通キーワードとした横の連携を図る施設となります。この意味では事業として評価しますし、期待を持っています。

しかし、この施設について懸念が残されていると思います。
そのひとつは、障害者自立支援法により、サービス利用料が必要になることです。
一定の所得があるのであれば、事業の持続性を考えれば利用料は必要でしょう。しかし、他に選択できるサービスではなく、しかも、自ら選んで生き方を選択したのではない人からサービス料金を一律に取る、との考え方には納得ができないからです。

ただ、当初は一律に費用の一割を負担するとの想定で始まっていましたが、多くの批判があったことからだと思いますが、現在では1カ月あたりの「月額負担上限額」が設けられています。所得や資産などの個別状況によりけりですが、一般の人で上限が月3万7200円から2万4600円、1万5000円、0円(生活保護世帯)などと費用負担への軽減措置が行われています。このことを考えると、そもそも障害者自立支援法は何だったのか、になってしまいます。軽減自体には反対をしませんが、そもそもを考えれば、法律自体の撤廃を含めた見直しが必要ではないでしょうか。

もうひとつの懸念は、指定管理者制度です。

事業者の競争により経費削減と質の向上を目的とした制度ですが、そもそも、福祉分野では利益がでる事業ではないこと。結局は、人材に頼ることが多い事業であることを考えれば、最長で5年ごとに入札が基本となる制度では、事業者が長期的に人材を雇用し難いことになり、質の高さを継続できるのかとの課題があります。

今回は最初ということもあり、これまで武蔵野市の事業で実績のある社会福祉法人が指定管理先となっていることから、指定管理の条例に賛成をしましたが、5年後はどうなるのでしょうか。

midorikodomo02一定のスキルを持った人材を雇用すれば、当然人件費は必要になりますが、人件費を抑えもっと安い事業費でできるというほかの事業者が入札に参加したいとした場合、どのように対応するのか明確ではありません。
不必要な事業費は抑えるべきですが、事業費は質とのバランスです。どう質を保つのか。質を左右する人材をどのようの雇用していくのか。必要な質を保つための人件費は必要だと思いますが、その明確な基準が明確ではない現状では、次の契約時に不安が残されたままといえます。

国を変えるしかないのかもしれませんが、期待と不安が残された事業に思えました。

以下は、本会議で行った賛成討論です。

写真は2008年11月に行った現地視察での施設の様子

ただいま上程されました、議案第75号武蔵野市立みどりのこども館条例、議案題84号武蔵野市みどりのこども館の指定管理者の指定について賛成討論をします。

本議案は、さまざまな事業を横断的につなげるあらたな事業であり、先ごろ示されました「地域リハビリテーション」の理念を具体化する事業として評価をします。
しかしながら、委員会の議論でもありましたように、国の制度による課題があると考えられます。その制度とは、障害者自立支援法であり、指定管理者制度の課題です。

今回、利用者から要望書をいただきましたが、その内容からは、市の事業というよりも、障害者自立支援法自体に大きな問題を持つことが明確となっています。誰でもが平等に生きていく権利を持つと考えれば、そもそも、障害者施策をサービスと呼ぶべきかなど抜本的に変えなくてはならない法律であることは明確です。

市としてこれまで、さまざま対応をしてきたことは評価しますが、その当事者に果たしてどの程度伝わっていたのかの疑問も残っています。

委員会質疑では、当事者とのコミュニケーション不足への反省と今後へ対応を行う趣旨の答弁がありました。この答弁の内容を評価するとともに、今後の丁寧な対応を行うことを要望としておきます。

また、今回、指定管理者制度により事業を実施することになりますが、そもそも、福祉事業に指定管理者制度はなじむのかとの疑問もあります。事業が継続的に実施できるのか。最も重要な人材の確保ができるのかという問題があることを考えると、この制度には課題が残されています。

委員会では、市長からこれらの制度の課題については、国へ意見を上げていくとの趣旨の答弁がありました。ぜひとも、最も市民に近い基礎自治体として制度の課題を明確にして、国民の生活のために声を上げていただくよう要望をしておきます。

国の法律、制度に課題があるなか、緑の子ども館事業が実施されることになりますが、制度ありきで考えるのではなく、当事者を含む市民のために、何が最もいいのか。市民とともに考え、理解を得ながら実施されることを要望して賛成といたします。

【参考】
武蔵野市 利用者負担のしくみ(障害福祉サービス)
 ※ 制度がすぐに変わるので詳細は担当課で確認が必要です。現状では、さらに細かな対応が行われています。