道路交通量予測、下方修正へ

新聞報道によると、国土交通省は将来の車の交通量を予測する「交通需要推計」で、2030年の見通しを前回予測(02年)から1割以上、下方修正する方針、と伝えています。
これまで、2020年までは交通量が増え続けるとして各地の道路建設を進めてきましたが、下方修正によって、道路の計画自体が見直されることになります。当然ながら、外環道路にも影響があるのではないでしょうか。

国土交通省は、今年の4月から「(前略)道路行政においては、より効果的・効率的な実施と、透明性・アカンタビリティが求められており、道路計画等の基礎となる将来交通量を得る交通需要推計については、その前提条件、推計モデル等について、高い客観性、合理性が求められています。
交通需要推計を行うためには、社会経済の動向やそれらが将来交通量に及ぼす影響を判断し、これを定量化するためのモデル構築が必要となります。そのため、道路の将来交通需要推計において必要となる今後の交通動向の把握、推計モデルの妥当性等について検討を行い、必要な助言を行って頂くことを目的」として「道路の将来交通需要推計に関する検討会」を設置しています。

11月24日の委員会に出された「道路の将来交通需要推計に関する検討会報告書(案)」を見ると、
「2003年以前のデータに比べ、3%程度小さくなる影響が出ているものと推計されるとあり、以下のような特徴も記されています。「→」以降は、川名の解釈。

・将来人口は減少傾向で推移し、2030年で2005年の90.2%になるものと見込まれている。
→人口は減る

・実質GDPの伸び率は、例えば2013年から2020年までは2%程度、2021年から2030年までは1%台半ばと見込まれている。
→経済発展もあまり見込めない

・人口あたり乗用車保有台数について、都道府県別の特性分析を行った結果、東京都、神奈川県、大阪府では、2000年頃から横ばいか減少傾向で推移し、それ以外の道府県では、増加傾向で推移
→地方では必需品であり高齢者も増えるので車の台数は増えるが、大都市圏では横ばい

・世帯あたり保有台数の増加や世帯人員の減少により、「平均輸送人数」は、通勤・通学目的においては微減、家事・買物、観光レジャーにおいては減少傾向で推移
→車の使用頻度は減る

・「貨物車分担率」は、1980年以降、石油・石油製品や化学工業品では増加傾向が見られる一方、その他多くの品目で横ばいの傾向となっている。将来の「貨物車分担率」については、石油・石油製品及び化学工業品については、必ずしも今後も増加傾向が続くものとは想定されにくい
→トラックが運ぶ荷物は減る

・営業用普通貨物車では、「貨物車の大型化」と「積載効率の低下」が進んでいるが、長距離輸送では「貨物車の大型化」の影響が大きく、「1台当たり平均積載トン数」は増加傾向にある。一方、短距離輸送では戸別・小口化が進展していることから、「1台当たり平均輸送トン数」は減少
→長距離は荷物の集積化で台数が減り、近距離は宅配便などで台数が増えている →高速道路の利用が減るのでは

との理由などで、これまで想定していたように道路が必要なのかという議論になるのだと思います。

しかし、次のような気になる記述もあります。

「今回の交通需要推計の結果によっては、自動車交通量の変化に伴う道路空間の再配分による自転車・歩行者空間の確保など、幅広い道路政策の展開が期待される。これまでの道路政策は、交通量という量的変化によって判断されてきた面が強いが、今後は高齢者ドライバーに配慮した幅員にゆとりのある道路の充実など、道路利用の質的変化への対応という面にも視点を向けるべきである。
また、道路政策は自動車交通量の変化により影響を受けることもある一方、歩行空間のバリアフリー化、通学路の整備、防災対策など、整備が遅れている分野において必ずしも自動車交通量の変化にその必要性が左右されるものではない課題も多く、これらについても着実な実施を求めていきたい」

道路には新たな役目があり、交通量が減ったとしても整備は続けるべきとの意見のようですね。

本当に必要か、いらないのか。あるいは、今必要なのか。それとも、もっと他に優先すべき課題があるのか。これらを判断するのは、政治の仕事だと思います。その判断が待たれているのではないでしょうか。

もっと分かりやすく端的に書いて欲しいと思った報告書(案)ですが、正式になれば違うのでしょうか。さてさて。

【参考】
毎日jp 自動車交通量:30年まで横ばい 道路需要推計を下方修正--国交省方針
道路の将来交通需要推計に関する検討会報告書(案)
国土交通省 「第1回 道路の将来交通需要推計に関する検討会」の開催について
      「第8回 道路の将来交通需要推計に関する検討会 資料