議院内閣制

菅直人民主党代表代行の出版記念パーティー&シンポジウム「民主党政権がめざす国の形」が10月19日にありました。シンポジウムのゲストは、片山善博さん(慶応大学教授・元鳥取県知事)、佐藤優さん(作家・元外務相)、宮台真司さん(首都大学東京教授)。時節柄、政局の話が多かったのですが、今の政治は、官僚内閣制であり、真の議議院内閣制に変えなくてはならない。毎年のように総理大臣が変わっている昨今の状況は、満州事変の頃と同じではないか、との指摘もあり、参考になる内容が多かったシンポジウムだったと思いました。


シンポジウムは、「90年代の証言 菅直人 市民運動から政治闘争へ」(朝日新聞出版)の出版を記念して都内のホテルで開催されたもの。身動きがままならいほど、多くの人が来場されていましたが、やはり興味深かったのはシンポジウムでの、菅さんをはじめとしたパネラーの発言でした。

菅さんからは、厚生大臣だった当時、閣議があってもほとんどは事務次官が決めており、たんなる署名をするサイン会でしかなかった。大臣になると、このようになっていますから、こうしてくださいと官僚が仕切っているのが現実で政治主導ではなかった。今の自民党政治では、業界団体とつながっている自民党本部がコントロールしていることもあり、政治家主導ではなく(それも小泉改革で壊れてしまっているそうです)官僚主導政治となっている。

各省庁に副大臣などに政治家がなるが、本人の意思や能力ではなく派閥のバランスなどで決まるもので、大臣でさえ誰がなるのか分からないようだ。大臣も、自分で思っていた省庁ではない大臣になってしまう人もいるが、それでも、そつなくやれてしまうのは官僚がコントロールしているからだ。これでは、省庁をコントロールできるわけがない。
民主党政権になれば、大臣を含めて、能力のある政治家、適材な人でチームを作って省庁に入っていくことで、真の議院内閣制、本来の姿に変えていく。

日本は国民が選んだ国会議員が総理大臣を決める議院内閣制をとっている。国会議員の仕事には総理大臣を決めることが重要なはずだが、現状ではその役目も果たしていない。予算も官僚任せではなく、特別会計も含めて国民が選んだ政治家の主導、国民主権に変えると持論を話していました。

これらの発言に対して、官僚出身である片山さんや佐藤さんは、官僚がシナリオを作っており、それに政治家が自分でやっているように見せるだけ。年末になると、予算の復活折衝が大臣と財務大臣とで行われマスコミの注目を集めるが、これもシナリオができていて、何かの予算を残せば大臣の手柄にするなど官僚同士で落としどころを描いている。単なる雑談をして帰ってくる大臣もいるほどだ、と官僚主導の内幕も話されていました。

また、官僚をコントロールするには、予算を指示することと人事を握ること。人事は、このようになっていますから、と官僚主導で行われることが多いが、ここをコントロールすることで官僚を使えるかどうかが決まる。小泉さんなどは、ここが上手く、官僚にとって怖い存在だった。ただ、某大臣のように闇雲にやることは乱暴なだけであってかえって混乱する。官僚の内情を知って人事に手を付けるべきとの話がありました。

例えば、外務省では川口賞という表彰制度を作りいい仕事をした官僚を表彰する制度がある。賞品は川口元大臣の勝負色である赤にしたTシャツでしかないが、この賞を取るために官僚は目の色を変えていたほどだ。制度の良し悪しは別としても、官僚をよく分かっているということだ。

そして、今の官僚は国民のためではなく省益のために仕事をしているようなもの。例えば、高速道路の料金を土日に限って一律1000円という景気刺激策が出されているが、ETC利用者だけに限っていることを知れば、その理由がよく分かる。土日に車を使うだけのサラリーマンなどはETCの利用者が少ないため、利用者を増やすことが目的だ。ETCのための財団法人が作られており、民間から人が入っているが、官僚の天下り先にもなっており、この財団の存続のためにやっているのが背景だ。同じようなことはたくさんある、との話も出てきていました。

官僚を活かすも活かさないも政治家しだいということでしょうか。その政治家に民意が反映されていない今の状況も考える必要があるのかもしれません。今の政治はガバメント、統治がなく行政権を政治家が使っていない状況との発言もあり、考えさせられるシンポジウムでした。

■菅さんのポスターには、「初心を貫く」と書かれていますが、このシンポジウムを聞いていると、霞ヶ関の解体と昔から菅さんが使っていた言葉が今でもつながっているのだな、と感心をしてしまいました。

高速道路料金、土日にどこまで使っても1000円! という携帯電話の料金みたいな景気刺激策が政府により出されています。ETCを付けない人には割引がないのですし、トラックなど商用が対象にならないのもおかしな話に思えています。何よりも、ETCがない人向けに、料金所が必要になり人の配置や施設維持も必要になるのですから、いっそ無料にしてしまったほうがはるかに効率的ではないか、と思える1000円制度ではないでしょうか。
何か違う、と思えてしまいます。

このシンポジウムで天下り先の維持も理由のひとつだと指摘されていたので、ETCを統括する財団法人 道路システム高度化推進機構 ORSE のサイトを見てみました。

そこには、設立趣旨として『ETCに係る情報の安全確保の基準が定められ、この中で、複数の有料道路を通 行する利用者一般の利便に照らし、情報の安全確保の措置が一元的に実施されることが必要であることに鑑み、その効率的かつ確実な実施を目的とした民法第34条の財団法人に、(1)情報安全確保規格の提供代行、(2)識別 処理情報の付与の業務を行わせることとされています。

これに基づき、各自動料金収受者からの指導・要請のもとに、自動車業界、電気通 信業界、クレジット業界の関係者の総意をえて、「財団法人道路システム高度化推進機構」が設立され、上記業務を専門・一元的に実施するとともに、統一性のある高度な道路システムの普及を支援することにより、道路利用者の利便性の向上と道路の効率的な利用に寄与し、もって国民生活の向上と経済の活性化に資する』となっているのですが、国民から要請された、国民のためにとは書かれていません。

役員名簿を見ると、理事長は、非常勤で張トヨタ自動車(株)取締役会長となっていますが非常勤。他に業界団体から多くの理事が多くいるものの、専務理事は元国土交通省北海道局長。常務理事は元国土交通省大臣官房総括監察官となっており、元経済産業省関東経済産業局長、元警察庁関東管区警察局長も役員となっていました。

川口賞も大臣が代わった現在でもサイトにはページが残っています

ご参考まで。