韓国からも注目 武蔵野市の市民参加

10月4日に「日韓市民社会フォーラム in 武蔵野」が開催されました。
日韓市民社会フォーラムは、日韓による2002ワールドカップ開催を機会に市民レベルでの交流を行い東アジアの平和につなげようと始まったもので、今回が7回目。日本と韓国で毎年交互に開催してきています。全体会と分科会、交流会が主な内容ですが、今年からはより知ること、現地の人との交流をより深くしたいと考え、分科会をテーマにあった現地を訪れる方式に変更されました。

その分科会のひとつが武蔵野市で開催されたものです。テーマは、市民参加・市民自治。武蔵野市内のフィールドトリップ(視察)とフォーラムとの内容でした。

フォーラムでは、韓国でも武蔵野市の市民参加方式が知られていることが分かり、武蔵野市の新たな側面が分かったように思いました。
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日韓市民社会フォーラム in 武蔵野」の主催は、日韓市民社会フォーラム実行委員会。 武蔵野市が後援を行っています。
詳細は公式サイトをご参照下さい。
10月5日の全体会に先立ち、3日と4日の二日間に武蔵野市で分科会が開催されました。武蔵野市長、市議会議長への表敬訪問の後、「参加と協働のまちづくり・武蔵野市」をテーマに、JA東京むさし新鮮館、吉祥寺南町コミュニティセンター(交流会)、都立武蔵野中央公園、123はらっぱ、けやきコミュニティセンター、クリーンセンター、市役所内の協働サロンへのフィールドトリップを行った後、武蔵野市役所西棟の811会議室でフォーラムが開催されました。

参加者は、韓国からオ・ジェイルさん(全南大教授)、ジョン・ミヨンさん(釜山市金井(クムジョン)区議員)、キム・ギスンさん(釜山大学教授/全国女性地方分権ネットワーク代表)、ビョン・ノクジンさん(ソウル市西大門区議会議員)の四名と日本の各地から参加された方々との構成で、交流会とフォーラムでは武蔵野市周辺の方々も参加されていました。

フォーラムでは、田村和寿さん(桐蔭横浜大学教授。第四期長期計画調整計画策定委員長)が武蔵野市の市民参加の特徴と歴史、課題について基調提起が行われた後、韓国からの参加者に加え、日本側パネラーとして酒井陽子さん(酒井陽子社会福祉士事務所代表)、山本泰さん(東京大学教授)に邑上守正武蔵野市長が)が加わり、会場も含めての武蔵野市の市民参加や市民参加、自治についての議論が行われました。

□武蔵野市の市民参加の歴史と課題

基調提起では、武蔵野市民には、市民参加や協働に賛成ではない人もいるが、誇りに思っている市民が多く、市民参加はDNAとしてなっている。
武蔵野市に帰ってくるとほっとする。それは、文化財があるわけではないが、都市でも季節を感じられ、市民と心が通うことができるからであり、問題はあるが素晴しいまちだと思っているからだ、との武蔵野市の紹介から始まりました。

特徴として言えるのは、工場があるまちではなく、商業のまちであり、外食産業や先進商業の発信地。サブカル、アニメ、ジャズなどの店が多く楽しめるのが特徴だ。
それだけではなく、都心から近く、電車を使って山にも行けるように交通の便利な場所にあること。小さいまちにしては、市民のニーズにあっているかは別としても、公共施設がフルセットであること。近隣に5つの大学もあり連携していことも特徴だと話されていました。

今回のテーマでである市民参加・自治については、市民参加は最初からあったのではない。71年から計画行政をはじめたがきっかけだった。当時は高度成長が終わり、戦後が終った頃。経済は変わったが地域社会は立て直す必要があった。当時、問題だったのは生産するまちではなかったことで、都市とは何かと問われていたことだった。
また、この年には松下圭一さんの『シビル・ミニマムの思想』が発刊され自治体が何をするかも問われていた時代でもあった。

これらの背景から、新しい言葉として「コミニティ」「ボトムアップ」「まちづくり」が登場し、市民からつくろうとの動きとなり、革新市政がでてきたことも追い風となり、武蔵野市の特徴でも計画行政と市民参加を取り入れた第一期長期計画が生まれ、市民から政策を提案する原点となった。

しかし、市民の発想で行うことや市民参加は一朝一夕ではできないことで、第二期、第三期長期計画でもどうすれば良いのかは、考えられ続けられている。

市民参加は、少しでも市民に近いところで行うべきではないか。そのためには、関心、関係を持ってくる人が多くなれば、意味があると思う。
しかし、問題点として、行政側から問いかけていることに答えていることが多くなり、市民が問を発信することではないことがある。これは、行政は情報、知識を持っているおり、市民が高い専門知識を持つことは難しいという根本的な課題があるからだろう。中間組織を持つことで対応が可能だが、それは、市民が持つべきだろうか。

また、政策作成に市民参加したとしても、実際に政策を執行するのは行政。執行、行動に市民がどう関わっていくか。これは協働の問題でもり、時間やコストが余計にかかることにもなる。さらに、参加嫌い、協働嫌いの市民もいるし無関心の市民もいる、との課題点もある。

これらのことから、調整計画を参加から協働へを考えての策定だった、と経緯や課題点について、短い時間にもかかわらず、分かりやすく武蔵野市の市民参加を解説をされていました。

そして、武蔵野市の市民参加の象徴的なのがクリーンセンター(ごみ焼却場)だ、と紹介されていました。

この後、ジョン・ミヨンさんから韓国の地方政治状況の説明があり、パネラーからの発言と参加者都での議論が行われました。

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□韓国から見た武蔵野市

フォーラムでは、韓国からの参加者から、市民参加が定着したことをうらやましく感じた。韓国の自治の歴史は起伏が激しく、91年に議会が復活したほどで市民参加はこれからだ。
ソウルには、武蔵野市みたいに都市周辺のまちが多が、ベッドタウン以上に抜け出せていない。意識と関心はソウルにあり、まちが持っている文化はうらやましい。
 
韓国では、自分たちまちで自分たちのゴミを処理するというパラダイムを変えたクリーンセンターのことで武蔵野市のことは知られている。市民の支えによって運営されているのは、世界的に見ても素晴しいことだ。これをモデルに私たちができるかは分からないが、相当のモデルになる。誇りに思って欲しい、と話されていたことは印象的でした。

ジョン・ミヨンさんは、所属している区はこれからゴミ戦争になるだろう。今は他の自治体でゴミを処理しているが自区内で処理することになるはずだ。また訪問させていただき、進行過程を聞きたいと思うと話されていたほどでした。

国内から参加された方々も、住宅街のなかにあり、しかも市役所のとなりに“迷惑施設”であるクリーンセンターがあることには驚かれていました。

また、クリーンセンターの他にコミュニティセンターにも感動した、との話もありました。
韓国には、住民自治センターと呼ばれる同様の施設があるそうですが、ボランティアで活動していること。政治的圧力がないことに驚いたのだそうです。

韓国では、政治家が自分の支持者を入れてしまうように圧力を入れることがあり、市長が変ればコミュニティセンターの委員長も変わるだろうと話されていました。

フィールドトリップに参加して、現地での質疑のさい、補助金がどのように使われているか、委員長がどのように交代するか聞いていたのは、そのときには分かりませんでしたが、後の懇親会などで話を伺っていると韓国での事情が分かったように思いました。

コミュニティセンターの運営は、地方自治の歴史を重ねているからだろう。韓国にとって今回のことがモデルになり役に立つだろうとも話されていました。

フォーラムでは話題になりませんでしたが、フィールドトリップでの韓国側の参加者に話を伺うと0123については、館内での保育に自発的な市民参加がありうらやましかった。韓国の自分のまちでもこのような方式を適用したい。
農産品の生産者の顔写真があり、誰が作ったのか分かるのは仕組みは興味深い。食の安全は韓国でも関心が高く興味深い(JAの新鮮館)。
非核都市宣言都市などの平和政策の背景には中島飛行機の工場があったが分かった。マンションではなく原っぱのままの素晴らしい公園を市民参加で作ったことには驚きであり、賢明な選択だった(中央公園)。
コミセンや協働サロンの仕組みは、市民が自発的にすることを行政が手伝うことであり感動した。韓国でも適用して互いに発展させたいと思うとの感想も伺いました。

社交辞令ということもあるでしょうが、総じて武蔵野市の市民参加について、韓国側の評価は高かったと思います。武蔵野市に住んでいると当たり前のことが外部の目、しかも、外国から視点から評価されることには、刺激的で参考になったと思います。
あらためて、武蔵野市はどいうまちはどのようなまちなのか。市民自ら考えてみても良いのではと思います。

□韓国の市民参加

韓国でも市民団体が増え、市民参加が動き出してきている。キャンドル集会などパワーはあるが、行政とのコミュニケーションが十分とはいえない状況だ。地方自治の歴史が長い日本を参考にしたい、との発言も韓国の参加者からありました。

日本側パネラーからは、韓国の市民運動も活発ではないか。政権を倒したのであり、ベルリンの壁を壊した立役者と同じではないか、との評価も伝えられていました。

このフォーラムのコーディネーターでもある菅原敏夫さん(地方自治総合研究所)に伺うと、韓国では、盧武鉉政権のさい「参与政府」(国民が政治に参加する政府)で市参加の気運が高まりましたが、国政への市民参加は前進したものの、地方政府への市民参加は、現状ではまだまだの状態なのだそうです。

今回、武蔵野市が分科会として選ばれたのは、市民参加が古くから行われていたことが韓国市民に貴重な事例になること。昨年策定された武蔵野市第四期長期計画調整計画への市民参加と市民委員が行政の計画に直接参加する手法が注目されていることが理由なのだそうです。

国政レベルのダイナミックな成果を上げてきた韓国の市民参加と草の根レベルの経験を積み重ねてきた武蔵野市の市民参加。日韓双方の市民が互いに知ることは、日韓双方の市民に有益になる、そう思えたのが今回のフォーラムでした。

今年、竹島の問題から武蔵野市においても市民交流事業が中止になっています。しかし、市民同士の交流であれば、実現可能なことがこのフォーラムで分かりました。国際理解には、まず、市民同士の交流。そして、互いが持つ課題解決に向けて、双方の文化を尊重しながら議論することでより理解が深まるはずです。国際交流の新たな手法とも思えたフォーラムでした。

写真上 フォーラムで「参加と協働がこれからも進めていく」と挨拶する邑上市長
写真下 場内でのレクチャーが終わっても熱心な質問が多かったクリーンセンター