武蔵野市でのコンビニ受診問題は?

体調が少しおかしいだけでも病院に駆け込む人が多い、タクシー代わりに救急車を使ってしまうなど「コンビニ受診」により、本当に医療が必要な人が受けられないという問題が起きています。
また、重傷者のところへ救急車が来ても、医師がいない、診療中、ベッドが空いていないなど救急医療が成り立っていないことが全国的に問題になっています。

9月に行われた決算委員会で、資料請求をして武蔵野市ではどうなのか検証してみました。


資料請求したのは、救急搬送した件数とそのうちの重症以上の傷病人数。
救急車が現場に到着したさい、緊急病院に受け入れ可能か照会を行った件数と現場での滞在時間のデータです。

重症の割合を見れば、ある程度ですが、本当に救急車が必要だったのか検討がつくように思えること。

以前は救急車で病院に搬送されても、病院で受け入れができないと他の病院へと移動する「たらいまわし」のような状況が問題となり、現在では、現場で受け入れ可能な病院を確定してから搬送するようになっていますので、照会回数と滞在時間を見れば、救急対応ができているのかが、ざっとした範囲ですが分かると考えられるからです。

このことについては総務省が全国的に調査を行っており20年3月に「救急搬送における医療機関の受入状況等実態調査の結果について」を公表しているのですが、都道府県単位では公表されているものの武蔵野市周辺(武蔵野消防署管内)での様子がどうなのか分からなかったために請求をしました。

その結果、19年度(これより以前は電算化していないのでデータがない)の救急搬送数は、7040人。
そのうち、重症以上が625人、救命救急センター等搬送人員は363人(重複は区分できず)となっていました。

重症の割合が、全国平均で10.8%、東京都平均が8%に対して武蔵野場合は、8.9%ですから、傾向としては大きな差がないと思われます。

重症以上の傷病者搬送時での受け入れ紹介回数は

1回以下 503
2~3回 82
4~5回 12
6回以上 28

合計625
(武蔵野の1回以下が約80%。全国平均は84%)

重症以上の傷病者搬送時での現場滞在時間は

30分未満 576
30分以上 42
60分以上 7
90分以上 0

合計625件中

武蔵野の30分未満が約92%。全国平均は96%
となっていました。

回数や時間が増えれば、救急医療体制に課題があることになりますが、この数値では全国と同じレベルと考えられます。

ただし気になるのは、東京消防庁が公表した「救急需要対策検討委員会報告書」によれば、15年度の数値で搬送人員の約60%が軽症としていることを考えると、同じ調査内容ではないようなのではっきりとは言えませんが、重症以外での利用が急増しているのかもしれません。

いずれにせよ、救急車で行かなくてもいいのでは、と思われる数値が多いと思われます。
この見方について、決算委員会で担当に質問をしたところ、同じ見解でした。

また、この質問に対して担当から貴重なデータが示されていました。
それは、診療時間外に日赤(武蔵野赤十字病院)が救急車、もしくはタクシーで運ばれてきた人を対象としたでトリアージ(※)のデータです。

このデータによると、直ちに診察室に誘導しなければならない人は、1割未満。

早目に診察してもらえるように配慮するのが2~3割ぐらい。

様子観察(症状悪化のときは申し出る)段階が6割~7割程度。

となっており、救急医療が必要な人は少ないことが分かります。

しかし、日赤では、時間外の患者数の多さ問題だが、患者側からすれば、不安だから来院するのだろう。苦しみや痛みなどを除去するだけではなく、患者の不安の解消も医療の重要な役割でもあると考えているので日赤ではこのまま対応するとされているのだそうです。

日赤の対応には頭が下がるばかりですが、19年度消防白書によれば、8年からの10年間で救急出場件数が約55.3%増加している一方で、厳しい財政事情等により、救急出場件数の増加に合わせて救急隊の増強が困難な状態にあり、平成19年4月現在の救急隊数は4,846隊であり、平成9年からの10年間で約8.1%の増加にとどまっているとしているのです。

さらに、医師不足の問題も拍車をかけることになります。

コンビニ受診は、患者側のモラルによるものが多いのではないでしょうか。急病になった時、不安になることは理解できますが、救急車を呼ぶことによって救える命が救えなくなる可能性があることも考えてみるべきでしょう。

邑上市長は、子育て支援誌「すくすく」に救急相談センターの案内を掲載していることも含めて啓発を進めていきたいと答弁をしていました。副市長からも、武蔵野市は介護保険制度が発足する前から病院や診療所同市の連携を検討しおり、介護保険制度の発足前にかかりつけ医制度を編み出してきた。時を争う救急の場合には、やむを得ずと思うが日常の中ではかかりつけ医制度の活用したPRしていきたいとの見解も示されていました。

不安から結果的にコンビニ受診になることもあると思います。まずは、急病の時に安心できるように医療情報を伝えていくことが必要でしょう。市の対応は評価できますが、様々な場面でのPRがもっと必要だと思います。

※トリアージ … 傷病者を傷病の緊急度や重症度に応じ、治療(搬送)の優先順位を決定すること

【参考】
総務省「救急搬送における医療機関の受入状況等実態調査の結果について」(PDF)
東京消防庁「救急需要対策検討委員会報告書
平成19年版 消防白書