地下水の保全と活用 そして、外環道路との関係

8月24日に調布市で開かれた「第二回地下水シンポジウム」に参加してきました。
東京都下の地下水はどうなっているのか、保全するために自治体はどうすればいいのか、資源として考えるべきでないかなどをテーマとしていました。興味深かったのは、大深度で外環道路を作った場合に、地下水に影響があると思うか、との質問もあったことです。


シンポジウムは、新藤静夫千葉大学名誉教授による多摩地域の地質と地下水についての講演と秦野市からの報告。地下水の保全運動を行っている地域からの報告者によるパネルディスカッションの形式で行われました。

新藤名誉教授の話によると、地下水の変動データがあるが活用していない。明治時代の記録を見ると、東京は噴出する場所があるほど地下水が豊富だった。しかし、工場用水などで地下水を使いすぎ、地盤沈下が起きてからは地下水の揚水規制を実施するなど地下水を資源として考えてきていない。

しかし、昨今の調査を見れば地下水が噴出すまでにはなっていないが、下がることはなく、かなり戻ってきている。

多摩地域の武蔵野台地は、関東ローム層があり水をろ過して貯める機能がある。多少雨が降らなくても保存している非常に優れた水がめだ。日本有数の地下水のダムと思って欲しい。

地下水が豊富なのは雨水だけで得られるのではなく、河川よりも地下水脈のほうが低いことから毎日10万トンは多摩川から入っていることや奥多摩の山からも地下水へと流れ込んでいるからだ。

地下水を水道の水源などに活用している昭島市や小金井市の水位は変動していない。
手当をしっかりすれば、資源としてこの地下水を活用してもいいはずだ、と話されていました。

また、秦野市からの報告もありました。

秦野市では、かつては河川を水道水源にしていたのだそうですが、明治時代にコレラが発生していらい、地下水を水道として使うようになったのだそうです。
しかし、昭和40年代に水不足となったことから地下水調査を行うようになり、平成元年には東京都の地下水が汚染されたことをきっかけにさらに調査を実施、深層地下水のシュミレーションを作ったのだそうです。この調査は、地下水に人口的に水を流し込み、メカニズムを調査したとしていました。

その後、昭和48年に環境保全条例を施行。地下水保全に対する基本姿勢を明確に示し、地下水の保全及び利用の適正化という根拠をつくり、地下水利用者に協力金をもらうようにしたこと。

さらに、扇状地に市があり、土石流も発生していたことから、森林の再生(県の事業)も行った。これは、山に降った雨水が地下水へも影響していることが分かったことも理由となった。

さらに、平成6年には地下水を守るために地質も守る「地下水汚染の防止及び浄化に関する条例」も作ったとの報告でした。

報告した秦野市の職員の方は、地下水が市民共有の貴重な資源であり、かつ、公水であるのとの認識が市民にあったからこの条例ができた。これは、30年以上のかかわりがあったからこその条例と話されていました。

この後のパネルディスカッションでは、国分寺市から市民が野川の水質調査を実施していることや国分寺市長が施政方針に地下水保全の条例の策定を入れて守ろうとしている(市長も参加者として会場に来ていました)こと。

調布市からは、市単独の水道から東京都の水道を一元化するさいに、地下水について危機感がありいろいろな運動があったが、今では地下水が多いことを知らない市民が多く危機感がない。「国分寺崖線(はけ)」の緑を守るなどから水を守るようにしていきたい。
地下水100%の水道の昭島からは、かつて横田基地からのガソリン汚染もあったが今は知る人も少なくなっているなど、地下水の大切さを知らせることが重要などの報告がありました。

その後、多摩川や多摩丘陵の保全も必要になるが市民活動はバラバラ。ネットワークを組まないと深層地下水を守れない、との問題提起があり、今後もネットワークを作れるようにしようとの整理でシンポジウムは終了しました。

■このシンポジウムで興味深かったのは、調布市が東京都と水道を一元化するさいに文書での協定を交わしていたことでした。

この日に詳細は分かりませんでしたが、地下水を使うことを努力目標にしているのだそうです。そのために、地下水の保全が必要になることになりますが、文書があるから歯止めにはならないでのは、との疑問も声も議論のなかでは出されていました。
 

また、会場から、石神井、井之頭、国分寺崖線など地下水が豊富なところを通る外環道路が大深度で建設されたさい、地下水に影響があるのか、との質問がありました。

新藤名誉教授は、涵養の一番いいところにを通るのだから影響は問題になる。深層地下水と浅層地下水は、互いに影響をしあっていることから、通る深さだけでは考えられないだろう。影響があるなら河川水があるじゃないか、となる可能性がある、と話されていました。

河川とは、例えば、八ッ場(やんば)の建設にもつながってしまうということでしょうか。

新藤名誉教授は、もし、建設が行われるなら環境影響評価(アセス)を行う前に問題点を明らかにすることが必用だ。環境影響評価審議会の委員をしていたが、審議会にいたが無力だった。審議会にあがってきたところでほぼ決まっている、との話もされていました。

外環道路は、すでに環境影響評価が終っています。大深度が前提ではありませんでしたが、地下水への影響も含めて、再度調査などを行う必要があると思います。
地下水の保全がテーマのシンポジウムですが、視点を変えてみると武蔵野市でも参考になる事例が多くあったと思います。