いとすぎ学級

itosugi01武蔵野赤十字病院内にある院内学級、いとすぎ学級を視察してきました。

いとすぎ学級は、入院している小学生、中学生が担当医師の許可を得ると“通学”できる病院内に設置されている教室で、教師も常駐しています。

小学生、中学生は義務教育ですから、入院していても教育を受けることができるのが当然と思いますが、そうは単純ではないようです。



いとすぎ学級は、小学校が市立境南小学校、中学校が市立第六中学校のクラスとして教師が常駐しており、入院している小学生、中学生の授業を行っています。

子どもはいつ入院するか分かりませんし、長期の入院となれば、学校の授業を受けることができず、退院後に不安を持つことになります。

itosugi02義務教育の時期ですから、病状や体調などで可能であれば、授業を受ける権利はあり、行政は授業を受けさせる義務があります。
そのため、多くの場合は、教師が病室を訪れて“出前授業”を行っているのだそうです。

しかし、教室という別の場所で授業を受けることができることは、他の入院患者への遠慮がなくなるだけではなく、気持ちの切り替えができますし、他の子どもと一緒に過ごす楽しみも得られることになります。何よりも勉強する環境があることで、授業内容の幅がでますし(音楽や調理実習なども行われています)、勉強への意欲もわくのだと思います。遊びもできますし、居場所のひとつにもなると思います。

このことを考えれば、多くの病院に院内教室が必要と思いますが、都内に小学校が5学級しかありません。中学校はさらに少なく2学級しかありません。さらに、中学校の一学級が閉鎖される予定となっており、この日赤にある学級だけになってしまうのだそうです。

病院内に教室を設置してしまうと、その分の面積が少なくなり病院経営を考えれば…、となるのが実情かもしれません。

教師は義務教育ですから都の職員ですし、学級は市立小学校との位置づけですので武蔵野市が設置者となりますが、場所は病院の善意がないことには成り立たないのが現実ということでしょうか。

いとすぎ学級が開設されたのは昭和48年。当時の小児科部長の「病気やけがで入院しなければならない子どもたちにとって、心の健康を維持していくことは不安や悩みをなくすためにとても大切なこと」との思いから学習の場を保障するために作られたのだそうです。

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視察した日には、何人かの子どもが授業を受けていました。
いとすぎ学級に通う子どもは、2年以上の長期の子どももいることはありますが、緊急病院ということもあり、短期間の場合がほとんどとのこと。

いつ入院してくるか分かりませんから、その日にならないと子どもが何人かも分からない。一日だけ授業を受けて、退院し元の学校の戻る子どももいるのだそうです。
さらに、病状やけがの具合もひとり一人違いますから、このことにも配慮して授業を行うのですから、教師の苦労は容易に推察ができるはずです。

いとすぎ学級があることはあまり知られていないのではないでしょうか。入院して始めて知った子どもも多く、感謝されることが多いとの話も聞きました。

いとすぎ学級があることは、武蔵野市の教育としてもっと誇っても良いことですし、日赤病院への感謝ももっと必要ではないでしょうか。

院内教室を維持していくことは、経済的に見ても大変なことでしょう。しかし、教育の場を保障するのが、国であり、自治体の役目であるはず。子ども、教育を大切にしようと考えるのであれば、院内学級はもっとあってもいいはず……なのですが。

写真上
 教室の様子。小学校と中学校、職員室と三部屋がある。これだけの規模は他にはないとのこと。

写真中
 いとすぎ学級の入り口。病棟内にあるので、他の病室と同じ作り。飾り付けで子ども施設なのが分かる。

写真下
 いとすぎ学級にある図書。数は多いが、少々古いかな、と思った。退院した人からの寄贈と思われる図書も多い。図書館との連携など本の環境ももっと整えてもいいはず。

【参考】
武蔵野市立境南小学校 いとすぎ学級のページ
武蔵野市立第六中学校 いとすぎ学級のページ