駅前認可保育園の憂鬱

新浦安駅に隣接したビルにある民間の認可保育園「ポピンズナーサリー新浦安」を視察してきました。
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駅から1分もかからず、雨にも濡れずに行ける保育園で、夜は最大23時まで保育が可能。保護者にとってはありがたい限りですが、このままでいいのかな、と思いました。


埋め立てにより新たな土地が生まれたことなど単純には比較はできませんが、財政力や人口構成などから武蔵野市とライバル関係にあるのが浦安市です。先日、子ども施策を中心に浦安市を一日かけて視察してきました。今回は、その報告の第一弾です。

paneruこのビルは浦安市がPFIによって建設した新浦安駅前プラザ「マーレ」。浦安市が、子育て支援のために民間保育園を誘致したもので4、5、6Fと屋上を使用しています。
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対象児童は、生後57日目~就学前児童。
保育定員は、150名。
開所日は、月曜~土曜(年末年始、日曜・祝日は休園)で、最大23時まで保育が可能となっており、一時保育、病後時保育も実施されています。
認可保育園ですから、国の最低基準は守られていますし、保育料は所得に応じて決まります(市の条例)。

ビルのある土地は、もともとは駐輪場を想定して駅前に市が確保していたため、線路に沿い細長い形状のビルとなっています。
roka「マーレ」の駅前ビルですので土のある園庭はなく、屋上に砂場などが設けられ園庭として利用しています。外遊びは、この屋上だけではなく近隣の公園へも遊びに出かけると担当の方は話されていました。

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施設を見させていただきましたが、清潔感があり色使いなども含めて公設保育園とは違う雰囲気がありました。保育室にテレビカメラが設置されており、インターネットにより会社などから保育の様子を見ることが可能なことなどは民間ならではの発想だと思いました。

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駅から近く夜遅くまで対応可能なのは、働く保護者にとっては心強くありがたいと思います。私がここに住みこれから子どもが生まれる、あるいは小さいのであれば、おそらく利用したいと思うに違いないでしょう。

しかし、子どもの保育園時代を終わりしばらくたった今から考えてみると、土のある園庭で遊ばせたい。駅前ビルの中ですから空調に頼らざるをえないことを考えれば、なるべく自然の風に触れて育って欲しいと思ってしまいます。

また、民間委託ですから、保育士の給与を上げることはコスト的に難しく、経験を積んだ保育士を雇用することはおそらく難しいでしょう。新設ということもありましたが、保育士の年齢が若いのも特徴に思えました。送り迎えをする父親の立場としてならいいかも知れませんが、経験を積んだ保育士が保育には重要なポイントですから、このままで大丈夫かなぁ、とも思ってしまいました。

そして、保育とは何だろうと思えてしまったのです。

hoikuその特徴的なのが、施設内を見ているときに、保育士が子どもの布団にシーツを被せていることでした。
伺ってみると、別料金によるサービスなのだそうです。このようなことからも利益を上げようとしている民間の発想には驚きましたが、シーツの交換は保護者の仕事だと思っていた身には、保育園の概念がガラリと変わったように思えたのです。

忙しい時間をやり繰りして送り迎えをしているのですから、少しでも時間を効率的にしたい気持ちは良く分かります。でも、シーツを交換している時間に他の保護者や保育士との話ができたり、子どもの様子が分かるときもあるのです。
今から思えば、そういうムダに思える時間や作業が保護者や保育士との人間関係を作り、結果的には保育の質を考えよう、質を上げていこうとの想いにつながったと思えています。

そういえば、紙おむつを使わせず、布オムツを使用させ、使用したのは自宅の持ち帰らせて便の様子から子どもの体調を保護者が分かるようにしている保育園もあります。子どもを通わせているときは、なんで紙おむつにしないのかと思っていましたが、今となれば、そうだよなと納得できることが実は保育園には多くあったのです。

この保育園は認可保育園ですから基本的な保育料は市の条例で決まっていますので他のサービスを提供して利益を上げようとの発想は否定できません。利用者の要求をなるべく取り入れようと考えることも悪いとは思えません。民間の力を使うことも否定はしません。

ですが、子どもにとって必要なこと。保護者にも大切なこと。育つ環境を含めて何が一番子どもの成長にとっていいのか。保護者の働く環境も含めて何が一番いいのかを保護者、行政ともまず考えておかないと保育がたんなるサービスになってしまいそうに思えました。保護者も理解をしておく必要があるでしょう。便利でありがたい保育園ですが、このまま何も気が付かずに受け入れていくことで、保育の意味が変わっていくように思え少々憂鬱な気持ちになってしまいました。

eigo「ポピンズナーサリー新浦安」の実際の保育内容は分かりませんので、良い悪いは分かりません。それよりも公立保育園、公立幼稚園も維持している中で浦安市が新たに設置したことのほうがはるかに大きな意味があると思います。コストや公立か民間かとの議論で終わるのではなく、子ども施策への本気度を感じました。

写真上から

ビルの中にあるので、エレベーターを降りた先が玄関。エレベーターを使うには専用カードを持つことが必要なのでセキュリティとしては安心度は高い

玄関を入った先に登園、退園を記録する機器がある。

その日の給食が置かれている。給食室は保育園の施設内にある

廊下。細長いビルなので保育園の中も細長い

屋上。芝生と砂場があり、夏にはプールを置き水浴ができる

天井にあるカメラ。インターネットで保育の様子が分かる。

保育室

クラスが英語名になっていた。