ガソリン税とプレイス

国会ではガソリンへの暫定税率が争点化しています。目的とは別の事業に使うことは、そもそもの意味が変わってしまうこと。整理する必要があると思います。内容の是非は別として、さまざまな報道を読んでいて気になったのが、この財源から出されている「まちづくり交付金」でした。この交付金が武蔵野プレイス(仮称)の建設に使われるからです。


国交省のサイトによれば、この交付金は『 地域の歴史・文化・自然環境等の特性を活かした地域主導の個性あふれるまちづくりを実施し、全国の都市の再生を効率的に推進することにより、地域住民の生活の質の向上と地域経済・社会の活性化を図ることを目的として創設される制度です』。とあり、対象は『都市再生整備計画に位置付けられたまちづくりに必要な幅広い施設等』で、下記の事業が例としてあげられています。

・道路、公園、下水道、河川、多目的広場、修景施設、地域交流センター、土地区画整理事業、市街地再開発事業 等
・高齢者向け優良賃貸住宅、特定優良賃貸住宅、公営住宅、住宅地区改良事業 等
・市町村の提案に基づく事業(一定の範囲内)
・各種調査や社会実験等のソフト事業(一定の範囲内)

道路特定財源について、(社)自動車工業会のサイトには、道路特定財源について『自動車関係諸税のうち、国や地方の道路整備のために自動車ユーザーが負担する税金を道路特定財源といいます。しかしながら、2003年度以降は公共事業のシーリングにより道路整備の予算が減らされた結果、自動車重量税やガソリン税など、国の道路整備の財源となる税収は支出(道路予算)を大きく上回り、2007度予算では、6,164億円にのぼる金額が本来の道路整備以外に使われています』とあります。

同サイトの道路関係歳入と歳出によると、2007年度の特定財源からの税収は34076億円がありますが、道路整備特別会計で使われるのが、27913億円。残りのうち、まちづくり交付金1798億円を含む2878億円が使途拡大として使われているのです。

まちづくりへの交付金自体の目的に異論はありませんし、必要だと思います。国が決めたことにお金を出すのではなく、地方の創意への支出と思えるからです。
ですが、道路を作る目的の税金から出されるのには疑問です。財源ごと地方に移譲する。もしくは、一般財源化することで、目的と違うことに使えるようにしたほうが分かりやすいのではないでしょうか。そもそも交付金自体は補助金廃止の代わりとして作られたモノ。国が地方をコントロールしたい、もしくは、国の仕事を残すために作られたように思えてなりません。

菅直人民主党代表代行が定例記者会見で暫定税率について下記のように述べています(要旨)。特定省庁と議員の利権へとつながるなるなど道路特定財源には、ガソリン代だけではなく多くの問題が含まれているようです。

■通常国会の焦点について

国会の議論としては、予算と予算に関連して道路特定財源の問題などが大きな焦点になってくると思います。

(民主党)大会後、桜木町の駅頭で私も初めてこの問題を国民の皆さんに訴えました。感想としては非常に国民の皆さんの関心の高い問題だということがひとつ、そしてきちんと説明すれば単にガソリンの値段が下がるということ以上に、この問題が実はいまの自民党政権というものの悪しき体質を象徴するものだということが理解してもらえるという自信を持ちました。

皆さんも道路特定財源の歴史あるいは暫定税率の歴史はご存じだと思いますが、昭和29年、今から半世紀以上前に当時の田中角栄議員を中心として議員立法で道路特定財源という形が生まれ、その後暫定税率というものが上乗せされました。

私は当時の日本にとってはまだ車が走ることのできる道が少なかったので、その整備が急がれたという意味で道路特定財源さらには暫定税率というものを生み出したことは、その時代においてはかなり先見性のある政策だったと思います。

しかしそれから半世紀を越えてなぜ今日に至るまで国土交通省の一部局が担当する項目だけに限った特定財源が必要なのか。国土交通省だけでも河川局や住宅局などもありいろいろな課題があります。それらは一般会計の形でそれぞれ適切な形の予算が組まれています。

まして国土交通省を超えて農業関係あるいは環境関係においても公共事業がいくつかありますが、それらも一般会計の中でおこなわれています。それをなぜ道路に限って半世紀以上前に生まれた特定財源を維持し、さらには暫定税率を含めてさらに10年間も維持しようとしているのか。一言でいえば国土交通省の利権を自民党が一緒になって守っているとしか私には見えません。それ以外の理由が見当たりません。

道路特定財源をやめたら道路ができなくなるのか、そんなことはありません。
では河川局は特定財源がなければ河川改修ができないのか、あるいは農業土木に関しても特別会計がなければ整備ができないのか。
そんなことはありません。

つまり一般会計という形で国会を通す予算とは別枠で、事実上国土交通省さらには道路部局だけで山分けできる予算を持つことが、どれだけ大きな利権になるかということを私はあらゆる場面で見てきましたから、それを守ろうという意味で自民党の体質そのものが表われていると言わざるを得ません。

私の個人的感想で言えば、まさにそれを生み出した田中角栄さんという偉大な政治家の直系とも言えるわが党党首の下で、逆に半世紀を経ていまの時代には合わないからやめようというのは歴史が前進する大きな一歩だと思っています。

結局これを守ろうとする古き官僚主導政権の自民党が続くのか、50年前には意味があったが今では弊害こそあれ透明性がきわめて低い構造を、道路特定財源や暫定税率という在り方を撤廃して透明性の高い本来の在り方に変えていこうとするのか。
前に向って進むのが小沢党首の下の民主党であり50年前に固執して利権構造を守ろうとするのが自民党だという観点からこの問題に対してあらゆる場面で正面から国民の皆さんに理解をしてもらえるような議論を展開していきたいと考えているところです。

(中略)

道路特定財源のことは先ほど申し上げましたが、いまあちらこちらから陳情団が上京してきています。その陳情団の後ろには全部国土交通省がくっついており、後ろで国土交通省がシナリオを書いて各選挙区の国会議員に地元の自治体関係者が陳情を繰り返す。従来の予算要求もそうでしたが、結局この構造が自民党の本質だということであり、基本的には財源を含む権限のきちんとした移譲や移管がおこなわれていないところにこういう問題が残っている大きな背景があるということを申し上げておきたいと思います。

(暫定税率について)
昭和46年ですから37年前に暫定税率という形で引き上げられたわけです。暫定という言葉は普通常識的に考えれば3ヶ月とか半年、長くても2、3年という意味合いだと思いますが、30年を越す中で暫定税率として維持してきたということは、簡単にいえばそれがひとつの構造になっている。その構造が特定財源という構造と一体化して巨大な国土交通省の利権を生み出してきたと言うことができると思います。

暫定税率というのは、特定財源そのものも時代が変わっているわけですから、それに上乗せまでしているというつまり二重の利権構造を更に温存しようというのは私には理解できません。国土交通大臣が歴代2期にわたって公明党出身の方がやっておられますが、少なくとも安倍内閣ないし小泉内閣はそういうものに対して閣議決定で一般財源化ということを言ってきました。

それに合意したはずの自民党の国会議員やチルドレンと言われる人たちまでが、今度はこれこれには道路特定財源が使われているから必要なんだとあちこちで言い歩いているようですが、一体どうなっているのか。

つまり日本がいろいろな意味で世界の中での存在感が低下しつつある中で、小泉さんが言う意味での構造改革については多くの部分で疑問があって反対すべきところは強く反対してきましたが、こういう税金の使い方や年金の使い方を不透明にしている、一部の利権構造に委ねているということについてそれを本来の姿に戻すというのは当然やらなければならないことですから、そういう点では暫定税率は二重にもってのほかだと言わざるを得ません。

会見の模様は民主党ウェブサイトをご参照下さい。

話が道路ばかりになってしまいましたが、プレイスにもこの道路目的の財源から交付金が得られる予定です。プレイスは、図書館を中心とした公共施設ですが、三位一体改革により図書館建設への補助金がなくなってしまいました。そのこともあり「まちづくり交付金」から12億円弱が受けられる予定となっています。

これからどうなるかは不確定ですが、暫定措置がなくなったとしても、すでに決定済みなのでプレイスへの交付金は減らないようです。しかし、国会審議のゆくえには注目すべきでしょう。