後期高齢者医療制度で考えた 日本の医療費は高いのか? 

後期高齢者医療制度について、国会でこの法案審議を担当していた民主党の足立信也参議院議員から、この制度について伺ってきました。
この制度は、先の郵政解散のどさくさで成立した法であり、与党からもひどい制度だと柄いる。次の総選挙は、この制度をこのまま認めるのかどうかが問われている、と話されていました。


足立議員から話を伺ったのは、12月21日に開かれた、民主党東京都連による政策研修会の席でした。
足立議員は、三年前の参議院選挙で当選した参議院議員ですが、三年前までは手術を行っていたという医師でした。医療製の改革が必要と考え、民主党から出馬。現在では、民主党の厚生労働担当となり、この制度の反対討論を担当したのだそうです。

この法案は、突然の解散で一度廃案になりましたが、衆議院選挙の後、同じ法案が出され、1週間という短期間で成立したのだそうです。そのため、十分な審議が行われず、今のこの時期になって問題点が明らかになり、政府与党も大慌てで特例措置を設け、保険料の支払いを先延ばしをしようとしています。しかし、根本的な解決とは未だになっていません。

この制度の点は数多くありますが、障害者についても明確になっていないとの指摘がありました。

この制度によって、75歳以上の高齢者だけではなく、65歳以上の高齢者も保険に入ることになります。しかし、保険料があがることになり、拒否することもできる。しかし、後期高齢者医療制度に入らないと無保険状態とおなじようになり、結果的には支援が無くなってしまうかもしれない。支援策は考えられているが、各都道府県で対応がバラバラで気が付いていないケースもあるとしていました。

武蔵野市が加盟することになる東京都の保険組合では、どうなるか現時点では分かりません。2月にある保険の議会で決まることになると思いますが注目が必要となります。

■この制度で一番気にかかっている制度設計について、足立議員に聞いてみました。

この制度は、簡単に考えれば、高齢者の医療費が上がることが予想されるためにつくられた制度となります。であるならば、新たな制度に変更したとして、いったいどの程度抑制効果があるのか、ということです。

そして、事務経費などの費用が広域連合となることで効率化されることになりますので、どの程度、効率化になるのか。あるいは、現状の制度を続けると、どのように悪くなるから、この制度でどう良くなるのか。
この制度が提案されたときにどう説明されいたのか、具体的な数字で議論されたのか、と聞いてみたのです。

通常、新たな制度にする場合、コスト削減がいくらになる。あるいは、どのような成果がある、と数字を出すはずだからです。会社組織であれば、新たな商品を開発したとなると、利益があがるなど明確にしない限りは商品にはなりません。

ですが、足立議員は、そのようなことは何も説明されていない、としていました。

与党圧勝の勢いで、ろくな審議もしないで法律をつくったため、肝心なことが明確ではない、ということです。

もうひとつは、制度に問題があるのは承知しているが、医療費が増えていくのは大きな問題になる。民主党としての対案は何か、でした。

答えとしては、保険料を下げたいのであれば、それは医療内容を下げるということ。
保険は、リスクの分散であり、使う人と使わない人がいるから成り立つ。75歳以上が入るということは、経済的弱者が多く、疾病率も高くなる。さらに、一定程度の障害者も入る。弱い人の塊の制度がそのような制度で成り立つはずがない。高齢だけを集めた社会保険は海外にない。

この制度のポイントは、新たな保険料の額でのショックで抑制しようとしている。しかし、少子高齢化社会でどこまでショックが続くのか。
保険料は、若者からも拠出させることになるが、保険料の議論になれば、高齢者をお荷物にしてしまう感覚になるだろう。

このような制度ではなく、民主党は、医療費抑制ありきではなく、質を高めることを優先すべきと考えている、と話されていました。

その根拠となるのはOECD調査で比較すると日本の医療費は、先進国と比べて低いことがあるのだそうです。

対GDPにおける医療費の割合というデータをOECDが毎年調査をしていますが、OECD health Date 2007によると日本は、8.0%でOECD加盟国中22位となっています。
1位は、アメリカで15.3%。2位がスイスで11.6%。3位がフランスの11.1%。
【参照】
社会実情データ図録 OECD諸国の医療費対GDP比率

この数値には、公的負担の対GDP率もありますが、この数値でも、アメリカ、フランスが6.9%であるのに対して日本は6.5%となっています。

その一方、平均寿命では日本は世界一。アメリカの医療と言えば、マイケル・ムーア監督の「シッコ」でも指摘されているように医療制度には課題を抱えており、高度な医療はあるものの、誰でもが受けられる体制とはなっていません。

これらの数字を考えていくと、国際比較をすると日本の医療費は決して高くはなく、寿命も長いことを考えればきわめて高い質と言える。医療費抑制ありきではなく、医療の質をより高めること、効率化を優先させるべきではないかということです。

足立議員は、また、医師不足も明らかでPECDで比較しても少ない。医療現場にいて感じるのは、昔に比べ三倍忙しくなったことだ。
治癒とは本来、癒して治すこと。病気や怪我を治すだけでなく、患者に説明し納得してもらうことで癒しになる。この両方が必要なのに、治すだけに偏重して、患者は不満を持っており変える必要がある、とも話していました。医療の質の内容とも言えるのではないでしょうか。

しかし、医療費を闇雲に増やすわけにもいかないはずです。質と効率化を高めることは良いことですが、医療費にも限度があるはずです。

この課題については、このような返答がありました。

多くの人の希望は、ぴんぴん生きてころりと逝くことだろう。長くなり寝たきりになるが、いいことなのだろうか。
現場は患者の意見を聞く間もなく、やれるだけの医療をやらざるを得ない。できるだけの医療をもとめるのなら、医療費は高くなってしまう。
どこまでの医療が必要なのか。患者側が、自己決定しておく要がある。そのためには、医療側も分かっているデータを開示する必要がある。

そして、そのために重要なのがターミナル医療になる。後期高齢者医療制度は、本来はターミナル医療を考える制度だったはずだ、というものでした。

■どこまでの医療を求めるのか。それは、自分で決めなくてはならないのでしょう。家族が判断するのであれば、できるだけのことを、となってしまうのは致し方がないことですから。

私を含めてですが、どのような最後が良いのか、自分自身で決めておく必要があるようです。ここ二日ばかり風邪でダウンしていたため余計に思ってしまいました。

日本の現在の医療が全て良いとは言えないとも思います。医療費の課題は複雑で重大な問題です。

ちなみに、東京都医師会のサイトに「医療制度・医療費について考える」のページがあり、

1) 日本の医療制度は世界に誇れる優れたものです
2) 日本の医療保険制度には、3つの優れた特徴があります
3) なぜ今医療制度を改革しなければならないのでしょうか
4) 国はどのように対応しようとしているのでしょうか
5) 日本医師会は、日本の医療制度の優れた特徴を守った改革を提案します!

との主張が掲載されています。