後期高齢者医療保険

11月27日に市議会全員協議会が開かれ、後期高齢者医療保険についての説明が市からありました。
後期高齢者医療保険は、2008年4月からスタートする75歳以上の高齢者、全員が加入しなくてはならない新たな制度ですが、この日にあった説明では、この制度によって何がよくなるのか分からないばかりではなく、今のこの時期でも未確定なことが多いことが分かりました。
果たして、このまま制度を実施していいのか疑問です。

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後期高齢者保険制度は、『市区町村単位での保険運営では財政基盤が脆弱であり、赤字運営になる可能性が大きい。そのため、都道府県単位の広域連合を設立することにより保険財政の基盤安定が図れる』ことがメリット、と説明がありました。

しかし、高齢者人口が増えていく今後、具体的な数字はどうなるのかを質問をしたところ、現時点では、保険料は増え、市の繰り出しも増える(税金の支出が増える)だろうとの見込みであることが分かりました。

現在のところ、当初想定されていた保険の内容から国民健康保険では実施されている葬祭事業などを行わないことで、支出経費を削減してコストを下げる。つまりは、現状の保険制度よりも質を下げてのコストダウンは考えられています。

また、複数の医療機関から医療や薬を重複してもらうために医療費が上がることがありますので、ひとつの医療機関を「かかりつけ医」として、この医療機関で医療や薬を管理することで医療費を下げようとの考えもあります。

武蔵野市では、医師会を「かかりつけ医」と考えていますが、ひとつの医療機関だけとなると、フリーアクセスの阻害(患者が1人の医師にしかかかれない。選ぶことができなくなる)になってしまいますが、この対策については、市が指導できる立場にないことから明確とはなっていません。
つまりは、新制度となっても、どう安定していくかの。医療費を増大を抑えられるのか現段階では明確ではないと考えられるのです。

財政規模が大きくなることで事務経費などが下がり、現状よりも保険料が下がると普通は考えられますが、現状では、広域になったとして下がることはならないことになります。高齢化社会となることで医療費は増大することになりますが、広域連合とすることで、今以上には悪くならないはずだ、という程度での想定でしかないことになります。

この制度では広域連合による保険ですが、窓口業務や滞納処理などは市が行うことになりますので、窓口の事務量は減ることはなく増えることなるなど現場の混乱も懸念されます。市民への影響はないようにしたいと答弁していましたが、実際はやってみないと分からない制度、としか思えませんでした。

後期高齢者医療保険となることで、保険料がいくらになるかの試算がこの日には示されていました。現状での試算で見る限りは、高所得者の保険料負担は下がるものの低所得者の保険料は上がることになります。

例えば、公的年金収入が年間208万円のケースでは、単身者の国民健康保険料が5万5500円であったが、6万6300円に。夫婦ともに75歳以上の世帯の場合、世帯での国民健康保険料が、5万4000円であったのが、9万6500円となります。

公的年収が248万円~350万円の場合は、単身者が45万100円から32万6400円に。夫婦ともに75歳の世帯では、41万1500円から36万4200円となるのです。

低所得者対策は考えられていますが、その財源をどうするのか。公費(税金)から支出する以外にはないようですが、その額や費用負担を誰がするのかが明確にはなっておらず、来年(08年)2月に開かれる後期高齢者医療制度の議会で認められてから決まる予定となっています。ですので、確定した保険料はこの議決以降となりそうです。

保険料の確定も含めて、確実な数字はこの制度が上程される来年3月の議会(2月26日開催)で明らかになるとのこと。早い話、4月実施であるのに、今のこの時点で詳細が決まっていない制度。果たしてこのままでいいのかと思います。

この制度は、国会では自民党、公明党により強行採決され国会審議も十分でなかったこともあり、どうなるのか、皆目わかりません。

また、当初は保険料が年間15万円程度と考えられていたものが、平均で7万円程度と下げられてきています。葬祭費用など事業内容を削減したことや公費(税金)の投入額を増やしたとしても、なぜ急激に下がったのか良く分かりません。

後期高齢者広域保険連合の議員でもある近藤武蔵野市議会議長がこの日の全員協議会で、議会が開かれるごとに保険料が下がってきたと報告していたことも考え合わせれば、保険料の算定根拠となる想定医療費自体があいまいでないのか。過少にかかるであろう医療費を算定して保険料を低くしているのではと疑問が残ります。

このことに関しても質問してみましたが、市としては検証できないので信じるしかないとの答弁でした。確かにそうだと思いますが、二年後との保険料は改定されることになっていますので、導入当初は低額であっても何年かたてば高額になる可能性があるのです。

■今後、高齢者人口が増えるのですから、75歳以上の医療費が増大することが明白でしょう。費用負担だけでなく、どうしたら健康でいられて、医療費を下げられるのか根本的な議論が必要なのだと思います。私自身、どうすればいいのか分かりませんが、目先の混乱だけが気になってしまいます。
この国のありかたをどうするか考える必要があるのではないでしょうか。医療制度自体を考え直さないことには、新たな保険で安心できるのか疑問です。

というよりも、偶然に発生する事故や病気のリスクを考えて、多くの人が出し合った保険料を資金として事故へ一定金額を払う制度が保険ですから、公費が9割程度投入されるような制度は保険とはいえないはずです。根本から考え直す必要があるのだと思います。