議会が作った自治基本条例

武蔵野市では、自治基本条例を作りたいとの市長の方針にたいして、いわゆる邑上野党から反発が起きています。
市の憲法と重要視するのであれば、選挙公約にすべきだなどの発言がありますが、具体的に何をもって批判的なのは明確ではありません。住民投票などを盛り込むことなどで議会軽視だ、が他の自治体では反発の理由となっていますが、果たして武蔵野市議会の場合はどうなのでしょうか。

自治基本条例制定にはいろいろな過程がありますが、非常に興味深いと思うのが、先日のマニフェスト大賞で審査員特別賞を受賞した長野県飯田市議会です。

自治基本条例は、通常、行政(市長)が作ることが多いのですが、飯田市議会では、議会自ら作りあげているのです。

行政に注文や文句、批判ばかりを言っているばかりではなく、議会の本来の役目である条例制定によって、市政運営を考えてもいいのでは、と飯田市議会の話を伺って思いました。

飯田市議会による自治基本条例は、先日のマニフェスト大賞最優秀成果賞にノミネートされ、審査委員会特別賞を受賞しています。
ノミネート理由について、審査員である西尾真治さん(三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員)は、「議会からは反発する場合が多い自治基本条例を、議会提案によって全会一致で可決。そこに至る、市民会議の設置や市内各地での説明会、パブリックコメントやシンポジウムの開催等、市民を巻き込んだ制定過程にも注目した」とコメントしています。

飯田市議会では「飯田市自治基本条例案」の提案理由として、以下が示されていました。

『地方分権一括法の施行を受け平成14年度に「議会在り方研究会」を立ち上げ、地方分権時代における市議会、市議会議員はどうあるべきか、また、どのように市民の負託に応えていくかについて検討を行い、議員提出議案の調査・研究を専門的に行う「議会議案検討委員会」を設置した。
議会議案検討委員会では、委員会自らが条例の作成に取り組むこととし、「憲法に値するような大きな視点のもので、これまでのまちづくりの上にたって、市民参加を得たまちづくりのための条例とする。」との確認のもと、飯田市の自治の現状と課題について研究を行い、「地域のことは地域で行う。」という地方自治の原点に立ち返り、自治の担い手である市民・議会・行政の役割を再確認にして、市民が主体のまちづくりを進めるために、自治基本条例の制定が必要であることを確認した』
とあり条例施行までには、4年をかけ検討を行ったのだそうです。

注目される住民投票については、第35条に
『市政の特に重要な事項について、市民の意思を確認する必要が生じた場合、議員若しくは長の提案又は市民の直接請求により、その都度条例を定め住民投票が行われる個別設置型の住民投票を想定した』としています。

行政や市民請求だけではなく、議会自らも実施できると規定されており、議会の役割も明確になる自治基本条例ならではといえる規定と思います。
議会を軽視していると思うのではなく、議会も実施できるとすることで、二元代表制の一方として自らの立場を明確にしているのではないでしょうか。

■市政運営の基本ルールを明確にすることが、自治基本条例だと思います。
飯田市の場合は、第一条の目的に『市民が主体のまちづくりを協働して推進するためには、施策の決定や事業の評価に市民の意見を反映させることや、事業の実施に市民の参加を募るなど、市政への市民参加が確実に促進されるための仕組みを定めることが必要である』としています。

市長が提案したから賛成反対ではなく、市民参加、参画が必要なのか必要ないのか。議会、議員が何をすべきかを明確にすること、つまりは、議会基本条例も必要であると同時に問われるのが自治基本条例だと思います。市政に何かを言うこと、つながりを取れることだけが議員ではないはず。議員が何をすべきかも明確にすることも求められるのが自治基本条例ではないでしょうか。
問われるのが嫌であれば別ですが。

【参考】
飯田市議会
飯田市自治基本条例(条文)
全国条例データベース(鹿児島大学法文学部法政策学科運営)全国の自治基本条例などへのリンク