進まない住宅の耐震補強。まずは簡易型で対策を

1fbbbace.jpg内閣府が「地震防災対策に関する特別世論調査」の結果を公表しました。この中で、住宅の耐震補強工事を「実施するつもりはない」と答えた人が47.2%になることが分かりました。実施しない理由は、費用がかかることが最も多くなっています。
武蔵野市でも、耐震診断アドバイザーの派遣や住宅への耐震工事に対して補助を出すなどを行っていますが、やはり費用面から進んでいないのが実情です。家を全面的に改築するのではなく、簡易型の対策を実施することで人命だけでも助けられるような政策も必要だと思います。


内閣府による「地震防災対策に関する特別世論調査」の調査目的は、地震防災対策に関する国民の意識を調査し、今後の施策の参考とするもの。
全国の20 歳以上の者3,000人を対象にして実施。調査期間は平成19年10月4日~10月14 日で、回収率は58.6%。調査員による個別面接聴取となっています。

調査項目は下記
1 耐震補強工事の実施について
2 耐震補強工事の実施予定がない理由
3 大地震に備えてとっている対策
4 家具や冷蔵庫などを固定しない理由
5 ハザードマップの活用状況・意向
6 緊急地震速報を想定して準備をしようと考えていること
7 緊急地震速報を受け取ることができればよいと思う手段

この中で注目したい項目として1と2があると思いますが、結果は下記となっていました。

[1] 耐震補強工事の実施について
・1年以内に実施する予定がある 1.8%
・1年以内ではないが,実施する予定がある 3.1%
・予定はないが,いずれ実施したい 26.7%
・実施するつもりはない 47.2%
・耐震補強工事実施済みなど,既に耐震性がある 16.8%
・わからない 4.3%

[2]耐震補強工事の実施予定がない理由(複数回答)
・お金がかかるから 41.9%
・必要性を実感できないから 27.9%
・集合住宅や借家などに住んでおり,自分だけでは判断できないから 23.3%
・効果があるか不明だから 13.4%

耐震補強を実施するつもりがないとの答えが半数近くあり、その理由としてお金がかかることが最も多いことが分かります。安価な耐震対策も必要となります。

耐震工事への提案を2007年9月議会の一般質問で行いましたが、答弁で市が把握している市内の木造住宅は約1万8000棟があり、この中で、耐震が強化されていない昭和56年の改正建築基準法以前に建てられた木造住宅は約9,500棟があることが分かりました。

市としては、無料の耐震アドバイザー派遣を行っていますが、平成14年から平成18年までの5年間で受診した件数は309件。受診率は約3.1%と極めて低いのが実体です。

木造住宅の一般耐震診断件数も、受診数は176件。受診率にすると1.85%。しかもそのうち、補強が必要とされた建物は141件。つまり、耐震診断をすると圧倒的に補強が必要であることになる数字です。

市としてPRを行ってきてはいますが、耐震という結果になっていないのです。

そこで注目したいのが、防災ベットなどの簡易防災対策です。

防災ベッドは、住宅が倒壊しても、安全な空間を確保でき、命を守ることができることを目標として開発されたもので、下部のベッド部分は木製、上部の防護フレームは鋼製となっています。ベッドの丈夫に頑丈な金属製のガードレールを付けて置くことで家が倒壊してもベット上だけは守ろうとの製品です。
静岡県が実施した『「地震から生命を守る」2001しずおか技術コンクール』の防災器具部門アイデアの部で最優秀賞を受賞した作品をベースに民間企業と静岡県静岡工業技術センターにより共同開発された製品です。

価格は、税別で20万円。他に輸送組み立て費がかかります。

このベッドに対しては、東海地震が予想されている静岡県では自治体が購入補助を行っています。例えば、袋井市では、購入費用の3分の2以内で1台20万円までという内容。

渋谷区では、防災ベッドと「部屋の中に部屋で手軽な耐震シェルターに」の記事で紹介したシェルターの補助を高齢者世帯などに限って、最高50万円の補助を11月1日から実施しました。
費用補助はありませんが、世田谷区ではあっせんを行っています。

防災ベッドだけではなく、住宅の一部を補強することで耐震性能を上げる技術もあります。補助をしています、というだけではなく、より実効的な政策にすること。少しでも防災を進めるとの考えにたち、防災ベッドなど簡易防災対策も実施すべきだと思います。

このことに対して提案したところ
「いざというときに命を守るという視点では、極めて大切な取り組み、有効な取り組みと私も理解いたしますが、建物は周辺にも影響が出ますので、個々の建物が壊れない、つまりまち全体が壊れない、火を出さない、燃えないといった取り組みも必要ですので、まずそういう取り組みを進めつつ、補助的に防災ベッドなどへの補助を今後研究していきたい」
と市長は答弁していました(要約・正式には議事録を)。

いつくるか分からない震災です。できることから、少しでも前進を始めるべきです。

【参考】
「地震防災対策に関する特別世論調査」(内閣府・PDF)
宝永工機
しぶや区ニュース 11.1(区報・PDF)
世田谷区の防災ベッドあっせんパンフレット