廃校利用の住民活動センター。NPO運営の児童館もある「こらぼ大森」

f33bad68.jpg少子化により小学校が廃校されたことから、跡地利用を住民で考えた結果、中高校生の居場所を含む児童館と住民活動施設、シルバー人材センターが一緒となった複合施設「大田区区民活動支援施設こらぼ大森」を訪れてきました。


「こらぼ大森」は、平成14年3月に閉校した小学校の跡地利用を大田区と地域住民、区民活動団体などが話し合い、平成16年4月に区民活動支援施設として開設した施設です。
話し合いでは、区民の自主的な活動を応援する場、高齢者が活動できる場、中高生の居場所との要望が出され、その結果、下記のような内容の施設となっています。

シルバー人材センター→1階
協働施設→1、2階
児童館(子ども交流センターと学童クラブ)→3,4階

このほかグランドと体育館も残されており、区民が利用できるようになっています。訪れた日には、近くの幼稚園の運動会の準備がおこなれていました。
協働施設には、印刷やコピー、軽作業が行える「ワーキングルーム」や予約無しで利用できる「ミーティングルーム」。会議や学習会に利用できる「会議室」。登録団体の「共同事務室」があります。

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「こらぼ大森」はたんなる複合施設ではなく、運営を地元の住民を中心としたNPO、「大森コラボレーション」が行っていることが特徴です。

区では当初から直営ではなく、運営を委託する方針でいましたが、跡地利用を住民参加で考えていくうちに、区民との協働施設、地域による自主運営をするべきとの考えになり、運営を考える準備協議会の委員や傍聴者、PTAや区民活動団体が中心となりNPOを設立。指定管理者として受託をしています。

準備協議会の中心となったのは、廃校となった学校に子どもが通う保護者でしたが、小規模校であり人数も少ないことから、周辺の町会に協力を求めて組織を作り上げています。現在では、町会だけではなく周辺の高校や専門学校とも連携した子どもとの交流プログラムも実施されています。

子ども交流センターは、乳幼児から高校生までが対象。自由来所型で乳幼児の専門スペース(教室一室分)があるほか、工作室、スタジオがあります。
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また、学童クラブも併設されています。旧来の場所からここへ移転すること。区の直営からNPO運営(大森コラボレーション)へと変更されることで学童クラブ保護者からの反対もあったそうですが、同じ学校へ通う子どもの保護者が中心となったNPOであることも含め、丁寧に話し合いを行ったことで現在の形になったとのこと。

■詳細は、サイトを参照していただくとして、注目すべきと思ったのは、跡地利用の委員会の持ち方でした。小学校の廃校ということもあり、町会だけではなくPTAが中心となって協議したこと。さらに、傍聴者からも意見を聞き協議を進めたことです。

とかく委員だけで決めてしまいがちですが、傍聴者の意見を聞くことで、多様な意見を反映するだけではなく、より大きな力になるのでは、と思えるからです。どのような意見が飛び出すか分からないことや時間が余計にかかるリスクもありますが、わざわざ傍聴に来る人は、関心を持っている人であるはず。関心のある人を巻き込んでいくことで、傍聴者の参加意識がたかまり、その後の活動内容へもいい影響を与えることになると思えるのです。

この委員会では、結論として「地域を結びなおす施設」とのコンセプトになり、運営組織へと昇華しています。事業内容にもよりますが、参考にすべき事例だと思いました。

また、行政の考え方も参考になると思います。
学校や跡地利用となると、ボランティア(有償を含め)頼みとなりがちです。しかし、施設規模が大きいこともありますあ、地域を結びなおす施設となれば、片手間仕事ではできなくなります。子どもの事業も同様でしょう。そのため、運営を考えていた委員会では、専従できるスタッフの費用を考えてほしい、安上がりの施設にはしてほしくないと条件を出し、区も業務として委託することになっています。

ただし、説明して下さったスタッフに、“食べて”いけるだけの給料になっているのかと聞いてみましたが、そこまでにはなっていないとのこと。区の財政状況も考える必要がありますが、大きな課題ともいえるでしょう。

そして、最もポイントと思ったのは、施設の中身を考えるよりも前に、運営内容を考え、運営する人(組織)を決めていることです。施設が先にできたのでは、運営者のやる気もおきないでしょうし、設計された意図を理解できずよりよく活用できないのではないでしょうか。

施設よりも人が大事、ということ。これから作る施設や廃校利用を考える上で参考にすべきです。

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写真:上から

・こらぼ大森の外観。学校を再活用しているので見た目は学校。住宅街の真ん中にある。再スタートにあたり耐震補強を行っている。

・子ども交流センターの受付。奥は学童クラブ。

・工作室。奥のドアがスタジオの入り口

・給食室の跡を利用して、住民団体が高齢者への配食サービスを行っている。会食会もあり、隣の部屋には、軽食コーナーがある。