公民館、生涯学習、図書館の複合施設「クロスパルにいがた」

4b4c805b.jpg10月17日に市議会文教委員会の視察で新潟市にある「クロスパルにいがた」を視察しました。
公民館と生涯学習センター、図書館、国際友好会館(国際交流事業)が同じ建物にあるという複合施設です。市民支援として考えると同じ方向性を持つ事業が集まることで多様な事業展開が可能と思える反面、異なる系統の事業がどのように連携できるのかを聞きたいと思い訪れてみました。複合機能は武蔵野プレイス(仮称)の参考にもなるかもしれません。また、指定管理者制度を止めてしまった施設でもあります。


「クロスパルにいがた」は、老朽化した公民館を新たに建設した施設で、公民館に生涯学習施設、国際交流施設、図書館事業のスペースが入った複合施設です。子どもの居場所機能も考えられており、廃校となった小学校跡地に平成17年5月に開館しました。体育館やホール、展示室、調理室、音楽スタジオ、保育室、交流ホール。そして、一階に蔵書数4万5000冊の図書館で構成されています。

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地上6階。
敷地面積:4262平米。
延床面積:7598平米。
建設費:28億8900万円。
17年度のランニングコスト:約1億4000万円(電気代などの管理経費、清掃、警備などの委託料、パソコン研修室などの使用料。省く市職員の人件費)。館内の職員は67人。

が基礎データ。

このような複合施設を新設するということであれば、生涯学習や公民館活動が手薄かと思えてしまいますが、新潟市内に61館の公民館があるほどで、現在でも積極的な活動が行われているようです。生涯学習についても同様で、この施設ができることで、社会教育団体の登録数が約300から800団体に増えたほどです。また、新潟市では、公民館の他にコミセンが学校区ごとに36館が整備されており、自治会活動とも別として事業が行われています。

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武蔵野市の感覚で考えると、コミセンか公民館かのどちらかとなってしまいますが、市の規模が違うとは言え、新潟市では両立させてきたことになります。さらに、公民館というと社会教育となり、生涯学習とは異なる事業と考えてしまいますが、新潟市の場合は、学校以外の基礎的な教育が社会教育。それにプラスアルファする教育が生涯学習と大まかな線引きをしてともに充実をさせてきたのだそうです。簡単に考えれば、受講料無料を原則とするか、多少の受講費用を得てもいいかとの差と考えれば良いようです。ただし、大まかな線引きであり、線引きは気にしないで活動は行われているようです。

武蔵野市では、公民館ではなくコミセン(コミュニティセンター)で社会教育的な活動を行うことになっていたため公民館(市民会館)が一館しかなく、コミセンに力を入れてきました。その結果なのか直接的な因果関係ははっきりはしませんが、コミセンのあり方をどうするか(部屋を貸す業務が主力なのか。自治会的な役割りを果たすのか。自ら学習するための拠点なのかなど)が長期計画調整計画で課題と認識されており、見直す時期となっています。

武蔵野市とは異なる経過をたどった新潟市と武蔵野市で市民生活がどうなったのか気になるところです。今回の視察では、そこまでは分かりませんでしたが、今後に調べてみたいテーマだと思いました。

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複合施設であることの相乗効果については、具体的な成果とは現状ではなっていませんでした。館全体のお祭りを企画しており、この実行の段階で各事業の利用者が知り合うような仕掛け作りが行われている段階です。
図書館と他の事業の連携については、イベントや講座などに関係する図書を図書館で紹介するというセオリーのような内容で、例えば図書館員が一緒に講座を企画して情報の調べ方や新たな情報を提供するような事業にまでは発展はしていませんでした。

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子どもの居場所は、ホールなどにテーブルと椅子が置かれ、飲食可能となっていました。施設としては、それだけで居場所と言われてもなぁ、と思えてしまうほど質素。調布CAPSとは正反対の場所にようにも思えます。
ただ、大人が干渉しない自由な場所と考えれば、居場所となるのかもしれません。訪れていた中学生は、友達と話しながら宿題をやっており、こういう場所が武蔵野市でも少ない現状を思えば、立派な施設を考えるよりも、このような質素なスペースでもまずはやってみても良いのかなと思えました。

指定管理者制度は、国際友好会館と生涯学習事業で実施していましたが、指定管理者を解除し直営に戻しています。効率的な運営ができないことが理由だそうで、解除した第一号ではないかと担当者は話されていました。現在では、公民館、図書館も指定管理者制度にはなじまないと話されていました。

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■各事業の連携はこれからの課題でしょう。国際交流事業の組織は別組織ですが、公民館、生涯学習、図書館の各担当職員が同じ組織(クロスパルにいがたセンター長の下に位置する体制)ですので、縦割りで終わるのではなく相乗効果を生み出すように今後に期待をしたいと思います。

これまで熱心とは思えなかった武蔵野市の社会教育事業を今後どうするのか。コミセンを中心にこれまでと同じにしていくのか。社会教育、生涯学習に力点を移すのか、あるいは両立させていくのか。大きな課題であることをあらためて認識しました。地域の希薄化も考えていくと、社会教育に力を入れる必要性があるのではないでしょうか。

写真。上から

・クロスパル新潟の外観

・図書館の様子。

・図書館にある情報検索スペース(左)。右はパソコン利用が利用できる専用室。この右手に個別に仕切られた学習スペースがある。

・エレベーター前の空間。館全体で感じるのは、余裕スペースが多いこと。一つや二つ、何らかの部屋や展示スペースになるように思える。延床面積約9050平米(地下の駐車場を省く)で57億円のプレイスに比べると、地下がない分を差し引いたとしても安価に思える建築費は、内装が少ないかもしれない。

・子どもの居場所。もう少し何か欲しいように思える質素な空間。

・展示スペース。部屋を仕切ることも可能で講座などにも使える。