見直されたプレイスは穴倉?

newp110月12日に鉄道対策・農水省跡地利用特別委員会の懇談会が開かれ、基本設計を変更した武蔵野プレイス(仮称)について設計者の河原田さんと行政から説明がありました。基本設計については、平成18年7月かた専門家会議が開かれ見直しを実施。平成19年3月に『武蔵野プレイス(仮称)専門家会議最終報告書』が市長に提出され、これに基づき19年6月に「武蔵野プレイス(仮称)についての基本的な考え方」を策定、そして、今回の基本設計の見直しとなっています。今後、実施設計に入り、平成20年末から建設工事を開始し平成22年度末オープンの予定となっています。


懇談会の冒頭、設計者の河原田さんから、公共施設のあり方を考え直してみたい。古い建築物、、庭園など機能がなくなったとしても、なぜかそこに来たくなるような魅力ある場。約束がなくても来たくなる場として考え直してみた。苦労したのは、公共性をどう生み出すかだった。結果として、適度なまとまりがあり、連携することで空間構成を作ること。一部分を丸くすることで、やわらかさを持たせ、知的活動や読書にと落ち着かせる空間とした、とコンセプトについて説明がありました。

この丸みというのは、建築の柱のスパン(間隔)にあわせて考えられたもので、柱と柱の間を丸みを帯びたデザインで結ぶというものです。
これまでの基本設計では、柱のスパンが広くなっていました。これは、空間を広くとれるメリットがありますが、建築費が高くなるデメリットもあります。プレイスの工事費が約2億円下がったのは、このスパンを短くしたことが大きな要因となっています。
短くした理由については、空間の処理をどうするかで考えたことと建築基準法が改正されたことから、スパンを広く取ることで耐震強度を保てるかリスクとなったので、回避するために短くスパンを狭めたデザインとした、と説明がありました。

newp2

見直しされたポイントは下記です。○が項目。矢印の上が前回の基本設計。下が見直した基本設計です。

○基本理念
・多様な活動を同時に受け入れ人と人、人と情報の出会いを誘う場

・基本的に同じ

○内部空間
<室内>
・勾配天井と斜めの壁によって、場所ごとにまとまりのある場(「ルーム」)を形成し、それらが次々とつながっていく

・考え方は基本的に同じ
・「エッジ効果」によりそれぞれの部屋としての落ち着きをより増進
・人にやさしい包み込むような空間
・各階中央あたりに広場的スペースを確保し、より交流しやすい環境をつくる

<外観>
・公共建築として長く愛されるような設え
・エイジング(時を刻むような素材感)

・やわらかさを加え、より親しみやすい新しい公共性を体現
・数種の仕上げで多様性を付加したエイジング

○構造
<経済性>
・大きな柱ピッチ(スパン)

・可能な限り整形(スクエア)、均等スパンでより明快な構造形式とし、コストダウンをはかる

○環境
・周辺環境との調和
・地下化によるエネルギー負荷の軽減
・ライフサイクル・コスト、CO2の低減
・屋上緑化・散水
・ヒートアイランド防止 ・基本的にすべて継承(さらに増進)

・基本的にすべて継承(さらに増進)
・窓面積の削減によりエネルギー負荷のさらなる軽減

○ブラウジング
・「動線ブラウジング」(3つの階段による回遊性)

・「空間ブラウジング」(空間の差異性による回遊性)
・シースルーエレベーターをオープンスペースに向けて導入

懇談会では、多くの質問がありましたが、課題点の多くは運営者や運営方法により、解決ができることだと思いました。というよりも、誰が運営するのかを明確にしないと、設計思想が実際の運営に生かされないだけでなく、運営に支障が起きるような設計になる可能性が残されているのですから、早急に運営者を選定する必要があります。
今回は、設計者が来ていることもあり、設計についてを中心とした質疑となったため、この最も肝心なことは現時点では明確になっていません。

今回の懇談会で今後の課題になると思えたのは、変更された外観デザインに賛否があったこと。4階に考えられているフォーラム(ホール)の規模をより拡大すべきとの意見があったことでした。

外観デザインについては、河原田さんのイメージの良さがなくなった。二年前の設計は想像以上に良かったが、インパクトがなくなった。あまりにも変わりすぎている。違和感がある。明るい、広いイメージがない。ルービックキューブ、穴倉のようだ。建築費を押さえるようにと市から圧力があり、結果としてのこのようなデザインになったのではないか、と質問が、いわゆる邑上野党側からはありました。

これに対して副市長からは、「最小限のコストで最大の成果を、とは一般論としては言っている。耐震強度はクリアして欲しいとは伝えているが、それ以上の削減ありきの指示はだしていない」。設計者の河原田さんからは、「ルームというコンセプトから外観もインテリアも考えている。コスト削減からではない。結果としてルームがつながることになった。窓は、 室内の開口部がそのまま外観の開口部になっているが、すべてが同じ大きさではなく場所によりスペースは変わる。空間の多様性があると考えている。狭いと言われるが、そうは思えない」との答弁がありました。

フォーラムについては、椅子席だけであれば200席規模という面積ですが、300人規模の面積に広げるべきだとの意見がありました。理由は、武蔵境地区には300人規模のホールがないため、三鷹や吉祥寺にわざわざ行かなくてはならないため、としていました。

これに対して、構想段階から規模は200席としてきているので変更は考えていない、との答弁がありました。見直し前の基本設計でも規模は同じです。

しかし、この規模については、以前から疑問があった。4階の周囲には屋上緑化のスペースがあるが、西側はお寺でありお墓を眺めることはない。西側に広げれば十分可能ではないか。工事費を承認するのは議会であり、広げるべきだ、とかなり強い口調で意見が述べられていました。場合によっては、200人規模のフォーラムを拡大しないのであれば、工事予算を認めないとも思えるほどでした。

newp4

■デザインについては主観が入るため、是非は決めにくいと思います。窓面積が小さいと指摘がありましたが、図面を見ると、一スパンの間隔は9.1mですから窓の幅は9m弱となります。図面では小さいように思えますが、実際はそう小さいとは言えないのではないでしょうか。

河原田さんは、壁などは自然素材を生かしたいとしていまいしたので、実際のイメージは今後の実施設計でより明らかになると思います。イメージは色によっても変わるもので、今回の資料には色の指定がありませんでした。現状で考えているのか。それとも実施設計で考えるのか、と質問をしましたが、内装も同じで実施設計で考えていくのだそうです。イメージの論議は、もう少し後になってからとなりそうです。

穴倉とは、言われればそうかもしれませんが、素材によって違うので何とも言えないと思います。大きなガラスを使ったこれまでの基本設計の外観は、確かにインパクトは強いかもしれませんが、空調費がかかるだけでなく、利用者の落ち着きが得られにくいこともあり疑問の思っていました。インパクトがないことは逆に長年にわたって飽きがこないことにもつながります。資料の表紙にあるように、周囲の樹木に埋もれたような雰囲気となれば、建築物の主張が強すぎず樹木などの環境と一体化した雰囲気になり、公共建築としては良いデザインになったと私は思いました。ただ、あくまでも主観ですから何とも言えません。

多摩美術大学の八王子図書館が新しくなっていますが、このデザインもスパンを利用したデザインのようでコンセプトは同じかもしれません。プレイスとできあがりは異なると思いますが、このようなデザインでも穴倉と言えるのでしょうか。

300人規模のフォーラムにするかどうかは、もっと調査データが必要ではないでしょうか。移動できる壁を入れて、100人単位の部屋にもできるようにフレキシブルに使えること。明確なニーズ予測があれば検討しても良いと思いますが、規模についてはこれまでも検討してきているのですから、現時点では、どうかなぁと思います。
ただ、200人規模の部屋は、すぐ近くの境駅北口にあるスイングビルに三カ所もあるのですから必要なのかも含めて、もう少し規模は検討しても良いと思いました。

見直しされた基本設計については、いずれ市のサイトにある武蔵野プレイスのページに掲載されると思いますので、ご参照ください。懇談会は、非公開で行われ記録もありません。上記は、すべて私の記録から記載したもので、確認ができないため実際のやりとりなどを正確にお伝えてしていないことをご了承下さい。

画像の上:穴倉と批判された外観。四階部分が屋上緑化スペースとして狭められているため、拡大できるとされている

中:外観図

下:資料の表紙となったプレイスの全体イメージ。木々に埋もれた雰囲気とするには、あまり主張しないデザインが良いのでは。
(画像は資料より)