No! 寝たきりデー  NNKよりもPPKで

9月22日に「No! 寝たきりデー 在宅介護は夢のまた夢?」に参加しました。
この中で、これまでの常識とは異なる興味深い論が紹介されていました。例えば、病床が増えるほど寝たきりが増える。医師数が多いほど寝たきりも多い、というもの。医療も介護保険も、医療づけや介護になった状況でないと報酬が得られない。元気になると報酬が得られるような成功報酬ではない日本の現状制度を考え直したほうがいいのでは、との論でした。
そして、キーワードは、NNKではなく、PPKというものでした。


「No! 寝たきりデー 在宅介護は夢のまた夢?」は、市民福祉サポートセンターが主催し、今回で18回目となります。
午前中にあった全体会での講演で、この論を話されていたのは、都立大学教授の星旦二さんでした。
星さんの研究によると、人が豊かに過ごすことが長生きになる。薬漬けでは長生きにならない、が結論なのだそうです。

多くの興味深い話がありましたが、日本の医療、介護保険の制度設計に問題があるとの指摘には考えさせられました。

例えば、山村で無医村のほうが長生きしているという話でした。これは、きれいな水、空気があり、適度な運動ができる地域。環境を破壊しなかった地域であり、言い換えれば、“発展”が遅れた地域のほうが長生きしている、となるのだそうです。

星さんの研究データを検証していくと、病床が増えるほど寝たきりが増えている。医師数が多いほど寝たきりも多いのだそうです(病床が多いからではない。病床に限りがあり病床以上に寝たきりの人が多い現状ですから比較できるのだそうです)。

これは、現在の医療制度に課題があるからだ、されていました。
現在では、薬漬け、介護付けであるほうが、報酬を受け続けられる制度であり、元気になると報酬が得られなくなってしまう。病気が治る、介護を必要としないくらい元気になると報酬を得られる成功報酬型にする必要がある、との指摘されていました。確かに、利益だけを追求するのであれば、元気になってもらっては困るのが現在の制度です。根本から制度を考え直す必要がありそうです。

NNKよりもPPKであるべき、との指摘も考えさせられました。

NNKとは、ねんねんころりの略で、寝込んだまま逝ってしまうこと。
PPKとは、ぴんぴんころりの略で、ぴんぴんに元気で暮らしていてさっと逝ってしまうことです。

PPKであるべきで、どうしたらこのような最後になるのかについて、いくつかヒントを星さんは示していました。

そのなかでも、口紅、化粧、身だしなみが重要であるの指摘には、これからの高齢者福祉に大きなヒントだと思います。
外出の機会を多くすることで、体力も使うことになり精神的にも前向きに生きることなるという意味です。スェーデンでも同様の実践があるそうで、家に引きこもらない施策が求められているとされていました。また、星さんの調査データでは、特養が多い地域ほどNNKであり、少ないほどPPKになるのだそうです。

これらのことは、介護保険制度を含めた高齢者サービスを考えることにつながるのだと思います。
適度な運動機会を減らしていないか。外出よりも在宅を優先させていないか。反対のことをして、結果的には早死の可能性を高めているのではないか、と指摘されていました。

例えば、高齢者サービスのひとつに高齢者給食(配食サービス)がありますが、これは外出機会を減らすことになるので、長生きをしてもらおうと考えるのであれば逆効果だ。実施するなら、ある場所に配食し、そこで集まって食べてもらうようにして外出機会にすべきだと指摘されていました。オーストラリアでは実際に止めてしまっているのだそうです。

「嫁に財布を渡すな」との話もされていました。お金を管理することで脳の刺激になりますし、お金をおろしに行くだけでも外出機会になるからなのだそうです。外出しないのは体がきついのではなく、気力がないことが原因。財布を握られていては、外出しても楽しくないでしょう、と話されていました。

外出維持させることは、生存維持させること、でもあるそうです。

そして、認知症の予防も含めて、高齢者にも夢が必要だ、と力説されていました。 
高齢者が働くと寝たきりも少ないというデータがあることから、高齢者の何らかの役割りを持ってもらうこと。買い物や園芸、遊びでも良い。何かの役割りを持ってもらうことで外出機会が多くなり寝たきりが少なくなる。外出する目的、きっかけ作りが重要で、コミニティバスのあるなしではないのだそうです。

役割りをもってもらうことで、認知症は予防できるとも話されていました。高齢者の食環境を変えることやハイリスク高齢者(介護になりそうな高齢者を探して筋トレなど予防をしてもらう)を探しているよりも、高齢者が外出したくなる、夢を持てる、生きていることが楽しいと思えるようなまちを作ることのほうが重要とされていました。

星さんの研究データは、本人も認めていましたが、断定するにはまだデータ量が不足していると思います。しかし、医療制度も含めて発想の転換が必要ではと思いました。介護などなったらどうすする、ということでなく、ならないようにはどういう街がいいのか。どういう施策が必要なのか。NNKがいいのか、PPKが良いのかも含めてまちづくりとして理想を考えるべきではないでしょうか。