もうひとつの学校

町田市に「ひなた村」という青少年施設があります。
児童館のように、子どもが自由に来所する施設ではなく、この施設を利用して実施されるプログラムに個人や団体で参加するための施設です。会社などにあるナントカ研修センターのように一定のプログラムを実施するだけの施設かと思っていたのですが、視察させてもらうと中身が違うことが分かりました。

プログラムを実施することも事業の柱ですが、それだけではなく、青少年団体の指導者が実施するプログラムへの支援を行っていること。音楽を自由に演奏できる場所であることなど、地域支援や学校では対応できない学習への支援も行っていたのです。

地域で子どもを育てる、とはよく言われる言葉ですが、地域自体にその力がない場合もあります。学校だけで対応できない学習の場もあります。指導者を支援することや学習の場の幅を広げることができるこのような施設、もしくはシステムが武蔵野市でも必要では、と思いました。

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「ひなた村」は、町田市のほぼ中央にある丘(標高105.8m)の中にあり施設面積は6万7千平方m。公園や野球場、テニスコート、遺跡があり、その中の林の中に、広場やホール、レクレーションルームなどを備えた施設のことです。

部屋を予約してミーティングや学習会、発表会(ホールもある)を行うことができるのは、コミセンや市民会館と同じような機能といえるでしょう。
しかし、「ひなた村」では、場所を提供するだけではなく、ソフトの支援も行っていました。

例えば、「プログラムサービス」があります。
このサービスは、子ども会や学校のクラス会などでのプログラム作りから当日の指導までお手伝いするもの。子ども会のリーダー養成なども行っています。キャンプでの飯ごう炊さんのやり方など施設内にあるキャンプ場を利用しての指導もあるのです。

子どもだけへの働きかけではなく、子どもの成長を支える地域や大人への支援がプログラムになっているのです。

地域で育てる、地域に任せていますなどはよく使われるフレーズですが、その肝心の地域や大人に力がないこともあります。子どもを育てるには、どういう環境が必要で、その環境はどう作っていくかを考えた結果のように思えてなりません。

また、人形劇や電気工作、自然遊びなどの年間を通じてのプログラムがあり、ここへの参加者の募集も行っています。単発のプログラムではないことが特徴です。

このようなプログラムは、武蔵野市でいえば、土曜学校ともいえるような内容です。しかし、このような施設があることで、その先の発展が期待できるのです。

例えば音楽ですが、ある程度を習えば自分たちだけで練習したり、楽しみとして演奏をしたくなるものです。しかし、そのような場所はなかなかありません。「ひなた村」は周囲から離れているので、部屋の防音装置がなくても近所迷惑にはなりません。そのために、特別な部屋ではないのですが、演奏をするために多くの人(青少年)が訪れているのだそうです。

音楽スタジオでは費用がかかりますし、部活動でなければ、学校の施設は借りにくい。少人数ならともかく大人数になると練習場所がないのが実情ですから、このような場所があることで、音楽へより親しむことができるようになるのだと思います。

学校のカリキュラムでは、音楽や美術などの授業時間は削られるばかり。このような施設を利用して、フォローができるもうひとつの学校があっても良いのではとも思いました。

何かのプログラムを実施すればそれで終わりではなく、ステップアップする子どもへも対応する。あるいは指導者への支援など行うことなど多様なシステムを考えていくことで子育て環境がよりよくなるのでないでしょうか。

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「ひなた村」は、市制施行30周年の記念で作られたのだそうで、現在は築30年となります。林の中にあるワイン工房のような雰囲気でした。
ただ、今のご時世ではこのような施設を作り直すには行かないようで、修繕だけでも費用がかなりかかっているとのこと。今後はどうなるか分からないようです。

職員は、正規職員と嘱託。指定管理者制度などは収益のあがる事業ではないので、当面の移行はないようです。指導者支援は従来はなかったようですが、今必要なことと考えて実施されているとか。

「ひなた村」のような事業を武蔵野市でできるかと考えると、大きな施設では難しいでしょう。でも、既存施設を使えば、と考えると旧桜堤小学校が思い浮かびます。利用計画が決まっていないのですから。

写真:クラシカルな木造施設。防音装置はないが周囲から離れているので、騒音の苦情はない。「ひなた村」の周囲は、大型の団地があるなど住宅地が広がっており、このような場所がよく残っているなぁと思えた。