横浜市立男女共同参画センター 指定管理者制度のヒント

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横浜市立の男女共同参画センター横浜(フォーラム)を視察してきました。
この施設は、一階に図書室があり、二階、三階に会議室やセミナールーム、スタジオがあること。指定管理者制度によって運営されているなど、武蔵野プレイス(仮称)と同じようなコンセプトを持っています。
男女共同参画への取り組みについては、別の機会にしたいと思いますが、運営手法は参考になると思いました。


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男女共同参画センター横浜は、三階建てで総床面積は、約5100平米。20年前に建てられていますが、建設費は約40億円です。
武蔵野プレイスが、現状では、約9,050平米(地下三階の駐車場を除いた面積)、建設費(事業費)約57億円(土地代約25億5000万円は別)ですから、ちょうど半分弱の規模と考えれば分かりやすいと思います。

主なフロア構成は下記。

一階;
・総合受付
・情報ライブラリ(図書室)
・活動交流コーナー
・印刷工房
・子どもの部屋(託児可)
・事務室
・相談室
・ホール

二階;
・生活工房(ワークスペース)
・和室
・セミナールーム
・音楽室
・女性起業UPルーム

三階;
・フィットネスルーム
・健康サロン
・会議室

事業は、女性の社会参加を支援するためのセミナーや講座、相談室、フィットネスルーム(女性だけが参加可能)と市民活動を支援するための会議室や情報提供、セミナーが主に行われています。

プレイスと目的は違いますが、各種の講座、会議室、市民活動支援、図書との構成は共通しています。

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そして、プレイスでも参考になると思えたのが、指定管理者制度によって運営されていることでした。

管理者は、財団法人横浜市男女共同参画推進協会。横浜市が設立した公益法人で、この横浜を含めて三館の管理運営を行うだけではなく、各種のセミナーや講座などの自主事業も行っています。
協会の意思決定機関には、有識者や市民代表、行政関係者による理事会があり、行政関係者だけでなく、風通しの良い運営がなされているようです。

設立は、1987年(昭和62年・当時は、横浜市女性協会)。
その翌年に、この男女共同参画センター横浜(当時は、横浜女性フォーラム)が開館し、2005年に指定管理者制度により管理運営にあたっています。

市の外郭団体に運営を任せることは武蔵野市でも行われていることですが、参考になるのが、市の職員を出向させているのではなく、この分野で活躍されている人を中心スタッフとして協会で雇用し運営を任せていることです。しかも、給与は市の公務員と同じという待遇です。

ある中心スタッフの方に話を伺いましたが、よくぞ行政が声をかけたと驚いた、と話されていました。積極的な活動を行っており、行政にも厳しいことを言っていたことがその理由のようです。

外部からのスタッフを採用する場合、言うことを聞くような人を集めてしまいがちですが、事業の本来の目的に最も適した人をと探したのだと思います。給与面で差を付けてしまうことで、下請け機関、安上がり機関と行政も管理運営団体も潜在的に思い、結果的には、効果的な運営にならなくなると思います。

もちろん、経費削減はすべきですし、誰でもが公務員と同じ給料にすべきとは思いません。ちゃんと運営できる人、成果を出せる人であれば、相応の対価を払うべき。仕事内容、成果で給料に差が付けにくい公務員制度へのアンチテーゼになるのでは、と思うのです。

端的に言えば、行政ができないことを運営してもらうのですから、対等の関係であること。第二の市役所、市役所のライバルを行政自ら創り出すとの意識が必要ではないでしょうか。それが、運営の柔軟さとより効果的な運営につながるのだと思います。

(財)横浜市男女共同参画推進協会の財政規模は下記。

基本金 30,000,000円 (市が100%出資)
役員数 常勤2名(うち市派遣1名)、非常勤8名(うち市現職1名)
職員数 一般27名(うち市派遣1名)、嘱託26名

男女共同参画センター横浜への横浜市からの委託費は、年間約5億8600万円。補助金は、年約1億3600万円。

補助金以外の事業収入が年間約4200万円(17年度決算)、使用料収入が約4900万円(同)となっています。

【参考】横浜市行政運営課による(財)横浜市男女共同参画推進協会経営状況公開資料

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指定管理者制度とはいえ、「女性を取り巻く様々な問題を解決しようとする市民の主体的な活動を援助育成し、男女共同参画社会の実現に資する」とう目的であれば、大幅な事業収入は見込めません。
となれば、この事業に対していくらの事業費が適正なのか。行政の判断が必要になるはずです。行政がやるよりも安ければ良い、ではなく、この事業にはいくらが適正であり、より効率的、より成果を求めるために指定管理者制度を活用する、と意識を変える必要があるはずです。
男女共同参画センター横浜の会議室やホールの稼働率は約7割。市民活動支援という目的に対しては、一定の成果を上げているのですから。

武蔵野プレイスは指定管理者制度を導入する予定です。
しかし、市でやるよりも安くなる、との理由ばかりで、指定管理者制度によって、どうより良い成果が望めるのか。効率的になるのかがまったく見えていません。
事業収益が大幅に見込めない事業、特に無料が原則の図書館がメインとなるのですから、どのような姿になるのが良いのか、成果目標を考えていかないと、たんなる安上がり施設、運営でしかなくなり、結果として市民の福祉向上にはならないのではないでしょうか。

武蔵野プレイスの管理については、これから本格的に考えられていくのだと思います。武蔵野市の外郭団体には、この考え方を取り入れているように思える団体もあるのですから、どのようにすれば、良い運営になるのか。より良い運営に必要な費用はどの程度なのか。現在の図書館よりも安ければそれでいいのではなく、市民のためにいくら投資するべきかで考えていくべき、と思います。

写真:(上から)

・センターの外観
・一階の図書コーナー
・二階の生活工房(ワークスペース)
・子どもの部屋。託児もできる。