三鷹市の幼保一元化施設 「ちどりこども園」

文教委員会の視察で、三鷹市立「ちどりこども園」を訪れました。
ちどりこども園」の前身は、平成18年3月に閉園となった三鷹市立ちどり幼稚園。一年かけで改装し認可保育園に幼稚園機能を併せ持った幼保一元化施設として再スタートした施設です。

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0歳から2歳までの認可保育園への待機児解消が求められている。その一方で、3歳~5歳が対象となる幼稚園への園児が減少しているという大きな流れの中で、幼稚園と保育園を一元化した施設が注目されており、国も「認定こども園」という制度を作り推進しようとしています。

この流れのなかで三鷹市が、どのような施設にしたのか、興味があり視察させていただきました。

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「ちどりこども園」の主な保育内容は下記です。

○保育時間

・保育園児 7時30分~18時30分(延長保育18時30分~19時30分)

・幼稚園タイプ園児 9時~14時(預かり保育8時~9時、14時~17時

○保育料
・保育園児:認可保育園の基準で決定(収入などにより市が判断)。延長保育は別料金。

・幼稚園タイプ園児:基本時間保育料16,000円/月(給食費・活動教材費含む一律料金。保護者の所得に関係なし)。預かり保育は別料金。(入園料、園服代はなし)。

○クラス編成
1歳児:5人 (保育園児のみ)
2歳児:8人 (保育園児のみ)
3歳児:10人 (保育園児のみ)
4歳児:25人 (保育園児10人、幼稚園児15人)
5歳児:25人 (保育園児10人、幼稚園児15人)

保育は、保育園児、幼稚園児が一緒になり時間を過ごします。お昼寝の後に、お迎えがあり、幼稚園児が先に帰宅、保育園児もだんだんと帰宅するようになっています。

保育園と幼稚園では、カリキュラムが異なり、保育内容に支障がおきそうな気がしますが、子どもを育てることにはかわりがなく、大きな課題にはなっていないようです。

幼稚園が二年保育なのは、廃園した三鷹市立幼稚園で行われていた2年保育の幼児教育を継承するためなのだそうです。

武蔵野市では、市立境幼稚園を発展的解消をすると方向を出しながら、解消後をどうするか方針が決まっていません。同じ市立幼稚園として考えれば、「ちどりこども園」がヒントのひとつになるのではないでしょうか。

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■認定子ども園や幼保一元化施設には、課題があり批判の声があります。その最も大きな理由は、保育園では費用がかかりすぎるから、費用削減を目的に一元化施設としてしまうことです。職員の配置を少なくすることが多く、その象徴が給食室をなくしてしまうことです。

認可保育園の運営費に国から補助金が出ていましたが、現在は地方分権が理由となり、一般財源化されています。これは、自治体へ入る財源(お金)は、保育園を運営してもしなくても同じで自治体で判断できる(=地方分権)ことになり、保育園の経費削減ができることになります。
費用削減だけが目的になると、保育園だけでなく、幼稚園としての特徴も薄まる危険性もあります。経費削減は考える必要がありますが、子どもの成長にとって、良いのか悪いのかで判断すると、安上がりだけで考えては良くないはずです。

「ちどりこども園」は、結局は安上がりな子育て施設になっていないか不安があったのですが、給食室が残されており、不安は少なくなりました。

運営は、三鷹市社会福祉事業団が行っています。公務員ではないため、保育士の給料を下げ経費削減にはなっているようです。
もっとも、子育ては誰でもできるから安くて十分と考える人もいますし、人の一生も左右することにつながり、保護者や地域とも関わる必要もあるのだから、相当の給料は必要との考えもあります。果たしていくらが保育士の給料として適正か結論はありません。経費削減という前にいくらが適正なのかの議論も必要なはずです。市場原理では決まらないはずですから(私は後者の意見)。

三鷹市では、今後、同様の施設を作る計画があるのか担当の方に伺いましたが、現状では計画がないようそうです。

費用的なことを言えば、幼稚園を作るさいの補助金がなく、保育園部分の建設費への補助金しかないこと。運営費の補助金はないこと。認可保育園との位置づけなので、他の認可保育園と一律で「ちどりこども園」独自の保育料を設定できないことなどメリットがないことが理由のようです。

これらのことよりも、市立幼稚園で培った幼児教育を残すこと。小学校が隣接しているので、連携した地域での子育て施設とすること。保護者の就労によって園を変わることがないなど、一元化によるメリットがあることが存在理由のように思えました。

「ちどりこども園」は、スタートしたばかりで、子どもたちの成長に良いのかどうかは、分かりません。判断にはもう少し時間がかかるのでしょう。

幼稚園、保育園という既存の枠にとらわれず多様な保育環境が増えていくこと、経費削減だけが目的でなければ、基本的には歓迎したいと思います。その意味で、このような施設は興味深く、今後も注目していきたいと思います。

写真:上
園の入り口

中:園庭から園舎を望む。屋上には、隣接している小学校のプールがある。このように複合的に利用できるのも隣接しているメリット。

下:園舎の中。改装だが、新築したかのような内装だった。木のぬくもりを大切にしていた。和室のあった。