中高校生世代の居場所「CAPS」

エレベーターのドアが開かれると、そこには、外の世界とは一種異なる空間が広がっていた。内装はほどほど、廃退しかたかのような飾り気のない空間。秩序という言葉が似合わないように、子ども達があちらこちらに群れて、それぞれに自由に自分たちの好きなことを楽しむ。そんな空間が調布市の「青少年ステーションCAPS」でした。

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CAPSは、武蔵野市でも必要との声がある中高校生世代の居場所として作られたもの。場所は、スポーツクラブがあったビルを市が借り受け、二階を保育所、三階と四階を青少年の居場所としています(一階は駐輪場)。

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施設の構成は、バンド練習ができる「スタジオトレイン」。
壁一面に鏡がある「ダンストレイン」。
ガラス細工,シルバーアクセサリー,革工芸、衣装製作などができる「マイスタートレイン」。
サッカー、バスケット、バレーボール、スケードボードができる「アクティブトレイン」(屋外)。

これらがメインとなり、相談室や貸し出し用パソコンが用意されていました。

また、エレベーターのすぐ目の前はロビーとなっており、飲食可能で自由に使える空間ともなっていました。

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詳細は、CAPSのサイトをご参照していただくとして、ポイントだと思ったのは、大人立ち入り禁止の子どもの自由空間、大きな子ども部屋として、子どもと兄貴分、姉貴分のスタッフに自由な運営をさせていること。そして、それを許すことができる行政の度量が必要だということでした。

中高校生世代の居場所を、と考えると、そこは、大人に監視されている場ではなく、兄貴分、姉貴分と一緒の子どもが主人公の場とすべきなのだと思います。そうすることで、自分たちの場と思い、場にやって来ると思います。

居場所を作って“あげる”との感覚で、“大人”の理想を押しつけては、本当の居場所にはなりません。健全育成の場所だ、こうでなければならない、と押しつけてしまうことで、息苦しくなり本当の居場所にならないと思うのです。

居場所と思い、群れて溜まっていくことが世代間の縦の関係を作ることになり、さらには、地域のベースへとつながっていくのではないでしょうか。

もちろん、全てが自由というわけにはできないでしょうが、行政や大人は影からバックアップすることで、自分たちの場所として認識し、自由に使うためのルールも考えるようになるはずです。

CAPSは、NPO運営であることも特徴でしょう。
CAPSがスタートしたのは、平成15年4月。当初は市が運営していましたが、嘱託職員などでスタッフを雇用し、今年度からそのスタッフがNPOとなり運営を始めていたのです。

自由な発想で運営を続けるには、自由な裁量が必要です。よほどのスタッフ(職員)がいて、自由な運営を任せることができる行政となっていれば別ですが、ほとんどの場合、公設公営でとなると、事なかれの運営となりがちで運営が硬直化しがちです。

子どもの年齢に近いスタッフに運営を任せ、行政や大人は影になって支えていく。このような手法が中高校生世代の居場所を考える場合、重要になるのだと思います。

事業のスタート時は行政が大きく関わる必要がありますが、ある程度軌道にのれば、任せてしまう度量も必要です。武蔵野市でも同様でしょう。

とはいえ、CAPSスタッフの給料は、嘱託と変わらないようで、長年に渡ってスタッフとなって生活を続けるのは難しそうです。本来であれば、経験を積んだスタッフを生かせるような他の事業があれば良いのですが、調布市としては、そこまでは考えられていないとのことでした。運営を任されることで自主事業による収益が考えられますから、他の事業展開を自ら考えることが将来的な課題だと思います。

CAPSを利用できるのは、中高校生世代のみ。大人は立ち入り禁止です(視察はできます)。
調布市の税金で運営しているため、講座などでは市民優先というルールがありますが、実際にはこのルールを適用はしないで済んでいるそうです。
高校生ともなれば行動範囲は広く、市内限定にするわけにもいかないでしょう。本来ならこのような事業は市町村で行うのではなく、都道府県の仕事なのかもしれません。

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今回は、武蔵野市議会文教委員会の視察として訪れました。文教委員で視察について話し合っていたときに、近くで行きたいところがあるので行きませんか、と提案したところ、全委員が行きたいとなり実現しました。委員長の“特権”はこんなところにあるのかもしれません。

CAPSの雰囲気は、大きな子ども部屋との雰囲気。私もこのような場所に居たかいなと思いました。もっとも、大人には居酒屋という居場所があるから良いのかもしれませんが。

話はそれましたが、CAPSには、NPO職員としてのスタッフの他にCAPSを利用してたOBがボランティアスタッフとして関わっているそうです。利用者やOBによるイベント企画も行われています。居場所が、着実になってきているようでした。

写真:上から

・ロビー。自由な雰囲気となっている。“大人”には異様に見えるかも。
・「アクティブトレイン」の隣りにある自由スペース。飲食可能でおしゃべりを楽しめる。
・ロビーの片隅でダンスの練習。どこからか鏡を持ってきたのだそうで、いつの間にかこうなっていた。
・「マイスタートレイン」。材料を持ってくること。元通りに戻すことが条件で、道具を自由につかって好きなものが作れる。無料の講座もある。