インターネット中継は議会改革の切り札になるか

9月1日、2日にかけて「市民と議員の条例づくり交流会議2007」が開かれ、約270名の市民、議員、研究者の参加があり、まずは成功と言える会議となりました。

この会議で私が担当したのは、一日目の全体会二部と二日目の分科会、「インターネット中継は議会改革の切り札になるか」でした。

会議の報告は、いずれまとめて報告が出されると思いますが、分科会を担当して思ったのは、議会による情報提供の不足が、まだまだあるということでした。

jyourei


分科会は、インターネットの活用によって議会改革につながるのか、がテーマ。議会改革をしようにも議会が見えないことが大きな問題で「変えなきゃ!」と言っても実感できない。そのために、議会のインターネット生中継と録画(VOD。ビデオ・オン・デマンド)を行っている先例議会の報告と議論によってネット中継の手法や導入方法、成果を探ろうとの構成です。

先例事例は、武蔵野市議会と世田谷区議会、横浜市会。それに、資料だけとなってしまいましたが、大阪府議会、京都府議会、羽咋市議会。

これらの議会は、本会議だけではなく、委員会、もしくは特別委員会のVODを行っているからです。

この会議に先立ち、全国の議会にVODを行っているかを条例づくり会議事務局で調査したのですが、本会議のみ実施しているのが173議会。そのうち、特別委員会で実施している議会が23議会。さらに、常任委員会までは6議会しかないことが分かりました。

武蔵野市議会も含めて多くの議会も同じだと思いますが、本会議場よりも委員会のほうがより本質的な審議を行っており、議会の中身を分かってもらうには、委員会中継のほうが適していると思うからです。

そのため、委員会、もしくは、特別委員会を行っている議会の中の三議会からの報告となったのです。

分科会のなかで、もっとも注目されていたのが、導入費用でした。

先行している議会は、ほとんどが県か政令市レベルであり財政規模が異なる多くの市町村では、そう簡単にはできないのが理由です。

ちなみに、事前に調べていた導入経費は下記。

○武蔵野市議会
(本会議場と委員会室の二つの部屋からVODできるシステムを同時に導入)

・導入経費:中継機器のリース料(12ヶ月分)  2,274,300円
・経常経費:映像配信業務委託料(12ヶ月分)  4,452,000円 
                 (1,764,000+単価契約分)
・経常経費:中継機器保守委託料(12ヶ月分)  378,000円

合 計              7,104,300円
    (※平成19年度実施経費)

○羽咋市議会
・導入経費(消費税を除く数値)
 議会中継システム料金(60ヶ月分割) 2,823,000円(47,050円/月額)
・保守料金(ハード及びソフトウェア)   19,150円(月額)
  ※導入経費ついては、平成14年9月~平成19年8月の契約であり、9月からは保守料金のみとなる。

○世田谷区議会
・導入経費:システム構築・設備投資  約260万円くらい
・経常経費:機械のリース及び保守点検  年間230万円くらい

○大阪府議会
・導入費(委員会室施設改修等) 6,725千円(H18年度)
・中継費用(業者委託費)    5,862千円

費用については、その安定度や回線の“太さ”(同時アクセス数をどこまで考えるか。セキュリティなど)、デザインの仕様によって金額に差が出ること。そのため、これらを下げることで費用は下がることにつながります。
また、技術は常に変わっており、費用も下がっていますので、これらだけが参考になるとはならないでしょう。

議論のなかで、一自治体で行うのではなく、複数の自治体で同じ回線、サーバーを共有することで下げることが可能なことや同時発注による削減もできるはずだ、とのある業者からの提案があり、今後、導入を考えている議会には参考になるのでは、と思えました。

費用も大きな課題ですが、分科会の議論のなかで議会として考えておくべき、と思えるのが、中継を見る方、つまり、市民側からの発言でした。

それは、費用は課題であるのが分かるが、何よりも情報を提供すること、重要な議論を知らせることが選ばれた者としての議員の役目であり議会としての務めではないか。費用やアクセス数を気にするかもしれないが、情報は公開することが基本であり、ネット中継することは当然であるはずだ、との指摘です。

アクセス数と費用を気にしてしまいがちですが、確かにそう指摘されると、情報を公開する気があるのか、ないのかで判断するなら、公開するという姿勢が優先されるのではないでしょうか。

行政に隠しごとをするな、情報公開をすべきと追求するのであれば、議会自ら公開する必要があることになります。

そう考えると、費用は課題ではありますが、ネット中継は当たり前なことになるのだと思いました。

そこで、いくつかの議会を事前に調べて見たのですが、議会中継だけではなく、もっと公開すべき情報があることが分かりました。

例えば、議員の議案に対する賛否を公開していない議会も多いのです。審議日程や審議する予定の議案も事前に公開していない議会もあるからです。

そのほか、注目すべきと思ったのは下記。

・審議結果などを知らせるメルマガ。
 千代田区議会取手市議会(faxニュースもあり)。

・重要案件について、議会報号外を作成
 庄内町議会

・議案の公開日程(いつまでに公開する)を開会前から告知
 我孫子市議会

・委員会などでの行政資料もネットに掲載
 千代田区議会、中野区議会

・未確定原稿の掲載(議事録が出るのは、三ヶ月後となることが多く、それまでの未確定議事録を「速報版(PDFファイル)」として公開)
 千代田区議会

・子ども用議会ページがある。さらには、議会を知ってもらうクイズもある。
 静岡県議会

・年間の開催予定の掲載
 新宿区議会

・議長定例記者会見。毎月第一月曜日の10時30分から議長定例記者会見を実施。議会で何が審議されるかなどを録画配信している。
 三重県議会

・議員による対談番組を製作(ネットではない)
 京都府議会

これらは、武蔵野市議会でも参考になる例だと思います。

まだまだ、議会の情報公開は進んでいない。知らせようとしていない。やる気になれば、費用もかからず出来ることがたくさんあり、実施していくことで、議会が変わっていくのではないでしょうか。

武蔵野市議会でも取りみたいと思います。改革は、ネット中継だけじゃない、ということです。