子どもが主役の児童館「ばあん」

a3f9520b.jpg町田市の児童館、「ばあん」を視察してきました。長い間、児童館がなかったのが町田市ですが、1999年に第一号となる児童館「ばあん」を建設しています。特徴となるのが、施設を作るよりも先に子ども委員会を立ち上げ、どのような児童館がいいのか、使用方法も検討したことです。現在でも子ども委員会が運営に携わり、児童館と地域との協議会でも委員長は子どもなのです。

武蔵野市でも児童館が必要だとの声が出てきていますが、施設を作ればそれで良いのではないと私は思います。運営方法や子ども自身がどのように必要なのか、ニーズも含めてから施設を検討しないと、たんなるハコモノだけ作ってだけとなってしまいます。その意味では、町田市の例が良い参考になるのではないでしょうか。


児童館施設は、3階建て。建設費用は、工事費と備品購入費で約4億9千万。

1階は駐車場、機械室、職員更衣室。

2階は四部屋があり
・あとりえ(造形室・会議室)。材料を持参すれば料理や工作が楽しめる部屋。
・せとる(多目的室)。トランプや将棋、オセロ等で楽しめる部屋のほかテレビやグラビノーヴァが置いてあります。
・ちゃっと(乳幼児・読書・談話コーナー)。 乳幼児と保護者のスペース。

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3階は、ろふとと呼ばれるミニ体育館のようなプレイルームとスタジオが一室。テラスに登り棒や大型すべり台などが設置されています。
プレイルームでは、バトミントン、バスケットボール、卓球、映画会、コンサートなどで使用ができ、イベントがないときは自由に遊ぶことができます。
スタジオは、中高生のスペースで、事前に利用講習会を受けると利用可能。ミキサー、MD・CDデッキ、各種アンプ、ドラムセット、キーボード、ピアノなどが用意されていました。

館内を歩いてみると、すぐに目に入るのが案内文書が壁一面に掲示されていることです。イベントは多種多様で、「ばあん」が元気な児童館であることがよく分かります。

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その元気な大きな理由として考えられるのが、「ばぁん」には、設置前から続く子ども委員会があることだと思います。こども委員会では館内の利用方法も決めており、特徴的なのか館内での飲食がOKなことではないでしょうか。そのかわり、二階だけに限定したり、ガムはダメ、ゴミは持ち帰りなどとしていました。

この児童館の名前「ばあん」も子ども委員会が決めています。
Barn(納屋)=色々なものがつまっているところ。
Burn(燃える)=火がついて炎があがる。感情が高まる。君のハートにバーン! 心を射る。
Barn(スウェーデン語で子ども)
との意味が掛け合わされているのだそうです。

運営委員は、小学校4年生から高校3年生まで。イベント企画が主な議題なのだそうですが、問題を起こすような子どもをこのような委員会に入れて、一緒に話し合いをさせていくことで、子どもの考え方も変わっていく効果もあるそうです。
子ども委員会は、当然ながら、市の職員がバックアップをして実際の運用を行っていますが、大人からの視点で考えていないことで児童館の活性化につながっているように思います。壁一面の案内文書に象徴されるように児童館が元気なのは、子どもが企画に携われることで、いろいろな企画が生まれていったからではと思いました。

「ばあん」ではまた、地域や学校との連携も行われており「ばあんの会」が組織されています。その会の委員長は、子ども。あくまでも子どもが主役の児童館なのです。

「ばあん」が対象としているは、法律通りに0歳から18歳の児童。18歳と0歳とが一緒に遊ぶことでの危険が考えられますが、乳幼児専用のコーナーがあること。他の場所でも21時が閉館となっていることで、18時までが小学生がメインの時間。18時から21時までが中高校生の時間と大まかに分けられているため大きな問題にはなっていないそうです。

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■児童館があっても来館者が減少している例を聞きます。少子化や塾などで子どもが忙しいという理由もあるでしょうが、大人が考えたことを押し付けることによって子どもの興味が湧かないという理由も考えられるのだと思います。

子どもが何を必要としているのか、あるいは、必要なのかを考えること。商売で言えば、お客さんのニーズをリサーチしなければ成り立たないのと児童館も同じではないでしょうか。

また、「ばあん」の特徴に中高校生の来館が多いことがあります。
これは、子ども(中高校生に子どもというのも何ですが)自身が運営に携わること。子どもたちが企画したイベントが頻繁に開催されていることで子どもの興味を引き、自分たちの施設と思っているからではと思います。

その反面、中高校生が多く来館することで、中にはヤンチャな子ども来ることになり、近隣では怖いところのとの噂話が広まったこともあったそうです。そのようなうわさ話を聞くと、まず児童館に来てくださいと話している、との職員の方の話を伺いました。児童館のなかでは、そんな子たちも小さな子どもの面倒をみており、一緒に児童館で遊んでいる。見た目とは違うと職員の方は話されていたのです。

この事例で考えたは、大人の決めつけ、思い込みが、実はことの本質を見失っているのではないか、ということです。

武蔵野市では、児童館(青少年の居場所を含む)が必要だという声が議会も含めて聞かれるようになっています。
私も必要だと思いますが、施設を建設することだけを目的にするのではなく、子どもにとってどのようなことが必要なのか。子どもの意見をまず聞いてみるべきだと思います。
子どもの遊ぶ場所がない。中高校生に居場所が必要だ。だから、児童館を作ればいい、それだけでは意味がないのです。

初代の子ども委員会(高校生)のインタビュー記事を資料としていただいたのですが、そこには、「学校から帰った後にまた学校に行く気にはなれない」と書いてありました。

ばあんは「屋根のある公園」というイメージなのだそうです。そして、合い言葉は、「けがと弁当自分持ち」。

子どもの自主性を尊重すること。規制だらけでなく、子どもが自身が考えるようにすること。オトナが作ってやるとの意識をなくしていくことで、子どもが育っていく。子どもを育ててやるのではなく、子ども自身の育ちを支援していく。そんな施設としての児童館、あるいは青少年の居場所、学校ではない子どもの場所が武蔵野市には必要ではないでしょうか。

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写真(上から)
・ばあんの入り口
・ちゃっと
・案内チラシ
・中高校生が企画しているライブの案内
・飲食についての説明