公職選挙法の不思議

ある知り合いのメールにこう書かれていました。
「この度の選挙で当選し、引き続き重責を担い続けることになりました。公職選挙法上、当選御礼を述べられませんので、事実の報告をさせていただくだけとなります」

選挙で当選したことに対して、法律で規制されているためお礼を言えないのが、このよく分からない文になっているのだと思います。当選したのだから、礼ぐらい言ったらどうか、と言われるときがありますが、言ってはならないことになっているのです。


公職選挙法第152条には、『あいさつ(年賀、寒中見舞、暑中見舞その他これらに類するもののためにするあいさつ及び慶弔、激励、感謝その他これらに類するもののためにするあいさつ~』とあり、この年賀状でさえ出すことができません(自筆のよる答礼はできる)。

このため、選挙事務所などに張られることがある「当選御礼」や選挙期間中に演説会ポスター(事前ポスターと言われており、候補者と他の人とのツーショット、もしくは、スリーショット)を貼っておくことは違反です。
ですが、剥がし忘れたのならともかく、わざと張りっぱなしにしていると思われるようなポスターも見かけました。これらは、本来であれば違反ですが、多くは注意が選挙管理委員会から来るだけで、当選が無効になるとかにはなりません。つまり、違反だけどやった者勝ち的な面があるのです。

選挙や政治活動には、どこからどこまでが良いか、が明確ではありません。そのため、中間のグレーゾーンがあります。違反でなければ良いと考えて、いろいろな手法があみ出されてもいます。よく言われることですが、違反との間の塀の上を塀の中に落ちないように歩くのが良い選挙、なのです。

この他にも、書いてはならないはずなのに「選挙に立候補します」などの一文を載せたチラシを選挙前に配布していたり、選挙期間中になっても候補者名が入ったチラシ(市政レポートなど)を配布している候補者のスタッフもいました。
事前も期間中も個別訪問は禁止されていますが、ポスターを貼ってくださいなどの他の名目で訪れて、よろしくお願いします、と言いながら投票へとつなげていくことも当たり前です。

公職選挙法は複雑怪奇で、地方によっても解釈が違いますしローカル・ルールもあるようです。私も分からないことが多く、人に聞くこともありまし、知らなかったこともありました。摘発する方も、対象の人数が多すぎて手が回らない現実もあるのでしょう。やった者勝ちではなく、正々堂々とした選挙にならないのか(例えばマニフェスト型、公開討論など)と思いますが、これからはどうなるのでしょうか。現実が良いのでしょうか。

選挙をしていると、どこまで真面目にやるのか、濃いグレーをやるのか、塀の中に少しぐらい落ちてもいいやとするのか問われることが多々あります。真面目にやっているほうがばからしくならないような選挙にしていく必要があるとも思った今回の選挙でした。

挨拶をしなさい、と言われたことから思った雑文でした。