成蹊大学情報図書館

d376b6bf.jpg子どもの頃、創造したような近未来的な街並み。そんな光景が見られたのが、06年9月に誕生した成蹊大学の図書館でした。100周年を迎える大学のシンボルと考えたそうで、使い勝手よりも先進性や印象深さを全面に出した図書館だと思いました。斬新な発想イメージを実体化していることには驚かされました。空間を贅沢にとっており、それこそ“ブラウジング”ができるのかもしれません。公共図書館とはそもそもの発想が違うと思いますが、参考になる点もあると思いました。


成蹊大学情報図書館は、開架式の図書50万冊と72万冊の収蔵能力のある地下書庫を持っています。地下書庫がいっぱいになってはいないようですが、この所蔵可能数で見てみると、武蔵野市の中央図書館が平成15年度で約38万4000冊の蔵書数ですから、武蔵野市で最も蔵書数の多い図書館となります(アジア大学は約61万冊)。

建築面積  2,197平米
延床面積 11,956平米
 (小数点以下四捨五入)
最大蔵書数 122万冊

これに対して、JR中央線武蔵境駅南口で構想されている武蔵野プレイス(仮称)の基本設計段階での面積は

建築面積 1,660平米
延床面積 10,275平米
想定蔵書数 10万冊

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武蔵野プレイスは、他の機能との複合施設であり図書館だけでないので蔵書数を単純に比較できませんが、延べ床面積が1割強広いだけで蔵書数が約12倍となります。しかも、写真を見ていただければ分かりますが、中央部分は空中に浮いているキノコのようなプラネットと呼ばれるミーティング・ルームがあり、渡り廊下を除けばあとは空間がほとんどという設計なのです。

内部を見させていただきましたが、各階の両袖部分にあたる箇所が開架式の蔵書スペースとなっており、通路部分は車椅子が通れる程度の幅で必要最低限度に狭くし本もぎっしりと詰められていました。この蔵書スペースの周辺には、閲覧スペースを設けているというレイアウトです。
閲覧室には、倉庫の中をくぐり抜けて到達するような感覚ですが個室となっていますが、隣りとは透明のガラスで仕切られており、窓も大きく取っているので窮屈さはありませんでした。全ての部屋にはLAN端子と電源があります、調べものや勉強にはいい環境に思えます。

つまり、これだけの蔵書数を可能としたのは、本を凝縮するような形で一部分に集中的に所蔵することで、オープンスペースを作り出していることになります。
公共図書館の場合、セキュリティを確保するためにフロアを見通せるように書棚の感覚を広くとることや背を高くしないようなレイアウトにすることが多く、このようにぎっちりと本を収蔵することは出来ないとは思いますが、ある程度、メリハリを付けてレイアウトするころでオープンスペースを作りさせるように思いました。

以前視察した浦安図書館では、良く読まれる書籍は、オープンスペースの多い場所に置き(野球でいう一軍)、読まれる機会が少ない書籍は(二軍)、フロアの奥に配置し本棚が林立するようなレイアウトになっていました。セキュリティについては、この書棚の背を金属製の網にすることで見通しを確保して対策していたことを思い出しました。

さらに読まれる機会が少ない書籍は(三軍)、地下の書庫に入れておきリクエストがあれば取り出すシステムとしており、規模は違うかもしれませんが、所蔵にメリハリを付けていたのです。

武蔵野プレイスや今後の図書館レイアウトでもこのようなメリハリが行かせるのでは、と思いました。

また、エレベーターを建物の端に配置するのではなく、中央に近いところに配置することで見た目の斬新さだけでなくハンデを持った方々でも気軽に使えるのではと思えました。エレベーターから書棚などへの距離を短くするメリットもあると思います。

成蹊大学情報図書館は、少子化へ向かう今後を見越して、大学のアピールとしても考えて斬新的にしたのだそうです。地下書庫は、端末を操作するだけで機械によって本を収納し取り出せるようにと自動化されていました。このような技術は、先の図書館展でも多数の企業がシステムを展示していましたので、人件費削減や効率化の意味もあり普及していくと思います。
単純労働的な作業は機械に任せるとして、どのようなビジョンで図書館を運営していくのか。誰が運営するのか。武蔵野市としても早急に決めるべきです。

成蹊大学情報図書館の建設費やランニングコストについては、“企業秘密”だそうで公表できる数字はありません。しかし、細部を見てみるとコストダウンされている箇所もありましたので、そう巨額ではないのかもしれません。

写真上 入り口から見た図書館内。キノコのようなプラネットは、ミーティングスペースとなっており渡り廊下でつながっている

写真下 (左上から時計回りで)
・図書館外観。この中にプラネットなどがある。
・地下フロア。多少の話しできるようになっているスペース。パソコンが置いていないデスクにもLAN端子と電源が用意されておりパソコン利用が前提となっている。パソコンがこれだけ配置されていることは公共図書館でも必要だ。
・内側を眺める。右側が入り口の受付。ここで利用の手続きを行う。各フロアにはレファレンスデスクもある。中央部がエレベーター。
・書棚の裏側は構造を支える壁となっているムダのない設計となっている
・個室閲覧室。LAN端子、電源を備えている。車椅子対応の室もある。
・書棚の奥に個室閲覧室がある。このほかに、AV資料を見るためにパソコンを設置したスペースなどもある。