教育基本法改正に思う

自民党の総裁に安倍さんがなり首相となります。新聞によれば、教育基本法の改正を最優先させたい、としています。
教育には課題が多いと思っていますし、どうすれば良くなるのか議論はすべきでしょう。

先日、「教育基本法「改正」を問う」などの著者、大内裕和松山大学人文学部助教授の話を伺う機会がありました。松内さんは、与党案は国家のための教育に改正しようとしているのではないか。教育基本法は教育の憲法。政府与党の改正案は、そもそも憲法自体を分かっていないのでは。このままでは、家庭や地域にまで愛国心を強制するようになってしまう、と話されていました。



大内さんの話を伺ったのは、9月11日に開かれた「むさしの憲法市民フォーラム」の講演会とその後の懇親会の席上でした。

大内さんが指摘していたのは、そもそも憲法とは公権力、政治権力を縛るもの。個人の尊厳を損なう危険性があるから憲法で縛っている。愛国心が問題ではなく、個人のあり方を与党案は決めるから問題だ、としていました。

具体的な指摘としては、

第1条の目的では、個人の価値をたっとび、がない。自主的な精神もなくなっている。国家にとって必要な人材になることが人格の完成となってしまう。個人が主体ではない。

第2条の目標では、内容が道徳の指導要綱にそっくり。道徳は正式な教科ではないので成績評価の対象ではないが、改正となると教育の目標が道徳になってしまう。すべてが国を愛するための授業になってしまう。音楽もそうだ。

第3条の教育の機会均等には、「能力に応じた」とあり現行の「応ずる教育」と変わっている。必要な人により多く機会を提供するのが「応ずる」の意味。「応じた」とは能力に応じた教育となり、高い人には高く、そうではない人にはなくなってしまう。格差増長になるのでは。能力間格差をなくす、機会均等が義務教育ではないのか。

これを考えていくと、階層化が進むことになり富裕層による支配者層と支配される側になってしまう危険性がある。

10条や13条には、家庭、地域のあり方までも書かれ、責任を持つ、努めると書かれている。権利を守るのではない。憲法違反ではないか。生活習慣も入っている。これでは朝寝坊すると家庭教育が悪いと親が処分されることになるのでは。 

などなどいろいろな疑問を話されてしまいました。

自民党のサイトには「教育基本法改正Q&A」があり「教育基本法改正により、教育はどのように変わるのですか」との返答に「教職員団体による教育の「不当な支配」の排除」と書かれており、教育がおかしくなったのは教職員組合が犯人。教育はこうすれば良くなるのではなく、悪いヤツを追い出して国が求める人材を生み出すのが教育だ、と思えてしまいます。
何よりも改正する一番の理由が「教育基本法の改正は、憲法改正と並んで自民党の結党(昭和30年)以来の悲願でした」と書かれており、国民のためではなく自民党のためであるようです。

また、政府に「教育振興基本計画」の策定を義務づけしていますから、政治が教育へ介入することになるのかもしれません。

条文だけでは何を狙いとしているのか、現状では明確ではありません。今後の国会審議で明らかになるのだと思います。国会に注目すべきです。改正をしなくてはならないほど今の教育基本法で困っていることがあるのか、何なのかも考えるべきです。

今ひとつなじみが薄い教育基本法を今この時点で考えてみるべきでしょう。注意していないと、国民が知らないうちに改正されるかもしれません。改正されてびっくりではなく、改正をするのなら国民が納得できるように審議をするべきです。いたずらに教育をいじり、現場が混乱してしまえば困るのは子どもであり、日本の将来なのですから。

それと、これらは大内さんの意見です。いろいろな人の意見ももっと聞いていこうと私は思っています。しかし現状では、憲法のあり方も含めて、教育基本法の改正は、日本の姿を大きく変えてしまうように思えてなりません。改正まですべきなのか。理由も分かりません。改正は何を目指しているのでしょうか。

自民党の改正案に対抗する民主党案にも疑問があります。
こちらは後日。

【参考】

教育基本法

教育基本法(Wikipedia)

教育基本法資料室-文部科学省

自由民主党 教育基本法Q&A

教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会

教育基本法「改正」情報センター

大内裕和さんの著作(アマゾン)

教育のススメ 教育基本法民主党改正案解説