米飯給食で非行が0に!?

週五日、全てご飯にして給食を改善。さらに栄養士による授業を行ったところ、教師や子ども同士の暴力事件がなくなり貧血で倒れる子どもが少なくなった。さらには学力もあがった…。
ホントかな、と思ってしまいますが、実例としてあるのです。この完全米飯給食を導入した長野県真田町(現在は上田市)教育長、大塚貢さんの話を伺ってきました。


大塚さんは、1992年にある生徒数1100人の中学校に校長として赴任。ところが、その学校はいわゆる“荒れた”学校だった。授業妨害は日常的。校舎内をオートバイで走る生徒がいたり友達とケンカすると刺してしまう。不登校は60人もいる。集会では貧血で倒れる生徒が多く、授業に集中できない。生徒が転べば骨折という状況に愕然としたという。

荒れている状況だから学力は低い。先生の指導力の低さも原因のひとつだが、子どもが無気力だから上手な先生でも授業がうまく行かないことも多かった。

そこで原因を確かめていくと食にあったのだそうです。

まず、朝食を食べていない生徒が多い。ひどいときには四割弱の生徒が食べていない。食べたとしてもパンにソーセージだけという内容だった。運動会など集会のある朝にコンビニの前に立ち調べてみると、朝食や昼食をコンビニ弁当にしている子どものほとんどが問題を起こしていることも分かってきました。

コンビニ弁当は手軽ですが、そこには、親子の関係が薄くなります。お金でつながっているだけではないか。空腹を満たせばそれで良い。何を作ってくれるのかの期待が子どもにないから親を殺してしまう事件になってしまうのかもしれない、と話されていました。

これらのことから育ち盛りで栄養が必要なのに満足に取れてない。だから、空腹になりいらつき授業に集中できない。暴力に走る、ということが分かったのだそうです。

そこで、食生活を改善することが必要と考えました。改善と言っても学校でできることは限られていますから、給食の改善に取り組みます。バランスの取れた食事を親に呼びかけても感心がない親が多い。非行をしている子どもの親ほど無関心。親のせいにするのではなく、学校でできることは何かと考えて実施したと話されていました。

改善の基本は、美味しいこと。育ち盛りの子どもためにボリュームも増やす。野菜を増やし青魚も出す。栄養バランスを考えると和食になり米飯にするのが最も良いとなります。校長から真田町の教育長へと就任すると町内全ての小中学校の給食を完全米飯へと変えていったのだそうです。

米飯に変えることへの抵抗もありました。パンのほうが手軽だという現場の声。給食費を払っているのだから、教育長が決めるのはおかしい。子どもが好きなものを食べさせたという親の反発。しかし、信念を変えることはなく米飯を進め、さらに栄養価の高い発芽玄米を10%ほど交ぜた完全米飯と変えてしまいました。

給食の改善は、ご飯に変えるだけではありません。食材を調べていくと産地が分からない食材が多く農薬も多い。そこで、無農薬、低農薬の食材にしようと考え、地元の農家に給食用に生産して欲しいと頼んで歩いたのだそうです。地産地消にもつながっていきます。

その結果、04年以降真田町では非行で補導される子どもが0に。学力テストでも全国平均を上回るほどになっています。

大塚さんの改善は、給食だけではありません。授業を公開し教師同士で評価しあうなどで授業の質を上げること。学校で花の栽培をおこない命を大切にする心も育てたのだそうです。

しかし、最も重要だったのが給食であり食の改善だと話されていました。栄養士に授業をさせて食の大切さを教える。給食の試食会を行い親へご飯の良さを理解させる。今で言う栄養教諭と同じことも取り組みました。

大塚さんは「子どもも家庭も先生も選べないのが公立学校。そこで何ができるのかを考えるが改革。給食を改善したことでアトピー、中性脂肪過多、コレステロール過多の子どもがなくなった。貧血もない。子どものうちからやっていけば、将来の医療費が少なくなるかもしれない。公立で学力をつけることが出来ることは、お金がかからないこと。もう一人子どもをと考えれば少子化対策になるのかもしれない」と話されていました。
給食から日本の今の姿が見えてくるように思えました。

そして、最も印象に残ったのは、

「食べたいものではなく、食べさせたいものを食べさせる」

という信念の言葉でした。 

◆秋葉原の食育レストラン

 大塚さんの話を伺ったのは、秋葉原に新しくできた先進複合型オフィスビル、UDXにあるレストラン「東京フードシアター 5+1」のイベントでした。
秋葉原のレストランというと食育とかけ離れているような印象がありますが、マネージャーの話を伺うと、食を考えていくと食材にたどり着く。原産地が分からず農薬や遺伝子組み換え食品の問題に気が付いた。レストランとして肝心なことを忘れていた、と食材にこだわる必要性を認識したことから大塚さんを呼び話を聞くイベントを実施したと話されていました。

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写真は、「東京フードシアター 5+1」のシェフが給食と同じ栄養価、同じ食材費250円で考えたメニューです。販売するとなれば1000円程度とか。学校給食と値段はさほど変わりません。同レストランを経営している(株)新産業文化創出研究所は、異業種、産学連携のビジネスモデルを研究し事業家を行っているのだそうで学校給食も研究している、と話されていました。