障害者就労支援センターと高齢者の居場所

障がいを持った人たちの一般就労を拡大するために、就労と生活を支援するための障害者就労支援センターが平成18年10月から設置されることになりました。このセンターは、福祉総合計画にも記載されていますので、期待されているシステムだと思っていました。しかし、場所をどうするのかが課題だったと思います。

8月23日の厚生委員会での行政報告では、民間委譲されることになった東京都武蔵野福祉作業所(旧図書館近く)に社会福祉法人武蔵野が応募したところ、他に応募がないことからおそらく委譲されることになり、この施設の三階に設置したいとしていました。

センターの設置は歓迎しますが、民間委譲で高齢者の居場所がなくなったことにも注目すべきです。


障害者就労支援センターは、武蔵野市、社会福祉法人武蔵野、社会福祉法人千川福祉会、NPO法人MEWから1名ずつ職員を派遣し、身体、知的、精神の分野で実績のある団体と市が対等の立場で就労と生活を支援にあたります。実施主体は市ですが、事業運営は上記の三団体に委託。就労先の開拓も含まれ、さらに、就労した後にスキルアップを計りたいときには他の就労先を紹介し一般就労を目指すことになっています。総合的に支援できるシステムがなかったことを考えれば、画期的なことだと思います。

東京都武蔵野福祉作業所は都の施設ですが、土地は武蔵野市の所有です。社会福祉法人武蔵野という武蔵野市と関係の深い団体が委譲されることが決まれば、最も良いことだと思います。委譲が決まるまでは、障害者総合センターで仮事務所を設置。委譲が正式に決まれば、19年7月から東京都武蔵野福祉作業所の三階に事務所を移す予定です。

しかし、この裏側で居場所がなくなる高齢者もいます。

東京都が民間委譲することにした東京都武蔵野福祉作業所は、1,2階が障がい者の就労場所ですが、三階には高齢者の福祉作業所があります。ここへ通っている人に伺うと「賃金が目的ではなく、このコミュニティの居心地の良さが魅力。居場所になっている。この場所がなくなれば、介護保険のお世話になってしまうかもしれない」としていたのです。

実際の賃金は茶菓子代程度で、たまに来る孫に何か贈れる程度だそうです。それよりも、この作業所は手先を使う仕事が多いことや仲間との会話が“介護予防”になっているのかもしれません。

1,2階の障害者作業所はそのまま市に受け継がれますが、「障害者」ではない高齢者作業所はなくなってしまいます。市としては、シルバー人材センターを紹介するとしていましたが、仕事が目的ではないという高齢者にはあまり意味がないのかもしれません。それに、ここは都の施設のなので市外の高齢者がほとんどなのです。

厚生委員会では、この高齢者作業所のノウハウを生かすことは考えられないかとの質問がありましたが、市は何のことか分かっていないようでした。市外の人のことを武蔵野市が考えることはできないのは分かりますが、高齢者の居場所、“介護予防”との意味で考えると、なぜこの場所を気に入っているのか、どのようにすれば人がやってくるようになるのかノウハウがあるはずです。委譲されたからそれで満足ではなく、裏側にある高齢者の生活や施設のノウハウも注目すべきではと思いました。施設があればそれでいいのではないのです。