浦安図書館 これからの図書館を考える目標

3ec03da2.jpg浦安市中央図書館に視察に行ってきました。
貸し出し数が全国トップレベルでもあり、前館長による著書『浦安図書館にできること』(勁草書房 )を最近読んだこともあり、現場をみたいと訪れてみました。

図書館は何のためにあるのか。これからの図書館は何をすべきかなど公共図書館のあり方について、学ぶべきことが数多くありました。武蔵野プレイス(仮称)のこれからを考える上でも参考になる図書館だと思います。


詳細は別の機会にしたいと思いますが、説明にあたってくださった現館長の「地域に何が奉仕できるか。職員には現場を歩かせている」との言葉が印象的でした。

浦安市には、中央図書館の他に中学校区にひとつの割合で6つの分館があります。
公民館に併設されており蔵書数は各5万冊と大きな図書館ではありませんが、地域を歩いたことから地域特性に合わせた蔵書にしているのだそうです。
ビジネスで言えば、地域に合わせたマーケティングを行っているのだと思います。
また、小さな図書館だからこそ、訪れる人を覚え、その人の相談にのり本を紹介していくことも行っているのだそうです。

中央図書館はいわば総合病院で分館は地域の開業医。普段は分館に訪れて、細かな調べものなどより深い情報が必要は場合には中央図書館を使うとの役割が分けられていました。

中央図書館のレイアウトも見させていただきましたが、オーソドックスに徹し、際だったことはしていない。そのほうが飽きが来ないし長く使えるとの話でした。
本の配置は、利用数の多い購入してから5年以内の新書や雑誌を入り口近くに置き、空間を多めに取り余裕のあるスペースにしています。
この奥に「二軍」と呼ばれる少々古くなった書籍を隙間が少ないと思えるほど固めて配置。さらに、貸し出し数が少ない書籍は、地下の閉架式書庫に移しリクエストに応じて取り出すようにしています。
書籍の使い方によって、レイアウトを考えていました。

また、今年度から図書館の中央部分にカフェがオープンしお茶を飲みながら本を読むこともできるようになっています。

浦安中央図書館で一番の驚きは、レファレンスが充実していることでした。
文学ではなく、各種の資料を集中的に配置し研究やビジネスに使えるようにしているのです。図書館を揶揄して「一部の本好き相手の暇つぶしの場所」と言われてしまうことがありますが、資料を提供し市民を支援していくこのようなシステムがあれば役に立つ図書館となり必要度が高くなっているのだと思います。

自治体の財政が厳しくなり図書館費用は削減されることが多いのですが、浦安ではこのような支援を行っていることもあり費用削減の槍玉にはあたっていないのだそうです。
浦安市の図書購入費は、年間約1億円を続けてきており、これは千葉県の図書購入費を上回る額なのだそうです。

もうひとつの驚きは、図書館職員が全員、司書資格を持ち専門職として働いていることです。
レファレンスは、いろいろな本や資料を紹介する業務ですから、本に精通しているだけではなく社会問題などにも詳しくなければなりません。本の貸し出しや整理だけではなく、スキルが問われことになるために専門職が必要だとの認識なのだと思います。いわば、市民への政策秘書的な役割をも果たしているように思えました。

専門職ばかりですと人事が硬直化すること。公務員として他の行政分野で知っておくべきことを得られないとの弊害もあると思いますが、図書館がどうあるべきかを考える上で専門職を配置することは大きな意味を持つのだと思います。

レファレンスだけではありませんが、館内にはいくつかのカウンターが配置され、かならず職員がいるように考えられていました。
これは本の相談業務のためであり、利用しやすくするための考え方なのだそうです。本の貸し出しは、入館してすぐのカウンターで行うようにしてあり、どのカウンターで何の作業をするのかなどいろいろな業務を一カ所で行うことはせずにシステムとして考えられていました。

日本の図書館統統2005年版(図書館協会発行)で武蔵野市と浦安市を比較してみます。
予算規模などを見るとほぼ同じ市勢状況ですが、図書館を浦安市が重要視していることが伺われます。

武蔵野市  浦安市

・人口   131.000人    145.000人

・図書館数   3 7 (自動車図書館が別に1)

・専任職員数 35人 38人
うち司書数  18人 38人
 非常勤
 嘱託職員数  39人 45人

・蔵書数 594.000冊 999.000冊

・個人貸出数 1568000冊 1824000冊

・図書購入費  71.623.00円0 98.700.000円
 (2005年予算)

・一般会計予算 548億円 556億1000万円
 (2004年度当初)

浦安市には後塵を拝していますが、武蔵野市の図書館が決して劣っているのではありません。
三多摩地域で比較すれば、図書購入費は、八王子、町田、調布についで4位。個人貸出数は、町田、八王子についで3位という状況です。

武蔵野プレイスができ、図書館機能が充実していけば、三多摩でもトップレベルになるでしょうし、浦安市に追いつけるかもしれません。
しかし、そのときに求められているのは、蔵書数や貸し出し数という数値だけでなく、どのように市民を支援し市民ために役立てる図書館にしていくかの戦略だと思います。

財政難から公共公共図書館の存在意義が問われるています。武蔵野プレイスという「図書館機能を中心とした新公共施設」の検討が進められていくのですから、武蔵野市の図書館がどうあるべきか。費用を注ぎ込むだけではなく、どう戦略をたてて、どう費用を効果的に生かすのかが求められると思います。

浦安中央図書館にあるような市民を支援していくレファレンス機能がこれからの図書館には重要だと私は考えています。
武蔵野プレイスで想定されている機能には、市民活動の支援、青少年への対応、ビジネス支援がありますが、こらもレファレンスのひとつなのではないでしょうか。

□写真(左上から時計回りで)
 浦安中央図書館入り口
 レファレンス室
 張り紙。ところかまわず張るではなく、場所が決められている。図書館のデザインを考えると、このような配慮が必要、せっかくのデザインをだいなししている図書館が多い。
 二軍の本棚
 カフェ