学童と全児童の一体化? なんだかよく分からない「放課後子どもプラン」

共同通信は、小坂憲次文部科学相が9日の閣議後記者会見で、小学校の空き教室などを活用、ボランティアの地域住民らの協力を得て、放課後に地域の児童らが安心して過ごせる場所をつくるため「放課後子どもプラン」を厚生労働省と連携して取り組むと発表した、と報道しています。

対象は基本的に小学生、市町村の教育委員会が主体で実施。地域住民のほか、自治体の福祉部局の職員、教職を目指す大学生、退職教員らを活用。地域に応じた体験学習や交流事業を展開する、としています。

子どもの居場所や生活を保障していくことは必要ですし、多くの自治体で待機児が問題となっている学童保育(クラブ)を応援していく新たな事業ならば歓迎ですが、今のままではどうしたいのかよく分かりません。

注意しないと安上がりな事業をとりあえずやりました。結局は子どもが被害者になる危険があるように思います。
東京都も学童クラブについて新たなガイドラインを作成中です。
具体的な内容はまだ分からないので、何とも言いようがありませんが、分かっていることをまずまとめてみました。


小学生の放課後を対象とした事業は、現在、文科省が学校の空き教室などを開放して地域住民らがお手玉やめんこといった昔の遊びなどを教える「地域子ども教室推進事業」を16年度から実施しています。
厚労省は、昼間に保護者がいない児童に遊びや生活の場を与える「学童保育」を実施。
さらに、全ての児童の遊び場を提供する事業としての全児童対策事業、武蔵野市で言えば、地域子ども館あそべぇを実施している自治体もあります。
児童館事業もひとつの放課後事業になるのかもしれません。

5月10日付け産経新聞 
文科・厚労省 放課後事業を一元化 教員OB活用、無料補習も
によれば、こうした事業が主に小学校内で行われ、重複が多いことから、一元化や連携を進めることを考えたようです。
各市町村教育委員会が主導し厚労省管轄の福祉部局とも協力、小学校の校長や教頭が協議会などの運営組織に参画し、指導役には退職教員、教職志望の大学生やボランティアらをあてる、としています。
さらに、文科省は経済的理由などで塾に通える子供と通えない子供の格差を是正しようと、教員OBを中心とした無料補習を行う方針を固めており、同プランの中で実施していく、としています。

これらの報道を見る限りでは、いろいろある事業を一体化。省庁の縦割りの弊害をなくし教育委員会主導で実施することで効率化を目指しているように思えます。
確かに効率化は必要ですが、それぞれの目的をどのように考えているのか、どう反映させていくのかが明確ではありません。

これまで、増え続ける待機児対策と経費削減のために品川区や横浜市、川崎市などでは学童保育と全児童対策事業を一体化してきました。
より多くの子どもが対象となることは良いとは思いますが、その反面で子どもが頭蓋骨骨折しても気が付かなかったという痛ましい事故が起きています。

現場の指導員の声を聞くと、とても一人ひとりの子どもまで目が行き届かず、事故がないように見守るだけとの声を多く聞きます。効率的に、あるいは経費削減だけに目を奪われて肝心の子どもを守れない、豊かに成長させることができないようでは意味がないと私は思っています。
安易な一体化では、子どもが一番の被害者になってしまいますし、子どもを育てることにつながりません。

両省の担当者の話を整理していくと、
今回の報道の元になったのは、猪口少子化男女共同参画担当大臣から川崎厚生労働大臣と小坂文部科学大臣に少子化対策と総合的な放課後対策のために、「放課後子どもプラン」を創設して放課後児童クラブと地域子ども教室推進事業を一体的、もしくは連携して実施してはどうかとの提案があり両大臣が合意したことで始まった。
トップは合意したものの両省の担当者レベルではどうするかはまだ決まっていない。
が実情のようです。

各地で問題となっている学童保育と全児童の一体化を国レベルで決めたのではなく、学童保育と「地域子ども教室推進事業」の連携をしてはどうか、との提案レベルの話のようです。

しかし、今後はどうなるか分かりません。
具体的な連携方策、予算、推進体制等については、平成19年度概算要求時(今年の8月頃)までに両省で検討していく、としています。

予算措置を求めるのであれば、事業内容や実施するにあたってのガイドラインなども明らかになってくるでしょう。

少子化対策は必要で国も動き出しているのは評価できますが、肝心の中身や目的をハッキリさせて、たんなる安上がり、やりましたという証拠だけのような事業にならないよう注目していくべきです。

【参考】
文部科学省 子どもの居場所づくり