武蔵野プレイスvs21世紀美術館

6918ee36.jpg2月1日に総務委員会の視察で金沢市立21世紀美術館を訪れました。

古都に現代美術では合わないかと思いますが、展示内容などが非常に面白く時間を忘れるほどでした。
この美術館では、建設にあたって十分な時間をかけたことが幸いしている、との話を説明にあたった担当者から伺いました。時間をかけることで市民の愛着が増すようになったのだそうです。武蔵境駅南口に建設予定の(仮称)武蔵野プレイスを見直すかどうかが今後の市政の大きな争点となるでしょう。急いで結論付ける必要はないな、とこの美術館を見て思いました。


21世紀美術館は、金沢大学の小中学校移転にともない金沢市が購入した土地に建設されています。市役所の隣で市の中心地にあり兼六園などの観光地にも近いなど恵まれた場所にあります。土地代、建設費で約200億円にもなり、美術館が必要なのか、城下町に現代アートでいいのかなどの議論もあった。
しかし、中心市街地の活性化としても必要。金沢は歴代藩主が文化に力を入れていた街。その時々の文化は常に現代アートであり、いつしか伝統文化になるとの強い意志で建設に踏み切ったと説明されました。

結果として、毎年157万人もの人が訪れる人気の施設となり市街地の活性化など経済効果をもたらしています。
市街地にあることで歩いてい来れること。一人よりもカップル、家族で訪れる人が多いので、より経済効果が高くなっています。

実際の建物を見て感じたのは、地上一階(地下は一階)であることから訪れる人への圧迫感がないことでした。
出入り口を四箇所設けたことで入館しやすくなっており館内に自由通路が多数あること。自由通路も白色で統一され現代アートを感じさせる設計。自由通路にもいくつかのアートを展示。有料スペースを覗けるような仕掛けもあり、ちょっと寄り道して訪れたくなるように設計されていました。

また、有料スペースは18時で閉館しますが、自由通路やカフェは22時までオープンしており、ここを目的に訪れる人も多いのだそうです。
カフェに入ってみましたが、デザインに凝っており外の園庭を眺めることが出来るなど、このカフェだけを目的に来ても良いと思えたほどです。カップルが多くクリスマスには盛況だったとの話も聞きました。

21世紀美術館については、実際に訪れていただくか、公式サイトで内容をご確認ください。

美術館の説明で一番興味深かったのは、早急に作らず時間をかけたことで市民に愛着が沸いたということです。

通常、このような施設の建設には4年間でできるとのこと。
21世紀美術館の場合は、
95年 石川県と金沢市が共同で都心地区整備構想検討委員会を設置。
96年 美術館建設準備事務局設置。
同年 委員10名による美術館等構想懇話会を設置し美術館等構想市民フォーラムを開催。
97年 専門アドバイザー(17名)及び総合アドバイザー(4人)を委嘱。
98年 市民フォーラム開催
99年 設計者を決定し基本設計
00年 実施設計
02年 起工
04年 オープン

との流れになっています。

注目したいのは、アドバイザーを委嘱し市民フォーラムを開催してから基本設計を行っているところです。

これに対して、現在計画が進んでいる武蔵境駅南口の(仮称)武蔵野プレイスは、これまで何度か書いていますが、市民も参加して構想をつくったものの、いつの間にか市役所内部で非公開会議で基本計画が出来上がってしまっています。
低層(平屋で一部二階)を提案してきた設計者を選んだのに、できあがった基本設計は、容積率目一杯に近い建物になってしまっています。

大きさよよりも、この場所で何をしたいのか、図書館にしろ誰が運営するのかを想定せずにとにかく容積率いっぱいの建物を作りたいとの意識に振り回されて設計が進んできていることです。

人口が減っていくことが確実な今後の世の中であり、市の税収が格段に増えるとは思えません。
多少は削ったとはいえ、容積率いっぱいに作ることがいいのか。過ぎたるは及ばずごとしとの言葉を考えてみるべきではないでしょうか。

(仮称)武蔵野プレイスについては、邑上市長になったことからオープンハウスが開かれ、新たな市民意見も募集されました。3月21日に開かれる鉄道対策・農水省跡地利用特別委員会でこの市民意見について行政報告が行われます。また、新年度予算とも絡んでくるので、邑上市長がどうしたいのかの提案もあるでしょう。

市長提案に注目すべきですが、それでお終いではありません。市長が提案したからと言って、それで決まりではないはずです。集まった意見を検証することやさらに煮詰めることで、より良い公共施設を作るべきです。
私は、基本設計には下記の問題点があると思っています。市長提案がどのようになるかは分かりませんが、市長案を元に残る課題も整理して、それこと市民参加での基本設計の見直しをするべきだと思います。

(仮称)武蔵野プレイスの課題点

・吹き抜けが多い。これらをなくせば容積率いっぱいではなくても縮小でる。縮小は、投じる税金を少なくすること。100年間使うがコンセプトなら、ランニングコストを抑えることで100年間のコストも下げられます。

・ブラウジングといい、回遊できるようにがコンセプトになっていますが、回遊の手段は階段を想定しています。地下二階から地上四階までを高齢者や障がいを持った人が階段で回遊させるのでしょうか。配慮が薄いと言わざるを得ません(エレベータがありますが、いちいちエレベーターに乗っていては回遊ではないでしょう)。設計者のコンセプトのように低層にしないことには回遊とは言えないはずです。

・全館が吹き抜け構造になっているため、冷暖房費などランニングコストが普通のビルに比べれば、コストアップになるはずです(正確な数値は出されていません)。

・大きなガラスを配置して明るいイメージですが、大きなガラスは、建設費、修繕費ともコストアップにつながります。

・スタジオの数が多すぎ。いったいどの程度利用者数を見込んでいるかも明確ではありません。

・200人の講堂は必要なし。歩いて1,2分程度の距離にあるスイングホール(武蔵野市が出資している財団が運営)には、最大で300人収容できるレインボーサロン、180の客席があるレインボーホールがあることを考えれば、4階に考えられている200人規模の会議室も必要ありません。歩いて5分程度にある市民会館を活用することもできるはずです。

・エリア分けするべき。市民活動の拠点となるスペースと読書スペースが隣接しており、話し声で読書の人へは迷惑になります。逆に、遠慮していては、市民活動の論議もしにくくなります。

・どのような図書館なのか明確にすべき。図書館、図書館と黄門様の印籠のように使いますが、どのような図書館がいいのかの論議がありません。武蔵野市の図書館は、話題の本、ベストセラー本を大量に仕入れてしまうことがあります。ベストセラーなどは本屋さんで買ってもらうべきで、少数の良書や資料として有益な図書をそろえるなど貸本屋ではない機能へのとシフトすることも必要です。
 
などなどです。

どうせ作るなら、デカイのを作れば後で使い道を考えればいい、との考え方もあるでしょう。でも、税金で作るのです。良さそうならそれでいい、と考えている人もいるかもしれません。しかし、それでも税金。市民みんなの財布からお金が出ていることを認識して、もっと設計を煮詰めるべきです。

写真
上左・21世紀美術館の外観。四方向に出入り口があり、これは裏側にある。
上右・レアンドロ・エルリッヒのスイミングプール。地上からは普通のプールだが、下に潜り込むとこのような作品となっている。
下左・一階にあるカフェ。22時まで営業。
下右・自由通路にあった作品。椅子で休むことも可能。